『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第十二部

狙われる捨て地

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「トカゲが耳に止まってる感じ? 

カッコよくない? 」

試着させてもらい喜んでいるので、

「ではそれも入れて、

そうだ安達君と冥王にも買わないと喧嘩になるから………

君達はゴールドとシルバー? 

だったら安達君はピンクゴールドで、

もう一つはアンティークシルバーもあるんですね。

ならそれにしましょう」

そういって料金を払うと、

三鬼はその場でかぶり、

牧野達は箱に入ったアクセサリーを受け取り、

ご機嫌で歩き出した。

リボン屋さんに戻ると、

こんと呉葉もチューリップ柄の、

レースリボンを買ってもらったようで、

嬉しそうに袋を抱えていた。

「あら、三鬼もキャップを買ってもらったの? 

カッコイイね~」

トリアに褒められ嬉しそうに笑った。

「で、そこの二人にも買ったわけだ」

トリアは牧野達が手にする箱を見て言った。

「凄ぇ~カッコいいの。な~」

と牧野とヴァンが笑顔で顔を見合わせた。

「あとは安達君達の時に残しておかないと、

無限の財布じゃないので。

帰りのお土産代は、

フェムトンさんに回しますけどね」

向井が笑った。



彼らがブースに戻ると黒谷がいた。

「来てたんだ」

ヴァンが話しかけると、

「ちょっと揉め事があって遅れた。

赤姫さんがいてくれて助かったよ」

黒谷が肩を落としてため息をついた。

「何かあったんですか? 」

向井が聞くとディッセが来て、

「ちょっといい? 」

と手招きした。

向井とエハとヴァンが近づき、

牧野はチビ達を遠ざけると、

トリアとブースの中に入った。

黒谷もディッセの方に歩いていく。

「実は午前中に中央から、

捨て地再興庁と団地活性化委員会の役員が来て、

いきなり捨て地のリゾート計画があるから、

立ち退きの準備をしろって。

こっちは寝耳に水でさ。

急いで役所と自治体に連絡入れて、

住民と役員でにらみ合いよ」

「どうしてそんな話になったのさ。

俺達も知らないぞ」

ヴァンが驚いた。

「………」

黙るディッセに向井が言った。

「何か心当たりでもあるんですか? 」

「ん………冥界から見ると、

この国の状態はよくわかるだろ。

向井さんがオセロって表現したそうだけど、

本当に白と黒で分かれていて、

白の地域は大沢帝国崩壊から、

自力で立て直してきた民の土地なんだ。

中央からは捨て地でどうでもいい人間の、

姥捨て山と言われているが、

実際は中央より気持ちも豊かに暮らしている」

周りを見ながら話すディッセに、

向井は何が言いたいのか理解した。

「現在のこの国の衛星画像は、

以前の映像と比べると、

天国と地獄のように、

美しい土地と穢された土地で、

誰が見ても異常なのが分かるんです」

「そうなの? 」

黒谷が心配そうに聞いた。
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