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第八部
幽霊団地
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「それでいまや、
幽霊団地なんて悪名までついて回って、
見たって人は怖くて引っ越すし、
動画アーティストに荒らされて、
誰も越してこないそうなのよ」
「なるほどね」
向井も頷いたところで、
シェデムたちがやってきた。
「遅くなってごめん。
この辺りの祠も殆ど壊されてるから、
神社が少なくて不便よね。
死神も飛ばされて下界には来れるけど、
戻るには神社か小さくても神祠がないと、
無理だから。
究鬼が早く瞬間移動の開発を進めてくれると、
助かるんだけど」
そういって周囲を見渡した。
「あれだけ神を追い払えば、
悪霊だらけになっても仕方がないか。
可哀想だけど妖怪も取り込まれてるね」
シェデムがため息を大きくついた。
「じゃあ、自治会に行きますか」
向井が言い、彼らは自治会事務所に歩き出した。
自治会事務所は、
団地の空き店舗の一画に設けられていた。
向井達が入って行くと、
「え…と、向井さんですか? 」
中にいた三人のうち、
一番年長者と思われる三十代後半の男性が、
声をかけてきた。
「はい。私が向井です。
黒谷君からお話を聞いて伺いました」
向井がいつものように名刺を渡すと、
ちょっと驚いた様子であわてて名刺を渡してくれた。
「すいません。
自治会役員の田沼です。
会長はお年なので、
僕たちが説明させていただきます」
細身の男は向井達を見て、
想像していた印象と違ったのだろう。
申し訳なさそうに話し出した。
「陰陽師さんだと聞いたので、
もっと年配者の方だと思ってました」
「若くて心配なら、私もいるから安心して」
そういって真紀子がほほ笑んだ。
「いえ、そういう訳では失礼しました」
田沼は申し訳なさそうに頭を下げた。
「彼らは僕と一緒にここの店舗で、
雑貨店を開いている鈴木と川部です」
紹介された男女は田沼より少し若い感じだ。
川部という女性は向井達を見て、
ちょっと興奮気味に話し出した。
「なんか妖武将に出てくる方みたいです。
知ってます?
『ゾンビ少年と赤い神聖ばあ』っていう漫画。
そこに妖武将って言う、
カッコイイ武将達がいるんですけど、
そのキャラクターみたいで」
「おい、失礼だぞ」
横で鈴木が注意すると、
「こいつアニオタなんですよ」
と謝った。
「あ………ご、ごめんなさい」
川部が勢いよく頭を下げた。
その様子を向井達は笑いながら見ると、
「うちの子も大好きで、
ハンバーガーを買わされました」
「わ、私も買いました! 」
向井の話に川部も嬉しそうに笑う。
三人も少し緊張していたのか、
今の会話で気持ちもほぐれたようだった。
「向井さんはお子さんがいるんですね」
田沼の言葉に、
「まあ、そうですね」
と笑った。
幽霊団地なんて悪名までついて回って、
見たって人は怖くて引っ越すし、
動画アーティストに荒らされて、
誰も越してこないそうなのよ」
「なるほどね」
向井も頷いたところで、
シェデムたちがやってきた。
「遅くなってごめん。
この辺りの祠も殆ど壊されてるから、
神社が少なくて不便よね。
死神も飛ばされて下界には来れるけど、
戻るには神社か小さくても神祠がないと、
無理だから。
究鬼が早く瞬間移動の開発を進めてくれると、
助かるんだけど」
そういって周囲を見渡した。
「あれだけ神を追い払えば、
悪霊だらけになっても仕方がないか。
可哀想だけど妖怪も取り込まれてるね」
シェデムがため息を大きくついた。
「じゃあ、自治会に行きますか」
向井が言い、彼らは自治会事務所に歩き出した。
自治会事務所は、
団地の空き店舗の一画に設けられていた。
向井達が入って行くと、
「え…と、向井さんですか? 」
中にいた三人のうち、
一番年長者と思われる三十代後半の男性が、
声をかけてきた。
「はい。私が向井です。
黒谷君からお話を聞いて伺いました」
向井がいつものように名刺を渡すと、
ちょっと驚いた様子であわてて名刺を渡してくれた。
「すいません。
自治会役員の田沼です。
会長はお年なので、
僕たちが説明させていただきます」
細身の男は向井達を見て、
想像していた印象と違ったのだろう。
申し訳なさそうに話し出した。
「陰陽師さんだと聞いたので、
もっと年配者の方だと思ってました」
「若くて心配なら、私もいるから安心して」
そういって真紀子がほほ笑んだ。
「いえ、そういう訳では失礼しました」
田沼は申し訳なさそうに頭を下げた。
「彼らは僕と一緒にここの店舗で、
雑貨店を開いている鈴木と川部です」
紹介された男女は田沼より少し若い感じだ。
川部という女性は向井達を見て、
ちょっと興奮気味に話し出した。
「なんか妖武将に出てくる方みたいです。
知ってます?
『ゾンビ少年と赤い神聖ばあ』っていう漫画。
そこに妖武将って言う、
カッコイイ武将達がいるんですけど、
そのキャラクターみたいで」
「おい、失礼だぞ」
横で鈴木が注意すると、
「こいつアニオタなんですよ」
と謝った。
「あ………ご、ごめんなさい」
川部が勢いよく頭を下げた。
その様子を向井達は笑いながら見ると、
「うちの子も大好きで、
ハンバーガーを買わされました」
「わ、私も買いました! 」
向井の話に川部も嬉しそうに笑う。
三人も少し緊張していたのか、
今の会話で気持ちもほぐれたようだった。
「向井さんはお子さんがいるんですね」
田沼の言葉に、
「まあ、そうですね」
と笑った。
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