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第六部

向井探し

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休憩室に行くと、

早紀と田所がドラマを見ていた。

二人がハマっているサスペンスで、

近々映画化もされるらしい。

キッズルームを見ると、

源じいと三鬼が夢中になって本を見ていた。

「こんと呉葉がいませんね~」

冥王が言うと、

「あっ、向井君戻ってきてたんだ」

「お帰り~こんと呉葉は工房にいるよ」

田所と早紀が振り返った。

「今戻ってきました」

「朝からいないから、

安達君が向井は~って、

チビや牧野も一緒になって、

親鳥探す雛状態だったんだから」

「それはすいませんね。

私の用で連れまわしてしまって」

冥王が言った。

「何か用でもあったのかな? 」

向井が首を傾げていると、

「違う違う。

向井君がいないと不安なんでしょ。

私も向井君の顔を見ると、

なんていうか安心するから」

「向井君がいなくなったら、

ここは大変ですね」

冥王は笑うとソファーに座った。

「おや、このドラマはこの前の続きですか? 」

「そうそう、冥王が犯人はこいつだとか言ってたでしょ。

でもその人死んじゃったわよ」

「ええ~そんなぁ~」

冥王はそういうと、

三人でドラマの続きを見始めた。

向井はくすくす笑うと、キッズルームに向かった。

見ると仕掛け絵本に夢中になっている。

あれ? 

これは………

「三鬼の大好きなものですね」

「向井君、戻ってきたんですね。

今日は大騒ぎでしたよ」

源じいが笑いながら向井を見上げた。

「お騒がせしたみたいで、

すいませんでした」

向井の声に、

三鬼も源じいの膝に座ったまま、

顔をあげた。

「飛び出す絵本ですね。

作ってもらったんですか? 」

「そう。セイちゃんに、

僕の恐竜の写真を撮ってもらって、

それをね~あみちゃんが絵本にしてくれた。

でね~動くの~」

三鬼が興奮して説明してくれた。

あみとは先月派遣霊に登録した、

立体絵本の切り絵作家谷村あみだ。

動く立体切り絵の絵本で、

有名になった若手作家だったが、

自転車事故で亡くなりサロンにやってきた。

「これは塗り絵にもなってるんだ」

向井がじっと見ていると、

「源じいと一緒に塗ったの。

これはモササウルス。

海に住んでて凄く強いの」

三鬼が海から顔を出すように作られた仕掛けを、

楽しそうに動かした。

「よくできてますね~」

向井も感心してみていると、

「私の子供の頃の飛び出す絵本なんて、

本当に飛び出すだけだったからね。

だから楽しくなって、

一緒に遊んでしまった」

源じいが笑った。

そんな話をしていると、

牧野と安達が戻ってきた。

「今、タルト作ってるから、

明日には食べられるって。

楽しみ~」

「ちょうどよかった。

牧野君と安達君に渡すものがあるんです」

向井はキッズルームから離れて、

牧野達のいる入り口に歩いて行った。
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