『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第十八部

向井の帰還

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「どうしました? 」

「冥王がやったの? 」

「はっ? 」

トリアの言葉に眉を顰めると、

「向井さんが帰ってきました」

ディッセがいい、

冥王はトリア達と足早に廊下を進んだ。

式神課の前に来ると向井がいた。

「向井さ~ん。突然いなくなったから、

俺達心配してたんだよ~」

ヴァンがやってくると抱きついた。

「二十分くらいでしょ」

向井が笑うと、

「何言ってるんですか。

もう三時間ですよ」

エハの声に、

「えっ? そんなに経ってます? 」

向井も驚くと皆の顔を見た。

するとチビ達が走ってきた。

「パパおそい! 」

こんが怒って抱きついてきた。

「ごめんね」

向井が謝る横でトリアが耳打ちした。

【皆には毘沙門天の用で、

天上界に行ってたことにしてあるから】

向井は笑顔で頷くと、

「じいじの御用なので、

ちょっと遅くなっちゃいました」

と毘沙門天を見た。

「オヤジの用なんて、

どうせ大したことじゃないんだろ」

牧野も飴を銜えてやってきた。

「牧野君、神様の御用に、

大したことのないものはありませんよ」

毘沙門天はムッとして振り向いた。

「それは千歳飴ですか? 」

向井が聞くと、

「そう。向井にも一本やる。

スゲ………とても美味しいです」

とチビ達の姿に言いかえると、

袋から飴を出して渡した。

「いいんですか? 無くなっちゃいますよ」

「無くなんねえよ。

俺と安達も年の数だけ入ってんだもん」

「それは………」

向井はそこまで言って笑った。

「パパ帰ってきたんだから、

衣装に着替えないと」

早紀がやってくるとチビ達を連れて行った。

向井がチビに手を振りながらみていると、

「俺達も着替えに行くぞ」

と後ろから来た安達に牧野も声をかけた。

「安達君の歌う姿、楽しみにしてますよ」

向井の笑顔にホッとしたのか、

牧野に連れられ歩いて行った。

「安達君もちょっと不安だったみたい。

何も言わずに姿が見えなくなったから」

トリアが後姿を見ながら向井を見た。

「でもホッとしたよ~

吸い込まれた瞬間を見た時は、

悪霊にやられたと思ったからね」

ディッセもいい、坂下も安堵のため息をついた。

「ご心配をおかけしました」

向井が笑顔で頭を下げると、

「で、どこに行ってたんですか? 」

坂下が聞いた。

「ん~それが俺にもよくわからなくて、

暗い空間に閉じ込められたと思ったら、

次の瞬間ここに戻ってました」

「嘘だよね? 」

アートンが信じられないという顔で向井を見た。

「本当ですって。俺の方がビックリしたんですから。

冥王が何か力を使ったんだと思いますよ」

「ええ~」

ヴァンが冥王を見て笑うと、

皆で部屋へと歩き出した。

向井は彼らの後姿を見ながら、

冥王に近づいて行った。

トリアはちらりとそんな向井を見ると、

皆と一緒に歩き出した。

「お帰りなさい」

冥王が向井の肩を叩いた。

「向こうで竜之介様にお会いしましたよ」

「!! 」

冥王の顔が驚きに変わった。

「よく戻れましたね」

「ほんとに」

向井は冥王を見ると言った。

「閉じ込めたご本人から、

自分の所に来るなら、

出してくれると言われましたので」

向井はそれだけ言うとニヤリと笑い、

歩き出した。

「む、向井君。それはどういうことですか? 

ね~向井君~」

冥王は慌てたように向井の後を追った。
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