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第五部

牧野の死

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「星が綺麗~」

エハが空を見上げ声に出す。

「でも、やっぱ寒いわ~」

そういって笑うと両腕をさすった。

「冬の空は大気の中の水蒸気が安定していて、

不純物が舞わないので綺麗なんですよ。

夏は湿気が多いですからね」

向井はそう説明すると、一緒に空を見上げた。

「………………」

牧野が夜空を見てから俯くと、

その土地をじっと見つめた。

「どうかしましたか? 」

向井が聞くと、

「………………思い出した。俺、ここで死んだんだ」

「えっ? 」

五人が振り返った。

「そう、二年前だよ。

いつもならこんな公園に来ないのに、

何であの時ここを通ったんだろう」

牧野が足元を見たまま呟いた。

「牧野君は半グレの抗争に巻き込まれたって、

言ってましたけど」

「そうなんだよ。

この辺りはやばい奴がうろついているんで、

じいちゃん先生に通るなって、

ずっと言われてたんだよね」

「じいちゃん先生? 牧野君って施設育ちだっけ? 」

ヴァンが聞いた。

「ん? そうだよ。親が亡くなって引き取り手がいなくて、

ほら、ここから少し先に寺があるじゃん。

そこのじいちゃん………えっと住職? が、

引き取ってくれたの。

それで俺、よく覚えてないんだけど預けられて」

「牧野君はその後、ご住職に大事に育てられたんですね」

向井が言う。

「な、なんだよ」

「いいことだよ。施設だって色々あるんだから、

牧野君にはいい先生が、

そばにいてくれたってことだよ」

赤くなってむくれて言う牧野に、

エナトも微笑んだ。

「でも、そっか。俺が寺に預けられたのって、

二、三歳………

三鬼達くらいの年だったからな。

そのあとも寺の手伝いしながら、バイトして、

あそこに住まわせてくれたもんな」

「ご住職は今もご健在? 」

佐久間が牧野を見る。

「いや、俺が死んで………去年か、

死んじゃった。

俺、気になったからセイに聞いたんだよ。

『じいちゃんの魂はどうなってるのか』って。

そしたら、別の場所に行ったって。

よくわからないんだけど、

徳が高いと、違うところに行くんだってさ」

「へえ~

牧野君が自由奔放なのは、

そのおじいさんのおかげなんだな」

ヴァンが笑うと、その場にいたものも笑った。

「だけど、いつも通らない道を通ったのは、

何ででしょうね」

向井の言葉に、

牧野がハッと思い出すように言った。

「そうだ! 工事だよ。

いつもは反対側の道で神社によって、

お参りして………」

「えっ? 牧野君がお参り? 」

エハが笑った。

「なんでそこで驚くのよ。

ディッセにも言われたけど、

俺だってお参り位するよ。

でも、その日はその道が工事で通れなくて、

それでここを通ったんだ」

牧野が頷いた。
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