『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第十八部

冥王のため息

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冥界に戻ると冥王と毘沙門天が、

式神課にいた。

トリアは安達達がいないのを確かめると、

「向井君は毘沙門天の用で、

天上界に行ったってことにしておいて」

と耳元で話した。

「そういえば向井君の姿がないね」

毘沙門天がキョロキョロしながら言うのを、

冥王も表情を変えずに見ていた。

そこへ安達達がやってきた。

「向井は? 」

「パパは~」

「ごめんね~今私の御用で、

天上界に行ってもらってるんですよ」

「なんでさ」

毘沙門天の話に牧野が怪訝そうな顔をした。

「悪いですね。急ぎの用だったんでね」

「おうたのじかんにもどってくる? 」

三鬼が心配そうに言うのを見て、

トリアが笑った。

「まだ時間があるから大丈夫よ」

「ほら、みんなご飯は食べ終わったの? 」

エハがホールの方へ促す。

「もう、たべちゃったよ~」

こんが話す。

「飴は? 中を見た? 」

「!! 」

チビ達は思い出したのか、部屋へと駆けだして行った。

「では、私達も戻りましょうか。

安達君と牧野君にも飴があるんでしょう? 

見てみました? 」

「おっ、そうだった」

「まだ見てない」

「私も見たいです。少し分けてください」

毘沙門天が話しかけながら、

笑顔の安達達と歩き出した。

そのあとをヴァンも付いていき、

残ったものが冥王の顔を見た。

「冥王には話があるから。

事によっては冥王と言えど罰が下るよ」

トリアが言い、彼らは冥王室に向かった。



室内に入ると、

冥王は黙ったままトリア達の話を聞いていた。

「分かりました」

話を聞き終え、冥王は目を閉じた。

暫し考え込んでいたが、

大きく一つ息を吐くと頷いた。

「向井君は大丈夫だと言ったんですね」

「言ったけど」

トリアが不服そうに冥王を見た。

「だったら大丈夫でしょう。

ただ向井君が言ったように、

私にも心当たりがあるので確認します」

四人が疑うような表情で冥王を見ているので、

「あのビルを利用されたのは失敗でしたね。

まさかこんなことを企てるとは、

考えていなかったので私も油断してしまいました」

冥王は黙ると片笑んだ。

「冥王は向井さんを狙った相手をご存じなんですか? 」

坂下が静かに口を開いた。

「そうですね。私が彼を気に入っていることを知って、

イタズラされたんでしょう」

「誰ですか? そんな事するものって。

安達君まで利用して質が悪すぎるよ」

ディッセも納得がいかない様子で、

冥王を睨んだ。

「ん~そういう人物なんですよ。

本人には悪気がないので、

向井君をどうこうするつもりはないと思いますよ」

冥王はそれだけ言うと立ち上がった。

「心配しないで大丈夫です。

私にも考えはありますから。

向井君は怒ってたんじゃないですか? 」

冥王が笑うと、

「笑い事じゃないでしょう。怒ってたわよ」

トリアが睨んだ。

「向井君には以前から言われてたんですけど、

はぐらかしていたので、

怒られても仕方がないんです。

さて、私もこれからすることがあるので、

君達は普段通りにして、

皆に気づかれないようにしてください」

冥王はそれだけ言うと彼らを部屋から追い出した。
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