『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第十三部

手こずる悪霊

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そのあとサンルームに通されると、

安達が輝く笑顔で見て回っていた。

安達君があんなにも楽しそうに、

神様たちと話しができるようになるとは。

向井も驚きとともに笑顔がこぼれた。

冥王を見ると楽しそうに安達を眺めている。

気が付くと予定より長い時間、

天上界で過ごしていた。


向井達が冥界に戻ると、

「どこいってたの~」

とチビ達が飛びついてきた。

「おっと」

向井がよろめくと、

「いいにおいがするぞ」

呉葉が手にしていた袋を見た。

「今日は毘沙門天様からケーキを頂いてきましたよ」

「ケーキ? 」

こんが嬉しそうに向井を見上げる。

「いい子でお留守番してましたか? 」

「してたよ」

三鬼が得意げに言う姿に、

向井達は笑うと、

「じゃあ、皆で頂きましょうか」

と休憩室に向かって歩き出した。

「あっ、やっと帰ってきた。

遅ぇよ」

牧野がゲームのコントローラを置いて、

振り返った。

「おや? ゲームなんかして、

悪霊退治はしてきたんですか? 」

「してきたよ。下界の平和を守ってきてやったぞ」

牧野の偉そうな言葉に、

向井達が怪しんでいると妖鬼達が入ってきた。

「今日は田所さんと早紀ちゃんと、

出かけて行ったのは確かだけど、

早々に終えて改装中の部屋で、

チビ達と遊んでたんだよな」

千鬼が言いながら笑った。

「ほお~せっかく時給をあげたのに、

それでは減給ですね」

「今日は悪霊が凄くて、

あれ以上は体がもたないんだよ。

坂下も新田とエハと式神課の仕事で出掛けちゃうし、

エナトとオクトとヴァンも幽霊退治だし、

手が空いてるのは、

田所と早紀とディッセしかいないんだよ。

俺は悪くないぞ」

「………まぁ、それでは牧野君が頑張っても、

無理ですか」

冥王もため息をついて笑うと、

「機嫌を直してケーキを食べましょう」

と向井が手にしている袋を指さした。

「天上界のケーキ? やった~食べる食べる」

牧野は立ち上がると、

チビ達とわあわあ言いながら手を洗いに行った。

「じゃあ、俺達も手を洗いに行こう」

妖鬼達も洗面所に向かい、

それと入れ違いに早紀達が入ってきた。

「賑やかだと思ったら、

向井君達帰ってたんだ」

「今日はご苦労様でした。

悪霊化して大変だったんだって? 」

向井が聞くと早紀がため息をついた。

「中央の悪霊は質が悪いのよ。

意思があるような嫌な動きをするんで、

牧野も疲れたと思うわよ」

「意思? 」

冥王も怪訝そうな顔をした。

「恐らく妖怪や死霊も取り込まれてるから、

それが新たな人格みたいなものを、

形成してる感じ? 」

田所も頭を軽く掻くと、

考え込むように言った。

その話に向井と冥王は顔を見合わせると、

安達を見た。

安達は楽しそうにケーキの箱を取り出し、

「早紀ちゃん、ケーキだよ。

田所も食べるでしょ? 」

「天上界のケーキでしょ。食べるよ~」

田所はそういうと、

早紀と一緒にキッチンに向かった。

「向井君、あとで私の部屋に来てください。

一応、西と北にも連絡を入れますが、

究鬼とニットンにも相談しましょう」

「そうですね」

二人は難しい顔をすると、

安達をじっと見つめた。
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