『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第十八部

二部構成の七五三

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「カラオケ大会と言うくらいですから、

皆さん出られるんですよね」

「向井君も出る? 」

「いえ、俺は歌の方は苦手なので」

トリアの言葉に向井は笑いながら首を振った。

「オンチなんですか? 」

冥王が聞いた。

「オンチではないと思いますけど、

上手いとも言われたことはないですからね」

苦笑いをした。

「牧野君はやる気満々だし、

佐久間さんや田所さんもカラオケ大会やるなら、

歌うって張りきってたからね」

「皆さん歌がお好きなんですね。

ディッセさん達も参加されるんですか? 」

「俺もトリアも出るよ」

「それは楽しみです」

向井がそう言ったところで安達がやってきた。

「向井~行くんでしょ」

「はい」

向井が返事をすると、

その後ろからセイも歩いてきた。

「向井さん黒谷君の所に行くなら、

カメラセットしてきて。

チビ達が衣装きて歌うって、

黒谷君に話してて見たいって言うから、

カラオケ大会だし中継しようってなったの」

「いいですよ」

「いっそのことカメラずっと設置しておけば? 

黒谷君以外は見れないんだし」

トリアが言うのをセイが首を振った。

「それ、黒谷君には難しいんだよね。

冥界は霊電でしょ。

小さな悪霊だと黒谷君は、

知らないうちに除去しちゃうんだよね。

だからメンテが必要なんで、

中継の度にセッティングしたほうが早いの」

「あ………そっか。でも、

冥王とリモートで話してるじゃない」

トリアが考え込みながらセイを見た。

「あれは冥界のタブレットだから。

霊電じゃなくても繋げられるし、

ヴィヴィを通しての映像だから、

黒谷君に渡したの」

「そうなんですね」

そういうと向井が、

トレイを持って立ちあがった。

「向井君」

冥王が呼び止めた。

「なんですか? 」

「黒谷君も中継を見るなら、

審査員をお願いしますって、

言っておいてください」

「これも順位が付くんですか? 」

向井が驚きながら笑った。

「大会ですよ。当然です」

冥王が自慢げに胸を張った。

「景品はどっちにしても食べ物だから、

打ち上げで食べて終わっちゃうんだけど、

今回は外れ無しのクジがあるのよ」

「俺も狙ってるのあるの」

トリアの話に安達も楽しそうに向井を見た。

「へえ~なんでしょう」

「カラオケ大会用に、

私が工房の作家さん達にお願いして、

作ってもらったんです」

向井が何も言わずにじっと見ているので、

「皆さん楽しいって、

喜んで作ってくれたんですからいいんですよ」

と冥王が言った。

「まあ、サロン霊も楽しんでもらえるように、

ステージで歌うからさ。

毘沙門天に蜜実を分けてもらって、

優香ちゃんに蒸しケーキとジュースを作ってもらった。

みんなそれが楽しみなんじゃないかな」

ディッセも笑うと、

「じゃあ俺も一緒に行って、

店の様子も見てこようかな」

と椅子から立ち上がった。

四人が歩き出すと、

朝食を食べ終えたチビ達が元気に走って行った。

「これから俺はチビ達の髪型を、

可愛くさせてくるよ。

あっ、安達君も戻ってきたら、

セットするからね」

オクトが声をかけると、

弥生と早紀と一緒にチビを追いかけて行った。
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