290 / 631
第八部
向井も発表会へ
しおりを挟む
「俺ですか? ん~やれるものがないからな~」
向井が腕を組み考え込む。
「あっ、だったら少林寺拳法見せてよ」
ディッセが向井を見た。
「演武か………もう、何年もやってないからな」
「向井さんは子供の頃からやってるって、
言ってたじゃない? 黒帯? 」
「一応。これでも学生選手権の単独演武で、
優勝してるからね。そうは見えないでしょ」
向井が笑った。
「凄いよ。そうそう今回は倉田さんも、
合気道の剣術見せてくれるって言って、
エントリーしたんだよ」
アートンが思い出したように言った。
「向井さんも見せてよ」
「練習しないとな。もう、体がなまってるから」
向井が腕をクロスして、関節を動かした。
「本格的な技じゃなきゃ、
俺と一緒に殺陣しない? 」
新田が面白そうに言った。
「これでも長い事、
殺陣師の指導受けてきたから、
カッコよく見せるコツ分かるよ」
「俺、竹刀は持ったことないんだけど、
大丈夫? 」
「発表会なんだから、
カッコいい感じに型だけあればいいじゃん」
ディッセが楽しそうに言ったところで、
源じいが立ち上がってやってきた。
「だったら、私も混ぜて」
「えっ? 」
彼らが驚いて源じいを見る。
「私はこう見えて、剣道の四段持ってます。
といっても学生の頃の話なので、
もう君らが生まれる前の話ですが」
「それじゃ無理じゃない? 」
シェデムが言うと、
「だからね。私は向井君と新田君の師匠で、
悪漢に道場を乗っ取られそうになって、
助けを求めている設定にするんですよ」
「なるほど。それなら源じいは主役だけど、
動かなくておいしい? 役ですね」
シェデムが笑った。
「でも、その悪漢は誰がやるのよ」
ディッセが言ったところで、
みんなが彼を見た。
「えっ? 俺? ヤダよ~悪役なんて」
「せっかくのその大きな体なんだもの。
こういう時に役立てなきゃ。ねえ」
真紀子が言い、皆が笑った。
「じゃあ、決まったところで、
エントリーしてこよう」
新田が部屋を出て行った。
ぶつぶつ文句を言うディッセを笑いながら、
彼らがソファーに座った。
向井がテーブルに袋を置くと、
その音で目が覚めたのか、
牧野と安達が起きだした。
「ん? みんな帰ってきたの? 」
牧野が起き上がって袋を見る。
「お団子~」
牧野の嬉しそうな声に、
安達もむくっと体を起こした。
「八種類買ってきたので、
食べ比べできますよ。
今お茶を淹れますね」
向井はそういって、急須を出した。
「俺も手伝うよ」
後から来た田所と、
エントリーから戻ってきた新田も、
カウンターに来ると手伝った。
向井が腕を組み考え込む。
「あっ、だったら少林寺拳法見せてよ」
ディッセが向井を見た。
「演武か………もう、何年もやってないからな」
「向井さんは子供の頃からやってるって、
言ってたじゃない? 黒帯? 」
「一応。これでも学生選手権の単独演武で、
優勝してるからね。そうは見えないでしょ」
向井が笑った。
「凄いよ。そうそう今回は倉田さんも、
合気道の剣術見せてくれるって言って、
エントリーしたんだよ」
アートンが思い出したように言った。
「向井さんも見せてよ」
「練習しないとな。もう、体がなまってるから」
向井が腕をクロスして、関節を動かした。
「本格的な技じゃなきゃ、
俺と一緒に殺陣しない? 」
新田が面白そうに言った。
「これでも長い事、
殺陣師の指導受けてきたから、
カッコよく見せるコツ分かるよ」
「俺、竹刀は持ったことないんだけど、
大丈夫? 」
「発表会なんだから、
カッコいい感じに型だけあればいいじゃん」
ディッセが楽しそうに言ったところで、
源じいが立ち上がってやってきた。
「だったら、私も混ぜて」
「えっ? 」
彼らが驚いて源じいを見る。
「私はこう見えて、剣道の四段持ってます。
といっても学生の頃の話なので、
もう君らが生まれる前の話ですが」
「それじゃ無理じゃない? 」
シェデムが言うと、
「だからね。私は向井君と新田君の師匠で、
悪漢に道場を乗っ取られそうになって、
助けを求めている設定にするんですよ」
「なるほど。それなら源じいは主役だけど、
動かなくておいしい? 役ですね」
シェデムが笑った。
「でも、その悪漢は誰がやるのよ」
ディッセが言ったところで、
みんなが彼を見た。
「えっ? 俺? ヤダよ~悪役なんて」
「せっかくのその大きな体なんだもの。
こういう時に役立てなきゃ。ねえ」
真紀子が言い、皆が笑った。
「じゃあ、決まったところで、
エントリーしてこよう」
新田が部屋を出て行った。
ぶつぶつ文句を言うディッセを笑いながら、
彼らがソファーに座った。
向井がテーブルに袋を置くと、
その音で目が覚めたのか、
牧野と安達が起きだした。
「ん? みんな帰ってきたの? 」
牧野が起き上がって袋を見る。
「お団子~」
牧野の嬉しそうな声に、
安達もむくっと体を起こした。
「八種類買ってきたので、
食べ比べできますよ。
今お茶を淹れますね」
向井はそういって、急須を出した。
「俺も手伝うよ」
後から来た田所と、
エントリーから戻ってきた新田も、
カウンターに来ると手伝った。
1
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
幼馴染の勇者が一般人の僕をパーティーに入れようとするんですが
空色蜻蛉
ファンタジー
羊飼いの少年リヒトは、ある事件で勇者になってしまった幼馴染みに巻き込まれ、世界を救う旅へ……ではなく世界一周観光旅行に出発する。
「君達、僕は一般人だって何度言ったら分かるんだ?!
人間外の戦闘に巻き込まないでくれ。
魔王討伐の旅じゃなくて観光旅行なら別に良いけど……え? じゃあ観光旅行で良いって本気?」
どこまでもリヒト優先の幼馴染みと共に、人助けそっちのけで愉快な珍道中が始まる。一行のマスコット家畜メリーさんは巨大化するし、リヒト自身も秘密を抱えているがそれはそれとして。
人生は楽しまないと勿体ない!!
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
おっさんの異世界建国記
なつめ猫
ファンタジー
中年冒険者エイジは、10年間異世界で暮らしていたが、仲間に裏切られ怪我をしてしまい膝の故障により、パーティを追放されてしまう。さらに冒険者ギルドから任された辺境開拓も依頼内容とは違っていたのであった。現地で、何気なく保護した獣人の美少女と幼女から頼られたエイジは、村を作り発展させていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる