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第四部

新悪霊玉

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アリーナの付近はトリアと牧野とオクトが、

三人がかりで大物を相手にしていた。

「じゃあ、俺達は裏に回りますか」

向井と佐久間が公園通りに出ると、

既にエナトとエルフが田所と動いてた。

「この辺りがここまで広がりを見せてると、

隣町にも被害が出ているかもしれませんね」

「そうですね」

二人がそんな話をしてると、

霊銃が光った。

「おっ、ディスプレイが出てきた」

向井が驚いていると、

空間に悪霊情報が浮かび上がった。

「この先ですね」

佐久間も位置を確認すると、

二人は駆けだしていった。

見ると空一面に黒い塊が広がっている。

「これは………牧野君の仕事なんだけどな~

とりあえず霊銃でどこまでできるか、

片っ端から撃ち込んでいきましょう」

公園付近は住宅地なので、

被害が出ないよう結界をはると、

黒い塊が空を覆った瞬間、

神速に霊玉を装填しながら撃ち放った。

すると………

一瞬で塊が玉に吸い込まれ消滅した。

「あれ? この玉って………」

向井は腰袋の霊玉ホルダーから玉を取り出すと、

光りにかざして見た。

「牧野君が使いたがってた霊玉? ハハハ」

佐久間は向井の手にある玉を見て笑った。

「これは………牧野君に怒られそうだ」

二人は顔を見合わせて笑うと、

次に光った悪霊の位置を確認し、

場所を移動した。


――――――――


冥界に戻ると、

死神課の前で牧野がむくれた顔で待っていた。

「なんで向井達が玉を使ってんだよ!! 」

「ごめんごめん。でも、俺達は悪くないですよ。

セイくんに渡されたのを持ってっただけだから」

「ちょっと、

それじゃ僕が悪者になっちゃうじゃないですか」

「本当の事ですから」

佐久間はそういってから、

「でも、あの玉は大きな悪霊の塊にも効果があるから、

除去課じゃない私達には使いやすくていいですね」

霊銃を返却した。

「ええ~そんなにスゲーの? 見たいんだけど」

「持ってった玉は使い切っちゃったからな」

向井もそういいながら、

返却してチェックにサインした。

「残りの玉ってどうなってんの? 」

「えっと………」

セイが霊玉の弾薬ケースを確認して、

へへへと笑った。

「田所さん達にも渡しちゃったからもうない」

「どうして除去課の俺じゃなくて、

関係ない奴に渡すんだよ~」

牧野が地団駄踏んでるところに、

田所達が戻ってきた。

「あの霊玉は凄いね~

これなら俺でも簡単に使えるから、

ヘルプにも入りやすいな」

田所が霊銃をセイに渡しながら話した。

その横で不機嫌な牧野を見て、

「なに? なんかあったの? 」

と聞いた。

「あぁそうか。

田所さんはゲームに参加してなかったから、

知らないのか~」

一緒に戻ってきたエナトが言った。

「俺も参加する前にセイくんから渡されたから、

いいのかなと撃ちまくってきた。ハハハ」

「………」

恨めしげに見る牧野に、

「もう、勘弁して~

究鬼室長にはもう少し数を増やしてって言っておくから」

セイは両手を顔の前で合わせると、

申し訳なさそうに言った。

「少し重さがあるんで、

改良したほうがいいかもしれないけど、

これ、本当にいいよ」

エルフも頷くように感想を述べた。

「俺も使いたい!! 」

「はいはい、子供じゃないんだから、

機嫌直して。

安達君に見られたら笑われるよ。

食堂でご飯にしよう」

エナトはそういうと、

牧野を引きずって行った。

そんな姿を笑いながら見ていた向井達も、

「そういえば俺もお腹が空いたな」

「私達もなんか食べよう」

と言いながら食堂に向かった。
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