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第六部

冥界のお正月

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年末には悪霊騒ぎがあり、

夜中に牧野と向井、佐久間、エナトが出動し、

大きな塊を除去したおかげで、

霊電も満杯になり、

牧野もご機嫌で戻ってきた。

「牧野君はゲームやりたいからね」

佐久間が笑うと言った。

「そりゃそうだよ。あれやりたかったんだもん」

そういってから向井を見た。

「どうして俺があれ欲しいってわかったの? 」

「どうして俺からだと思うんですか? 」

「俺の欲しいものをくれるのなんて、

向井しかいないもん」

「するどいね」

エナトも笑った。

「牧野君は素直に喜んでくれるから、

嬉しいです。

彼女にはごまかしの技だって言われたんですけどね」

「どうして? 」

佐久間が聞いた。

「俺は忙しくなったりすると、

記念日とか忘れてしまうんです。

だから一緒にいる時に観察して、

頭の片隅に入力するんですけど、

それが小手先でごまかされてる気がするって」

「女性はそういうところ厳しいですからね。

向井さんの観察眼は、

そこからきてたんだ」

「小心者なんです」

佐久間の言葉に向井は笑った。

「でもチビ達は牧野君と安達君も、

自分たちと同じ子供と思っているわけだ」

「なんでよ」

エナトの言葉に牧野がむくれた。

「だって、サンタは子供にしか、

プレゼントくれないんでしょ。

俺達みんないい子だと思うけど、

プレゼントないもん」

「あっ! 」

牧野はハッとした顔をしたが、

「クリスマスくらい子供に戻ってもいいじゃん」

と笑った。

「牧野君は普段から大きな子供ですけどね」

向井の言葉に佐久間とエナトも笑った。


――――――――


年が明けてお正月は眷属が見ているので、

特例や死神が丸々休めるのは、

一年でこの七日間だけ。

冥界もお正月はおせちを頂き、

誰もがのんびり過ごしていた。

「アラートが鳴らないのって幸せ~」

牧野も寝正月で休憩室でゲームをしながら、

寝転がっていた。

「マキちゃん~羽根突きやろ~」

こんが寝ている牧野に乗ってゆすった。

「お正月くらい寝かせて~」

「マキちゃんはいつも寝ておる」

呉葉も後から来ると乗ってきた。

「苦しい~ギブ、ギブ」

キャッキャッ騒ぐ声が廊下に響いてきた。

向井と妖鬼が入ってくると、

牧野は二人を抱えて起き上がった。

「チビと言えど、さすがに二人は重くて死ぬ。

ここに羽子板なんてあった? 」

「冥王に言われて作ったんだよ。

羽根突きには邪気を払い、

チビの成長を願う意味もあるからね」

妖鬼が羽子板を手に持って軽く叩いた。

「羽根突きなんてどこでやるの? 

下界に下りるの? 」

「多目的ホールがあるから、

そこでやりましょうって、

安達君達も待ってますよ」

向井が三鬼の手を引いて言った。

「なんでも、新作の霊銃が出来たんで、

大人達にはそれを使う権利をくれるそうです。

霊銃は六点。どうします」

「やる!! 」

牧野は起き上がるとチビを脇に抱えて、

走り去っていった。

「やる気満々だね~」

妖鬼と向井は顔を見合わせ笑った。
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