『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

文字の大きさ
上 下
135 / 631
第四部

冥界もイベント

しおりを挟む
「その帯どめの所にある飾り物は………妖怪ですか? 」

「あぁ、これか。先日イベントやらがあったとかで、

黒谷がお土産にくれたのよ。

これは人気があるらしいの~

付けていると妖怪たちが声をかけてくる」

赤姫はキャラクターの人形を触りながら笑った。

「冥王も大好きで、

冥界ではみんなこれの話で盛り上がってますよ」

「ほお~そんなに話題なのか」

「今、トリアがこの漫画家の仕事を手伝ってるんだよね」

「お前たちはそんな仕事もしておるのか」

赤姫は驚き入る表情で頷いた。

そして思い出したのか、話し出した。

「そうじゃ。黒谷がの、この漫画のコラボとかで、

コミックフェス? とやらに弁当を出すとか言っておった」

「へっ? 」

二人は素っ頓狂な声を出すと、お互いの顔を見た。

「なんじゃ、聞いておらなんのか」

「いや、初耳だな………トリアも何も言ってなかったし」

アートンも首を傾げた。

「ただ、忘れておるだけじゃないのか? 」

「そう…なのか? 」

先程の黒谷君の様子………

ふと嫌な予感を持って、

向井はアートンの顔を見た。


――――――――


赤姫と別れた後、

「まだお昼まで時間があるから、

混雑する前になんか買って帰りますか」

とアートンの言葉で、

二人は人気のサンドイッチショップに寄った。

「ここね。この前岸本君が、

お土産で持ってきてくれたんだけど、

数が足りなくて、

安達君食べそこねて、しょげてたんだよね。

向井さんも食べてないでしょ」

「知らないなぁ~」

ショップの前に立って、お店の看板を見上げた。

「凄い人気で、

この時間なら空いてるかなと思って」

店の中で何人かお客が並んでいるが、

混雑しているというほどでもない。

「ミートと卵の量が半端なくて、

ボリュームもあって美味しいんですよ」

アートンは笑顔になると店に入った。

これはSNS向きのサンドイッチだな。

向井も笑うとアートンと何種類か選び、

多めに購入して帰った。

冥界は妖怪が増えて、

いつにもまして賑やかになっていた。

「なんか楽しそうな声が聞こえるね~」

アートンは笑いながら、

声のする休憩室に入っていった。

「サンドイッチ買ってきたよ~

安達君が食べたがっていたサンドイッチだよ」

キッチンカウンターに袋を置くと声をかけた。

「ほんと? 」

ちびっ子たちと、

スポーツゲームをしていた安達が振り返った。

「サンドイッチ? 」

チビ達も走ってくる。

寝ていた牧野もむくっと起き上がると、

「俺も食べるぞ~」

カウンターに走ってきた。

「チビども。まずはこの俺が選んでからだ」

「なんで~」

「決まってるだろう。俺の方が年上だから」

そんな事を言っている横から、

安達が袋の中を覗いて一つ持って行った。

「わらわも~」

「こんも~」

「ボクも~」

キッチンは凄い状態で争奪戦になった。

「あ~あ~」

アートンがあきれ果てた顔で見てると、

「牧野君、一つだからね」

と声をかけた。

「じゃあ、僕達も食べよう。

向井さんは何飲む? 」

「ミネラルウォーター」

アートンは冷蔵庫から、

炭酸とミネラルウォーターを取り出した。

ここにきて人数も増えたので、

冷蔵庫の中のドリンクも種類が多くなった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

幼馴染の勇者が一般人の僕をパーティーに入れようとするんですが

空色蜻蛉
ファンタジー
羊飼いの少年リヒトは、ある事件で勇者になってしまった幼馴染みに巻き込まれ、世界を救う旅へ……ではなく世界一周観光旅行に出発する。 「君達、僕は一般人だって何度言ったら分かるんだ?!  人間外の戦闘に巻き込まないでくれ。  魔王討伐の旅じゃなくて観光旅行なら別に良いけど……え? じゃあ観光旅行で良いって本気?」 どこまでもリヒト優先の幼馴染みと共に、人助けそっちのけで愉快な珍道中が始まる。一行のマスコット家畜メリーさんは巨大化するし、リヒト自身も秘密を抱えているがそれはそれとして。 人生は楽しまないと勿体ない!! ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

おっさんの異世界建国記

なつめ猫
ファンタジー
中年冒険者エイジは、10年間異世界で暮らしていたが、仲間に裏切られ怪我をしてしまい膝の故障により、パーティを追放されてしまう。さらに冒険者ギルドから任された辺境開拓も依頼内容とは違っていたのであった。現地で、何気なく保護した獣人の美少女と幼女から頼られたエイジは、村を作り発展させていく。

処理中です...