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第五部

牧野画伯?

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それから数日間はアラートもなく、

牧野もTVを見ながらのんびり過ごしていた。

「あれ? 牧野君は発表会の練習はいいんですか? 」

「ふふん」

牧野が笑った。

「随分と余裕ですね」

向井はキッチンに行くと、

カプセル式コーヒーをセットした。

「誰かほかに飲む人いますか? 」

「はい。私ラテがいいです」

「私も」

「弥生ちゃんと早紀ちゃんはラテね。

牧野君はいいんですか? 」

「俺、コーラ飲んでるから」

向井はラテが出来上がると、

カップをテーブルに持って行った。

「あっ、有難うございます」

「ありがと」

二人はお礼を言いながら、塗り絵を見て笑っていた。

「これ、チビ達が塗ったんですか? 」

「そう。なんか独特のセンスでしょ」

早紀が笑った。

チビを見ると、キッズルームで寝ている。

「こうやってみると、同じ子供でも妖怪の子は、

ちょっと感受性も違うのかなぁ~って」

弥生の言葉に、

向井も上から塗り絵をじっと見た。

「その紫は呉葉で、ピンクはこんかな?

金と銀は三鬼? 」

「よくわかったね」

ソファーに座ったままの早紀が、

向井を仰ぎ見た。

「分かりますよ。あの子たちが好きな色でしょ。

だけど、これ………冥王の顔? 」

「そう。山川さんが暇だ~って、

冥王の似顔絵を描いてたのよ。

今、松田先生はサイン会の仕事中で、

作品の続きはそのあとなんだって。

で、図書室で寝てた冥王を描いてて、

チビ達が欲しいって言うから塗り絵にしたらしいよ」

早紀が笑いながら説明した。

「ふぅ~ん。よく塗れてるけど、

冥王が見たらショックでしょうね。

ゾンビみたいです」

向井が笑った。

「そうなんですよね。

チビ達は可愛い~と言いながら塗りつぶしてたんで、

なんか、安達君のお弁当を思い出しました」

弥生もくすくすと笑った。

「どれどれ」

牧野も這ってくると、塗り絵を覗いた。

「へえ~ほんとだ。

安達の可愛いとチビの可愛いは一緒ってことだな」

牧野も笑った。

「それよりさっき自信ありげに笑ってましたけど、

発表会の演目決まってるんですか? 」

「今回は牧野画伯による似顔絵ショーを見せる」

「似顔絵ショー? 」

三人が驚いて牧野を見る。

「あんた、そんなに絵が得意だった? 」

「冥王が能ある鷹は爪を隠すって言ってただろう? 

俺にも隠れた才能があったってことよ」

「本当ですか? 」

弥生も疑り深い目で見る。

「なんだよ。みんなして。

一応、源じいと真紀子さんには見せて、

誰を描いたか当ててもらって、

全部正解だったからね」

「ほお~それは期待できますね」

自信ありげな牧野に、向井は笑顔で言った。
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