『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第十二部

気になるお城

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「ここで天上界に行ったことあるのは………」

妖鬼が皆の顔を見ながら、

「死神と鬼と向井さんだけか。

俺達はあの景色を知ってるから、

あの光り輝く風景に、

冥王がうらやましいと思う気持ち、

分からなくもないんだ」

「そんなにきれいなの? 」

真紀子が不思議そうに聞いた。

「綺麗という言葉では表現できないくらい、

美しいんだよ。

地球の持つ自然の、

何十倍と美しい世界が見られるんだ。

えっと…これは、

ヴァン達も知らないか………」

妖鬼が少し考えるように顎に手を置くと、

ゆっくり話し出した。

「以前は冥界も暗くて、

今のような明るさがなかったんだ。

それを冥王が、

天上界に近い形に作り替えさせたんだ。

俺達も毘沙門天の屋敷を造ったことがあるから、

冥王の気持ちも理解できたんで、

試行錯誤であそこまで、

明るさのある風景に作り替えたんだよ」

「あのお城は妖鬼さん達が建てられたんですね」

驚く向井に妖鬼が頷いた。

「そうか。向井さんは見てるんだよね。

凄いでしょ。もう無茶苦茶な注文で、

ああいうところは冥王とそっくりだよね」

「あははは。そうですね」

「そんなに凄いお屋敷なの? 」

安達が聞いた。

「見たらビックリしますよ。

和洋折衷で毘沙門天様そのものを形にしたようなお城です」

「へえ~見てみたいな~」

安達がほわんとした顔で言う姿に、

「だったら冥王にお願いして、

一緒に行ってみますか?

安達君はお行儀もいいですし、

毘沙門天様も喜びますよ」

「そうだな。

安達君は建物に興味があるみたいだし、

俺からも言ってあげるよ」

向井の話に妖鬼も安達を見た。

「俺も行きたい! 」

牧野が言うのを、

「今の話を聞いてなかったの? 

お行儀良くって言っただろ。

相手は神様なの。

口の利き方もそうだけど、

じっとしてられるのか? 」

「うっ………」

妖鬼の指摘にぐうの音も出ずに、

牧野が黙った。

「皆が皆、冥王や毘沙門天と同じじゃないのよ」

エハも呆れて笑うと牧野を見た。

「牧野君にはいい子でお留守番をお願いします」

向井は笑うと言った。

「それと七五三は牧野君と安達君も、

チビと一緒に紋付き袴でお写真撮るそうですよ。

冥王が張りきってました」

「えっ? 七五三だろ? 

俺、関係ないじゃん」

「俺もお写真撮るの? 

恥ずかしいよ」

牧野と安達が文句を言うのを、

皆が笑いながら見る。

「だって着物新調しただろ? 

冥王が張りきってんだよ」

千鬼が言った。

「だったらオヤジが着て、

写真撮ればいいじゃん」

「誰が冥王の写真を見たいのよ。

ちびちゃんたちのお着物は、

神様からいただいたものだから、

冥王もその写真を季節ごとに、

ギャラリーに飾りたいんでしょ」

エハが言い、

「冥王が楽しみにしてるんですから、

親孝行だと思って、

お写真くらい撮らせてあげてください」

向井も笑うと嫌そうな顔をする二人を見た。
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