『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第十三部

歪む悪霊

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空間にドームの蓋がされるのを確かめると、

向井達は中に入っていった。

「げっ! 」

牧野が上を向いて顔をしかめた。

悪霊が既に人の顔になっている。

「あれはどれだけの人を飲み込んでるんでしょう」

坂下も口を押えると、向井を見た。

「この近くには例の開発予定地が、

人食いの土地になっているので、

悪霊も膨れ放題なんですね。

とりあえず、牧野君と坂下さんは、

仙木であの顔が動けないように縛り付けてください。

あとは俺が何とか冥界に引きずり込みます」

向井はそういうと霊玉と仙木を取り出し、

そこに息を吹きかけ、

光りの矢を浮かび上がらせた。

炎が体を纏うと、手のひらより九尾の狐が現れた。

眷属は向井の肩に乗ると光の矢を銜えた。

「放て! 」

向井の声に、牧野と坂下が空中に駆け上がると、

仙木を顔に向けて吸い込ませた。

「ウギギギギギギ――――――――!! 」

悪霊の顔が歪み、地の底から這いあがるような、

この世では聞くこともない声を響かせた。

向井は中央で腕を上げ指をさすと、

狐は悪霊に突っ込んでいった。

その一瞬で結界を覆う顔が崩れ落ち、

光りの矢に吸い込まれていった。

バリバリバリ~~~~~~~~!! 

物凄い軋み音とともに結界にヒビが入る。

向井が結界に炎を撃ち放つと、

結界が炭となり、狐が開けた冥界のゲートへと、

全てが吸い込まれていった。

「す、凄い………」

坂下が初めて見る除去法に、

驚きのまま向井を見た。

向井は狐を呼び戻すと、

それはスッと体の中に入って消えた。

「おお~! 空が見えたぞ」

牧野が空を見上げ、近づいてきたアートンに言った。

「坂下さんにも頑張って、

第二の向井さんになってもらわないとな」

アートンの言葉に坂下が慌てて否定した。

「無理! 無理! あんな凄い事できませんよ」

「いや、坂下さんは素質がありますよ。

短期間でここまでできるんですから、

冥王も期待してますよ」

向井も炎を消すと坂下を見て微笑んだ。

「牧野君も素地はいいんだけど、

この性格でしょ。

訓練に向かないんだよね」

アートンも苦笑いすると、

一人空を見てはしゃいでる牧野の方に顔を向けた。

「倉田さんと岸本君は? 」

坂下が聞くと、

「相性って言うのかな、

術師に不向きなの。

その点、坂下さんは素質あるもん。

眷属扱えるようになると助かる」

アートンが笑った。

「この後はどこ行くの~」

牧野が三人の所にやってきた。

「ねっ? これだもん。眷属に馬鹿にされちゃう」

「なんだよ」

アートンの言葉に牧野がふくれっ面になった。

「何でもないです」

向井は笑いながら言うと、

リングからディスプレイを浮かび上がらせ、

「中央はここが綺麗になったので、

周辺は今のところ問題ないですね。

後は…………隣の地域か」
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