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第七部

恐竜王国

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小河期に入っているので、

春と言えど寒さは変わらず、

気温はいつ上がるのだろうという感じだ。

暑さ寒さも彼岸までとは、

いつの時代まで言っていたのだろう。

向井達は肌寒いね~と言いながら、

歩いていた。

博物館に着くと、

程近い場所にマルシェのテントが立ち並んでいた。

「結構広いな」

牧野もテントを見て、少し驚いた様子で言った。

「あーちゃん、マキちゃん」

セーズと手をつなぎ、

博物館に向かう三鬼の声に振り返ると、

走って行った。

「じゃあ、博物館を出たら連絡して」

フェムトンは向井に言うと、

広場の前で二手に分かれた。

博物館に入ると、

動く恐竜の他にも大きな展示物が並び、

三鬼は口を大きく開けて驚いていた。

「凄い」

牧野と安達も目を見開いて見ていた。

セーズと向井も三人の後ろを歩きながら、

「ビックリですね」

あらゆる場所から、

恐竜と妖精に見られている感じに展示がなされ、

子連れの親達も夢中になって目を輝かせていた。

子供達が遊べる3Dのシアターに入ると、

三鬼が夢中になって走り回っていた。

「アニメの世界が、

そのまま映像になってる」

安達も三鬼と一緒になってシアターを見ていた。

「あれだけ文句言ってたのに、

一番喜んでるのは牧野君だったりして」

セーズがあっちこっちと、

移動して見ている牧野の姿に笑った。

人の動きに反応して動画も動くので、

子供も大人も夢中になって体を動かしていた。

セーズも三鬼のそばに行くと、

一緒に手をあげたり、

しゃがんだりと子供に戻って遊び始めた。

入り口の方で客が移動していくのを見て、

「あっちに主人公の恐竜がいるそうですよ」

向井が三鬼達を呼ぶと、

四人が走って戻ってきた。

「凄ぇ~よ。本当に恐竜王国に住んでるみたい」

牧野が興奮して話した。

「動く恐竜は向こうにいるらしいですよ」

向井が笑顔で言うと、

牧野達は速足で前を歩いていった。

「久しぶりに遊んだな」

セーズも向井と並んで歩きながら笑う。

途中で子供達の泣き声が聞こえてくると、

三鬼がびくっとして立ち止まった。

慌てて引き返すと向井に抱きつく。

「どうしました? 」

向井はかがむと三鬼を抱き上げた。

見ると親達が子供を抱きかかえて、

前方のブースから出てくる。

向井が不思議そうに見てると、

その中の一人の父親が、

「恐竜がリアルに動くんで、

ちょっと怖くなったみたいでね」

と泣いてる子供をあやしながら話してくれた。

「そんなにリアルなんだ」

セーズも驚くと、

「安達君も怖がって見れないかな? 」

そういいながらブースに入って行った。

「三鬼はどうします? 見るの怖い? 」

「見たい………でも怖い」

「大丈夫ですよ。俺がついてますから」

向井はそういうと、

三鬼を抱いたまま中に入った。
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