『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

文字の大きさ
上 下
446 / 631
第十二部

黒谷のイメチェン

しおりを挟む
「俺、今なら少しわかるんだ。

俺のそばにいると気分が悪くなるから、

皆は近寄りたくなかったの。

でも、今は楽しいよ。

冥王がお薬くれたから体も平気だし、

いろんなことできるし、

お泊りもしたい」

安達はニコニコ笑いながら向井を見た。

誰もが言葉を失っていると、

「お前って、本当に不憫だったんだな。

金があっても俺より酷ぇ」

牧野が安達に言うと抱きついた。

「だったらさ、泊って枕投げとかしようぜ」

「枕投げ? 」

「そう。

源じいの子供の頃はあったんだってさ。

まあ、俺も知らねえけど」

「牧野君も知らないのにどうやるの? 」

坂下が笑いながら言うと、

「源じいに聞けばいいじゃん。

枕投げなんだから、枕投げるんだろ? なあ? 」

牧野は安達から離れて、みんなの顔を見た。

こういう時の牧野君は、

自然と流れを変えてくれる。

向井は笑みを浮かべた。

ディッセ達も一緒に笑いながら話している。

「だったら部屋の模様替えは安達君が決めてよ。

皆でくつろげるような感じで。

住居部分はそれほど大きくないから」

「ええ~」

坂下の話に安達が嬉しそうに驚く。

「どんな感じがいいんですか? 」

向井が安達を見ると、

「ん~カントリー風が好き」

「それいいね。喫茶店と合わせても、

なんかしっくりくる」

坂下も笑顔になった。

「喫茶店閉めてるから、

今のうちにお店に行って、

どうするか黒谷君とリノベーションを決めたら? 

妖鬼も呼ぶから、安達君も行って決めるといいよ」

ディッセの提案に、

「俺もいく! 安達が行くってことは向井も行くんだろ? 」

牧野も手を挙げた。

皆があきれ顔で笑うと、

「安達君はカントリーが好きなの? 

お部屋もそうしてるの? 」

坂下が聞いた。

「俺の部屋は………えっと………」

安達が悩んでいる姿に、

「北欧風で優しい色彩のお部屋ですよね」

向井が助け舟を出した。

「そう、北欧! 」

安達は笑顔になると、

「壁にはシール貼って、可愛くしたの。ねっ」

と向井を見た。

「シールってなんだ? 」

「ウォールステッカー。

新田とトリアと向井も貼ってるよ。

向井のはカッコイイんだ。

モノトーンで」

牧野の言葉に安達が楽しそうに説明する。

「この前一緒に買いに行ったの」

「えっ? 俺知らな………い………

あっ! うさぎのチーズケーキ! 」

牧野は声をあげると向井を見た。

「ずるい! ずるい! ずるい! 

何故、俺も誘わない! 」

「だって、お仕事でいなかったでしょ」

向井が笑いながら言う。

「うっ」

牧野が面白くなさそうに黙ったところで、

黒谷がやってきた。

「賑やかだけど、何話してたの? 」

「おお~似合うね~」

ディッセが黒谷のヘアスタイルを見て、

感想を述べた。

「大人カジュアル? カッコよくなったね」

坂下も褒めると、

「お疲れさまでした」

とオクトに声をかけた。

「前のも似合ってたけど、

今回の方が断然いいですよ。

これからもオクトさんにお願いされたらどうですか」

向井も黒谷のイメチェンに笑顔で言った。

「オクトさんがいいなら、

またお願いする」

そういうと掃除機を手にベランダに行った。

「俺は手が空いてるときなら、

いつでもOKだよ」

オクトも笑うと道具を片付ける。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

【完結】番である私の旦那様

桜もふ
恋愛
異世界であるミーストの世界最強なのが黒竜族! 黒竜族の第一皇子、オパール・ブラック・オニキス(愛称:オール)の番をミースト神が異世界転移させた、それが『私』だ。 バールナ公爵の元へ養女として出向く事になるのだが、1人娘であった義妹が最後まで『自分』が黒竜族の番だと思い込み、魅了の力を使って男性を味方に付け、なにかと嫌味や嫌がらせをして来る。 オールは政務が忙しい身ではあるが、溺愛している私の送り迎えだけは必須事項みたい。 気が抜けるほど甘々なのに、義妹に邪魔されっぱなし。 でも神様からは特別なチートを貰い、世界最強の黒竜族の番に相応しい子になろうと頑張るのだが、なぜかディロ-ルの侯爵子息に学園主催の舞踏会で「お前との婚約を破棄する!」なんて訳の分からない事を言われるし、義妹は最後の最後まで頭お花畑状態で、オールを手に入れようと男の元を転々としながら、絡んで来ます!(鬱陶しいくらい来ます!) 大好きな乙女ゲームや異世界の漫画に出てくる「私がヒロインよ!」な頭の変な……じゃなかった、変わった義妹もいるし、何と言っても、この世界の料理はマズイ、不味すぎるのです! 神様から貰った、特別なスキルを使って異世界の皆と地球へ行き来したり、地球での家族と異世界へ行き来しながら、日本で得た知識や得意な家事(食事)などを、この世界でオールと一緒に自由にのんびりと生きて行こうと思います。 前半は転移する前の私生活から始まります。

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

子持ちの私は、夫に駆け落ちされました

月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

処理中です...