『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第四部

冥王はシャカシャカ

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「図書室で漫画を読んでたらさ、

フンフがサンドイッチを………あれ? 

何かありましたか? 」

向井とトリアとアートンの姿に、

冥王が言った。

「えへへ」

トリアの笑いに、

「………バレちゃいましたか」

冥王も茶目っ気たっぷりに『えへへ』と笑った。

「えへへじゃないですよ」

「いいじゃないですか~

十朱さんが安達君の作品を凄く褒めててね。

これなら販売できるから、

売ってみたらって言ってくれたんですよ」

「そうやって安達君を出しに使って」

「いや、本当ですよ」

冥王はそういって、

サンドイッチを袋から取り出した。

「黒谷君が出すブースは大きいので、

横のテーブルで、

作ったものや本の販売ができるって言うから。

一度やってみたかったんですよ~

私が作ったものも売りたいです」

「冥王は何を売るんですか? 」

アートンが聞くと、

「水墨画を出します」

「水墨画? そんなもの売れますか? 」

アートンがビックリした顔になる。

「元秀さんに習って、

これなら作品として出せると、

お墨付きをもらいました。

それでそれを青田さんにプラ板に加工してもらって~

シャカシャカのバッグチャームにしたんです」

「へえ~凄いですね」

アートンが感心したように笑った。

「冥王が邪魔してたら、

元秀さんが仕事にならないでしょう」

向井の注意に冥王は口をとがらせる。

「お時間が空いた時に、

習っているから大丈夫です」

そんな話をしていると安達がやってきた。

「安達君、ミニチュア売るんだって? 」

アートンが聞くと、

「うん。三個だけ。

凄く綺麗にできたから、

売れたら嬉しいな。

十朱さんにも褒められたんだよ」

安達は嬉しそうに話した。

「弥生ちゃんも指輪を売るんだって。

当日は弥生ちゃんと一緒にお店番もするんだ」

「凄いですね」

向井は安達のそんな姿に、

驚きながら笑顔になった。

「ほら、こんなにみんながやる気になってるのに、

向井君が参加しないって言うのはね~」

「えっ? 向井は来ないの? 」

冥王の話に安達が不安そうに向井を見上げた。

皆の痛い視線を浴びて笑顔になると、

「心配しなくても大丈夫だよ。俺も行くから」

勝ち誇った顔の冥王をじろりと睨み、

安達に言った。

ここまで楽しそうな姿を見たら断れないではないか。

トリアとアートンが笑うのを見て、

向井はしてやられたと大きく息を吐いた。


――――――――


それからはフェスの後に発表会と、

イベントが続くことになり、

冥界も忙しくなってきた頃、

下界では悪霊が増えて動き回っていた。

昼夜を問わずして現れる悪霊に、

さすがの牧野も疲れがたまってきたようだった。

「もう~限界~」

アメジストドームに抱きつくと、

「あ~気持ちいい………体が楽になる…」

とそのまま床に寝転がった。

少しうつらうつらしていると、

「牧野君、しばらくお休みしてもいいって」

セイがやってきて声をかけた。

「えっ? 」

牧野は嬉しそうに飛び起きた。

「かなり除去出来てるから、

少しの間エハとヴァンが代わることになった」

エハは調達係、ヴァンはギャラリー担当の死神だ。

「助かる~でも、あいつら二人で大丈夫なの? 」

「あの二人は式神持ちだから」

「へっ?」

牧野はびっくりした表情のままセイを見た。
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