『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

文字の大きさ
上 下
171 / 631
第五部

新しいイベント

しおりを挟む
図書室に行くと、

奥のブースで、

何やら楽しそうな葵と河原の姿を見かけた。

机の上に広げた紙を見ながら、

話している姿に、

嫌な予感を感じつつ向井は声をかけた。

「何やっているんですか? 」

二人はその声にハッと振り返ると、

「えっ? いや別に~」

と言いながらデスクに置かれた紙を隠した。

「何ですか? それ」

「何でもないよ~」

河原が後ろ手に隠す。

「だったら見せてくださいよ」

「それは~今は見せられない…な」

葵が向井を上目遣いで見て笑う。

向井が怪しんで二人を見ていると、

「これ何? 」

背後から安達がやってきて、

その紙を覗いて手で引っ張った。

「あっ!! 」

二人が驚く。

安達はその紙を見ると嬉しそうに、

笑顔で顔を上げた。

「これ………またイベントやるの? 」

「えっ!? 」

向井も驚いてその紙を安達から取り上げた。

見ると、


【大好評につき第二弾決定。

 河原葵 「続 閻魔の恋人~逃避行編~」

 ○○コミフェスにて限定販売。

 あのイケメン君にも会えるよ~

 ご来場待ってます💓】


の文字が書かれたフライヤーだった。

日付は来年になっている。

「何ですか。これ。俺、一言も聞いていませんよ」

向井が文句を言った。

「いうつもりだったのよ。でも、忙しくてさ~」

「フライヤーも出来上がってるじゃないですか」

「あのさ…」

葵が言い訳するように話し始めた。

「この前のイベントで、

本が思いのほか人気で完売したじゃん。

一応、販売元はクリエイターズファントムなんで、

この続きは出ないのかって、

ここに連絡があったんだって」

「フンフにお願いしたら、製本してくれるって言うから、

だったら続編描いたから売りたいなって。ねっ」

河原も葵を見て言った。

「では、トリアさんも知ってるってこと? 」

二人がコクコクと頷く。

「なんでそういう、大事なことを内緒にするのかな~」

「それは…怒るから? 」

河原が上目遣いで口を尖らした。

「黙っていたらもっと怒りますよ」

向井は二人を睨むと、

「ここにあるイケメンて、ティン君の事でしょ。

許可は取ったんですか? 」

「イベントやるなら出てもいいって言われた」

「ティンも出るの? 俺もやりたい」

安達が横から向井を見上げる。

「………」

「いいじゃん。同じブースの中で、

テーブルも二脚レンタルしたから、

冥王も新作作るって張りきってたし。

安達君も時間があるから、作ればいいよ。

弥生ちゃんと今回は真紀子さんも出すって」

河原はそういうと向井を見た。

「冥王も荷担してるんだ………

安達君も出たい? 」

「出たい!! 」

向井はこめかみを指で軽く掻くと、

「まあ、いいか。お正月のあとだし、

お店番は安達君がやるんですよ」

安達がうんうんと頷く。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

幼馴染の勇者が一般人の僕をパーティーに入れようとするんですが

空色蜻蛉
ファンタジー
羊飼いの少年リヒトは、ある事件で勇者になってしまった幼馴染みに巻き込まれ、世界を救う旅へ……ではなく世界一周観光旅行に出発する。 「君達、僕は一般人だって何度言ったら分かるんだ?!  人間外の戦闘に巻き込まないでくれ。  魔王討伐の旅じゃなくて観光旅行なら別に良いけど……え? じゃあ観光旅行で良いって本気?」 どこまでもリヒト優先の幼馴染みと共に、人助けそっちのけで愉快な珍道中が始まる。一行のマスコット家畜メリーさんは巨大化するし、リヒト自身も秘密を抱えているがそれはそれとして。 人生は楽しまないと勿体ない!! ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

おっさんの異世界建国記

なつめ猫
ファンタジー
中年冒険者エイジは、10年間異世界で暮らしていたが、仲間に裏切られ怪我をしてしまい膝の故障により、パーティを追放されてしまう。さらに冒険者ギルドから任された辺境開拓も依頼内容とは違っていたのであった。現地で、何気なく保護した獣人の美少女と幼女から頼られたエイジは、村を作り発展させていく。

処理中です...