『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第七部

変わる赤姫

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「虎獅狼達も毎回参加して、景品ゲットしてるよ」

ディッセが言った。

「ほぉ~では、冥王にフラの衣装を用意させるか。

この前玲子たちが衣装が出来たとか、

ここで大きな花柄のムームーとかいうものを、

広げておってな。

それが可愛いドレスでな」

「うちには今ね。

三倉さんていう縫製作家さんがいるんだけど、

冥王もチビ達もお洋服作ってもらってるのよ。

赤姫のムームーも作ってもらおう。

で、発表会に出よう」

トリアが言うと、

「ええ~俺も見たい。赤姫さんのダンス」

黒谷が頬を膨らませ、文句を言った。

「そうですね~黒谷君は人間ですから、

見ることは………」

向井はそこまで言って、

何かを思いついたのか笑顔になった。

「セイくんに動画を送ってもらいましょう。

普通の人には見えませんけど、

黒谷君なら見れるんじゃないかな」

と、黒谷を見た。

「そうか。冥王とリモートできてるし、

通信可能かな? 」

アートンも頷きながら言った。

「でも、赤姫も変わったよね。

以前はもっと………

偏屈でプライドの高い神様そのものって、

印象だったからね」

トリアの言葉に少しムスッとしたが、

「………まあ、そうかもしれんな。

向井にあってから、

私も変わったかもしれん。

黒谷を見てると笑えるしな。

神の人間嫌いというのは、

案外感化されることを、

恐れているからなのかもしれん。

神などと言っても、

人と変わらんな。

天上界がいい例ではないか? 」

赤姫が笑った。



そんな黒谷の姿を、

三階に住む女の子が見ていた。

「何見てるんだ? 」

父親が窓越しに外を見る娘に近づいた。

「黒谷君はいつも一人で、

あそこに行くとお話してるよ」

先程保育園から戻ってきた娘は、

指をさして父親を見た。

「ああ、あそこにはね。神様の祠があったんだよ」

「祠? 」

娘が不思議そうに首を傾げた。

「そう、神様が住んでいたお家」

「でも、何もないよ」

「そうだね。人間がいらないって壊しちゃったから」

「神様は要らないの? パパもいらないから、

会社を辞めさせられたの? 」

父親は一瞬驚いたものの、

寂しそうに笑った。



移民対策で外国人労働者が入り、

今やAIで会社は動いているので、

人員削減もあり大量に解雇された。

家も手放し、ここに引っ越し、

所得は減ったが、

夫婦でリメイクウェアの販売で、

なんとか生活できている。

最初は不安だらけだったが、

住民達とのトラブルもなく、

それだけでもストレスからは解放されていた。



「そうだよね。でも、

いらない神様も人間もいないんだよ。

だって、パパがいらないからっていなくなったら、

久美はどう思う」

「えっ? パパいなくなっちゃうの? ヤダ! 」

久美が父親に抱きついた。

「ほら、

一人はいなくなったら泣いちゃう子がここにいた」

母親が二人のそばにやってきて笑った。

「黒谷君はね。いつかはあそこに神様が戻れるように、

祠を建ててあげたいんだって」

「ふぅん」

「久美も見えていなくても、

神様はちゃんと見守ってくれているから、

行ってきますとかただいまって、

声をかけると、

嬉しいかもしれないよ」

親子はそんな話をしながら、

楽しそうな黒谷を見ていた。
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