『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第八部

向井も発表会へ

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「俺ですか? ん~やれるものがないからな~」

向井が腕を組み考え込む。

「あっ、だったら少林寺拳法見せてよ」

ディッセが向井を見た。

「演武か………もう、何年もやってないからな」

「向井さんは子供の頃からやってるって、

言ってたじゃない? 黒帯? 」

「一応。これでも学生選手権の単独演武で、

優勝してるからね。そうは見えないでしょ」

向井が笑った。

「凄いよ。そうそう今回は倉田さんも、

合気道の剣術見せてくれるって言って、

エントリーしたんだよ」

アートンが思い出したように言った。

「向井さんも見せてよ」

「練習しないとな。もう、体がなまってるから」

向井が腕をクロスして、関節を動かした。

「本格的な技じゃなきゃ、

俺と一緒に殺陣しない? 」

新田が面白そうに言った。

「これでも長い事、

殺陣師の指導受けてきたから、

カッコよく見せるコツ分かるよ」

「俺、竹刀は持ったことないんだけど、

大丈夫? 」

「発表会なんだから、

カッコいい感じに型だけあればいいじゃん」

ディッセが楽しそうに言ったところで、

源じいが立ち上がってやってきた。

「だったら、私も混ぜて」

「えっ? 」

彼らが驚いて源じいを見る。

「私はこう見えて、剣道の四段持ってます。

といっても学生の頃の話なので、

もう君らが生まれる前の話ですが」

「それじゃ無理じゃない? 」

シェデムが言うと、

「だからね。私は向井君と新田君の師匠で、

悪漢に道場を乗っ取られそうになって、

助けを求めている設定にするんですよ」

「なるほど。それなら源じいは主役だけど、

動かなくておいしい? 役ですね」

シェデムが笑った。

「でも、その悪漢は誰がやるのよ」

ディッセが言ったところで、

みんなが彼を見た。

「えっ? 俺? ヤダよ~悪役なんて」

「せっかくのその大きな体なんだもの。

こういう時に役立てなきゃ。ねえ」

真紀子が言い、皆が笑った。

「じゃあ、決まったところで、

エントリーしてこよう」

新田が部屋を出て行った。

ぶつぶつ文句を言うディッセを笑いながら、

彼らがソファーに座った。

向井がテーブルに袋を置くと、

その音で目が覚めたのか、

牧野と安達が起きだした。

「ん? みんな帰ってきたの? 」

牧野が起き上がって袋を見る。

「お団子~」

牧野の嬉しそうな声に、

安達もむくっと体を起こした。

「八種類買ってきたので、

食べ比べできますよ。

今お茶を淹れますね」

向井はそういって、急須を出した。

「俺も手伝うよ」

後から来た田所と、

エントリーから戻ってきた新田も、

カウンターに来ると手伝った。
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