『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第七部

式神課のお仕事

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「えっ? 」

冥王が目を見開き、

「そうだった」

牧野はそういいながら立ち上がると、

くれそうなものに頂戴と言って回った。

「これもコラボなんですか? 」

冥王もそういうと、

「私も欲しいです」

と牧野と争うように間に割って入った。

「前よりひどくなってない? 」

ヴァンが笑うと、

「私たちも食べ終わったから、

出掛けるならいつでもいいわよ」

真紀子と新田がやってきた。

「あれ? 放っておいていいの? 」

エハが喧々囂々やっている牧野と冥王を見る。

「いつもの事ですから、

戻る頃にはケロッとしてますよ」

向井は笑うと、

「じゃあ、今のうちに出掛けちゃいましょう」

と賑やかな休憩室を抜け出した。


――――――――


黒谷から聞かされたライブハウスは、

この前の音響会社が入っているビルから、

それほど離れていない交差点の先にあった。

ライブハウスは小規模ビルの地下にあり、

インディーズからメジャーまで、

幅広い音楽が聴けることでも人気のお店らしい。

向井達がビルに向かうと、

三十代位の赤毛の短髪男性が立っていた。

「すいませんね~

えっと、向井さんは……」

「私です」

向井はそういうと名刺を渡した。

「一人か二人で来ると思ったんで、

俺は篠原です」

彼は名刺を受け取ると、

自分の名刺を渡した。

「お話を聞いたら霊現象が酷いというので、

他の者にも確認してもらおうと思いまして」

向井がそういうと、

「霊を祓うのって、やり方も違うんですかね~

そちらにお願いする前にも、

何人か頼んだんですけど、

変なお札とか貼られちゃって。

なのに霊現象は酷くなる一方なんですよ」

篠原は階段を下りながら話しをした。

「これなんですよ。もうお化け屋敷でしょ」

篠原はドアを開けて中に通すと、

顔をしかめて見せた。

確かに室内には盛り塩やお札など、

もはやライブハウスとは思えない状態になっていた。

「これは………」

向井も苦笑いした。

「このお札じゃ何も祓えないよ」

ヴァンはそういうと札をはがした。

「えっ? 偽物なの? 」

篠原の驚く声に、

「偽物ってことはないけど、

素人が書いたものでは無理だよ」

ヴァンはそういいながら部屋を見回す。

「どう思う? 」

向井が聞くと、

「ここには霊は見当たらないね」

「えっ? そんなはずは…

だってラップ音もあって、

うちの従業員も倒れたんですよ」

篠原が狼狽えたようにあたふたとした。

「ん~確かに霊のニオイはするから、

ここに霊が出入りしてるのはホント」

エハも部屋を見ながら言った。

「どういう事? 」

新田が聞くのを見て、

真紀子がふと今通ってきた階段を振り返った。
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