128 / 631
第四部
妖怪新メンバー
しおりを挟む
「そうだ」
妖鬼はそんな呉葉の姿に笑うと、
シュークリームを食べながら向井を見た。
「実はそのことで冥王とも話し合ったんだけど、
とりあえず妖怪施設に部屋を用意して、
そこに住む許可を与えようという事にしたんだよ。
でね。その設計図なんだけど、
今は妖怪って三鬼とこんしかいないでしょ。
あの二人は同室で寝てるから、
新しく部屋を作るより、今ある部屋をリフォームして、
虎獅狼とクロ、千乃と呉葉で一部屋ずつにしてもらって、
作ろうかと話してたんだよね。
もしかしたら新たに妖怪が来るかもしれないし。
リノベしておいて正解だったよ」
「そうですね」
そんな話をしてると、
「わらわはこのえほんみたいなヘヤがいい」
呉葉が絵本を持ってきて広げた。
さっきまで泣いていたのに。
向井達は笑うと、
妖鬼も絵本を見て頷いた。
「なるほど。天蓋ベッドね。
女の子はお姫様が好きだよね」
「でな~いろはピンクとむらさきとシロがいい」
「お姫様のリクエストなら応えないとな」
呉葉の楽しそうな姿に冥王も笑顔になった。
「下界で辛い思いをしたんですから、
冥界くらいは楽しめないといけませんね」
冥王はそういうと、
呉葉を抱き上げ膝に乗せた。
――――――――
妖怪が増えて、
三鬼とこんが休憩室に走ってきた。
「しらないコがいるよ」
寝ている牧野の胸に二人して飛び乗ると、
三鬼がゆすった。
「げほっ!! お前らは俺を殺す気か!! 」
牧野は咳き込みながら、
ソファーから起き上がるとちびっ子を見た。
「おんなのコがいるの」
こんも牧野に顔を近づけると言う。
「知らない子って………あぁ、呉葉か」
牧野が思い出すように上を向いた。
呉葉も人間でいえば三歳くらいだというから、
三鬼たちと変わらない。
「これから一緒に暮らすことになるから、
お友達だな。
工房ではすれ違いだったのかな。
このところ工房に来てたのに、
お前らは会ってないのか? 」
牧野が言うと、
「こじろーはみたけど」
「そっか。お前らの家族になるんだから、
仲良くしてやれよ」
「かぞく? 」
「そう。家族」
そういうと、三鬼とこんは駆け出して行った。
「ああ~気持ちよく寝てたのに~」
牧野が伸びをしたところで、
アラートが響いた。
「ゲッ…無視してぇ」
「牧野君、行くよ」
エナトが呼びに来た。
「はいはい、行きますよ」
牧野は立ち上がると、
体を動かしながら休憩室を出た。
――――――――
向井達三人は、
虎獅狼達が追い出されたという土地に来ていた。
「ここか~」
ディッセは立ち入り禁止が張られたテープをまたぐと、
姿を消して入っていった。
向井とアートンもそれに続く。
「こんな場所にソーラーね……
この木を全て伐採するのか?
したところで土地も狭すぎるし、
日もそんなに当たらないだろうに」
ディッセの言葉に、
「全てにおいて小さすぎるから………
ここも何か意味があるのかも」
アートンも考え込んだ。
「でも………」
向井はこの土地に立って、ふと感じた。
歩きながら神祠があった場所を探す。
「どうした? 」
向井の動きにディッセが近づいてきた。
「いえね…感じません? ここって穢れがない………?
というか、あまり感じられないんです。
妖怪と言えども穢れの多い場所には住めませんから、
何か考えてこの土地も選ばれているんだと思います」
「………なるほどね」
ディッセも土地の位置を確認しながら、
ハッとなった。
ここも繋ぐと裏結界のレイラインに………なる?
ディッセは団地の位置とこの場所を思い浮かべ、
考え込んだ。
妖鬼はそんな呉葉の姿に笑うと、
シュークリームを食べながら向井を見た。
「実はそのことで冥王とも話し合ったんだけど、
とりあえず妖怪施設に部屋を用意して、
そこに住む許可を与えようという事にしたんだよ。
でね。その設計図なんだけど、
今は妖怪って三鬼とこんしかいないでしょ。
あの二人は同室で寝てるから、
新しく部屋を作るより、今ある部屋をリフォームして、
虎獅狼とクロ、千乃と呉葉で一部屋ずつにしてもらって、
作ろうかと話してたんだよね。
もしかしたら新たに妖怪が来るかもしれないし。
リノベしておいて正解だったよ」
「そうですね」
そんな話をしてると、
「わらわはこのえほんみたいなヘヤがいい」
呉葉が絵本を持ってきて広げた。
さっきまで泣いていたのに。
向井達は笑うと、
妖鬼も絵本を見て頷いた。
「なるほど。天蓋ベッドね。
女の子はお姫様が好きだよね」
「でな~いろはピンクとむらさきとシロがいい」
「お姫様のリクエストなら応えないとな」
呉葉の楽しそうな姿に冥王も笑顔になった。
「下界で辛い思いをしたんですから、
冥界くらいは楽しめないといけませんね」
冥王はそういうと、
呉葉を抱き上げ膝に乗せた。
――――――――
妖怪が増えて、
三鬼とこんが休憩室に走ってきた。
「しらないコがいるよ」
寝ている牧野の胸に二人して飛び乗ると、
三鬼がゆすった。
「げほっ!! お前らは俺を殺す気か!! 」
牧野は咳き込みながら、
ソファーから起き上がるとちびっ子を見た。
「おんなのコがいるの」
こんも牧野に顔を近づけると言う。
「知らない子って………あぁ、呉葉か」
牧野が思い出すように上を向いた。
呉葉も人間でいえば三歳くらいだというから、
三鬼たちと変わらない。
「これから一緒に暮らすことになるから、
お友達だな。
工房ではすれ違いだったのかな。
このところ工房に来てたのに、
お前らは会ってないのか? 」
牧野が言うと、
「こじろーはみたけど」
「そっか。お前らの家族になるんだから、
仲良くしてやれよ」
「かぞく? 」
「そう。家族」
そういうと、三鬼とこんは駆け出して行った。
「ああ~気持ちよく寝てたのに~」
牧野が伸びをしたところで、
アラートが響いた。
「ゲッ…無視してぇ」
「牧野君、行くよ」
エナトが呼びに来た。
「はいはい、行きますよ」
牧野は立ち上がると、
体を動かしながら休憩室を出た。
――――――――
向井達三人は、
虎獅狼達が追い出されたという土地に来ていた。
「ここか~」
ディッセは立ち入り禁止が張られたテープをまたぐと、
姿を消して入っていった。
向井とアートンもそれに続く。
「こんな場所にソーラーね……
この木を全て伐採するのか?
したところで土地も狭すぎるし、
日もそんなに当たらないだろうに」
ディッセの言葉に、
「全てにおいて小さすぎるから………
ここも何か意味があるのかも」
アートンも考え込んだ。
「でも………」
向井はこの土地に立って、ふと感じた。
歩きながら神祠があった場所を探す。
「どうした? 」
向井の動きにディッセが近づいてきた。
「いえね…感じません? ここって穢れがない………?
というか、あまり感じられないんです。
妖怪と言えども穢れの多い場所には住めませんから、
何か考えてこの土地も選ばれているんだと思います」
「………なるほどね」
ディッセも土地の位置を確認しながら、
ハッとなった。
ここも繋ぐと裏結界のレイラインに………なる?
ディッセは団地の位置とこの場所を思い浮かべ、
考え込んだ。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり
柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日――
東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。
中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。
彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。
無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。
政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。
「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」
ただ、一人を除いて――
これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、
たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
少年神官系勇者―異世界から帰還する―
mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる?
別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨
この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行)
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。
この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。
この作品は「pixiv」にも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
幼馴染の勇者が一般人の僕をパーティーに入れようとするんですが
空色蜻蛉
ファンタジー
羊飼いの少年リヒトは、ある事件で勇者になってしまった幼馴染みに巻き込まれ、世界を救う旅へ……ではなく世界一周観光旅行に出発する。
「君達、僕は一般人だって何度言ったら分かるんだ?!
人間外の戦闘に巻き込まないでくれ。
魔王討伐の旅じゃなくて観光旅行なら別に良いけど……え? じゃあ観光旅行で良いって本気?」
どこまでもリヒト優先の幼馴染みと共に、人助けそっちのけで愉快な珍道中が始まる。一行のマスコット家畜メリーさんは巨大化するし、リヒト自身も秘密を抱えているがそれはそれとして。
人生は楽しまないと勿体ない!!
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
おっさんの異世界建国記
なつめ猫
ファンタジー
中年冒険者エイジは、10年間異世界で暮らしていたが、仲間に裏切られ怪我をしてしまい膝の故障により、パーティを追放されてしまう。さらに冒険者ギルドから任された辺境開拓も依頼内容とは違っていたのであった。現地で、何気なく保護した獣人の美少女と幼女から頼られたエイジは、村を作り発展させていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる