460 / 631
第十三部
悪霊の意思?
しおりを挟む
その夜、向井達は冥王の部屋で、
複雑な表情で話をしていた。
「それでいくと、
安達君と近い悪霊が生まれてることになるね」
究鬼が驚いた顔で口を開いた。
「安達君の場合は魂なので人ですが、
悪霊の場合はあくまでも霊なので、
それが重なり合って、
意思と呼べるかは分かりませんが、
ある一定の感情で動くとなると厄介ですよ」
ニットンも眉間にシワを寄せた。
「AIと似てますね。
人工知能も専門家は意志ではないと言いますが、
それに近い感情を読み取って、
情報を処理しています。
その悪霊も同じタイプであれば、
早いうちに除去しないと、
まずい事になるかもしれません。
牧野君が疲れてるくらいですから、
体力もかなり消耗する相手と戦うことになります」
向井の話に、倉田と岸本も深いため息をついた。
「この所うちの方でも、
悪霊に手こずることが多くなっていて、
今の話を聞くと納得できました」
カランも唇を軽くかむと言った。
「俺が一番恐れているのは、
その霊が人に取り憑くことです。
もちろん除霊することは簡単ですけど、
数が増えれば難しくなります」
「そうですね………」
冥王も腕を組んで上を向くと目を閉じた。
「とりあえず、
その厄介な悪霊が発生している箇所を、
徹底的に叩きましょう。
病巣を取り除かないことには、
倉田君達、除去課の体力だけが消耗しちゃいます」
冥王が言った。
「だったら危険な箇所には、
坂下さんには可哀想ですけど、
俺と一緒に移動して片付けていきます。
エハさんとヴァン君は式神持ちなので、
西と北にそれぞれ移動してもらって………」
向井はそこで少し考え込むと、
冥王を見た。
「仙境から仙木を少しいただけませんか? 」
「それはかまいませんよ」
「だったらそれを、
除去札の代わりに倉田さん達には使用してもらいます。
私が使ったのをお二人は見ましたよね」
向井が彼らの顔を見た。
「あぁ、この前見たけど、少し大きさがあるのと、
紙と違うからうまく使いこなせるか………」
倉田が心配そうに言った。
「大丈夫ですよ。冥王には朱で梵字を入れてもらいます。
これが今の段階では一番効果があると思います。
俺も九尾を使う時に、この仙木があるのとないのでは、
力の放出も断然違うんです。
この前、全身に炎が現れたでしょ。
あれがその力の違いなんです」
「なるほど。だったらちまちま除去札使うより、
大物を捕縛できるかもしれないな」
岸本も頷いた。
「では、明日からすぐに動いてください」
冥王がいい、彼らはそれぞれ部屋を出て行った。
最後まで残っていたニットンが、
向井と冥王を見ると言った。
「考えたら安達君は、
そんな魂を体に抱えてるわけだから、
発作を起こしても仕方がないのかもしれませんね。
人の器には大きすぎますから」
「そうですね」
向井はそういいながら辛そうな冥王を見て、
「でもまぁ、物は考えようです。
どんな状態であろうと、
本人が今を楽しんでいるわけですからね。
ただ、安達君のような人が現れないように、
明日から頑張りましょう」
とニットンに言った。
「安達君は新しいお薬を頂いて、
ちょっとご機嫌なんですよ」
「そうなの? 」
「今度のは甘いそうです」
「あははは。確かに苦いお薬は嫌だからね」
ニットンも笑うと向井と一緒に部屋を出た。
背後では冥王が静かに頭を下げる姿があった。
複雑な表情で話をしていた。
「それでいくと、
安達君と近い悪霊が生まれてることになるね」
究鬼が驚いた顔で口を開いた。
「安達君の場合は魂なので人ですが、
悪霊の場合はあくまでも霊なので、
それが重なり合って、
意思と呼べるかは分かりませんが、
ある一定の感情で動くとなると厄介ですよ」
ニットンも眉間にシワを寄せた。
「AIと似てますね。
人工知能も専門家は意志ではないと言いますが、
それに近い感情を読み取って、
情報を処理しています。
その悪霊も同じタイプであれば、
早いうちに除去しないと、
まずい事になるかもしれません。
牧野君が疲れてるくらいですから、
体力もかなり消耗する相手と戦うことになります」
向井の話に、倉田と岸本も深いため息をついた。
「この所うちの方でも、
悪霊に手こずることが多くなっていて、
今の話を聞くと納得できました」
カランも唇を軽くかむと言った。
「俺が一番恐れているのは、
その霊が人に取り憑くことです。
もちろん除霊することは簡単ですけど、
数が増えれば難しくなります」
「そうですね………」
冥王も腕を組んで上を向くと目を閉じた。
「とりあえず、
その厄介な悪霊が発生している箇所を、
徹底的に叩きましょう。
病巣を取り除かないことには、
倉田君達、除去課の体力だけが消耗しちゃいます」
冥王が言った。
「だったら危険な箇所には、
坂下さんには可哀想ですけど、
俺と一緒に移動して片付けていきます。
エハさんとヴァン君は式神持ちなので、
西と北にそれぞれ移動してもらって………」
向井はそこで少し考え込むと、
冥王を見た。
「仙境から仙木を少しいただけませんか? 」
「それはかまいませんよ」
「だったらそれを、
除去札の代わりに倉田さん達には使用してもらいます。
私が使ったのをお二人は見ましたよね」
向井が彼らの顔を見た。
「あぁ、この前見たけど、少し大きさがあるのと、
紙と違うからうまく使いこなせるか………」
倉田が心配そうに言った。
「大丈夫ですよ。冥王には朱で梵字を入れてもらいます。
これが今の段階では一番効果があると思います。
俺も九尾を使う時に、この仙木があるのとないのでは、
力の放出も断然違うんです。
この前、全身に炎が現れたでしょ。
あれがその力の違いなんです」
「なるほど。だったらちまちま除去札使うより、
大物を捕縛できるかもしれないな」
岸本も頷いた。
「では、明日からすぐに動いてください」
冥王がいい、彼らはそれぞれ部屋を出て行った。
最後まで残っていたニットンが、
向井と冥王を見ると言った。
「考えたら安達君は、
そんな魂を体に抱えてるわけだから、
発作を起こしても仕方がないのかもしれませんね。
人の器には大きすぎますから」
「そうですね」
向井はそういいながら辛そうな冥王を見て、
「でもまぁ、物は考えようです。
どんな状態であろうと、
本人が今を楽しんでいるわけですからね。
ただ、安達君のような人が現れないように、
明日から頑張りましょう」
とニットンに言った。
「安達君は新しいお薬を頂いて、
ちょっとご機嫌なんですよ」
「そうなの? 」
「今度のは甘いそうです」
「あははは。確かに苦いお薬は嫌だからね」
ニットンも笑うと向井と一緒に部屋を出た。
背後では冥王が静かに頭を下げる姿があった。
1
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
独り日和 ―春夏秋冬―
八雲翔
ライト文芸
主人公は櫻野冬という老女。
彼を取り巻く人と犬と猫の日常を書いたストーリーです。
仕事を探す四十代女性。
子供を一人で育てている未亡人。
元ヤクザ。
冬とひょんなことでの出会いから、
繋がる物語です。
春夏秋冬。
数ヶ月の出会いが一生の家族になる。
そんな冬と彼女を取り巻く人たちを見守ってください。
*この物語はフィクションです。
実在の人物や団体、地名などとは一切関係ありません。
八雲翔
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話
kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。
※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。
※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
異世界帰りのオッサン冒険者。
二見敬三。
彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。
彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。
彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。
そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。
S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。
オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる