『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第十七部

イケメン賞?

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発表会が始まると、

みんな楽しそうに演目を見ていた。

妖鬼達とチビは大掛かりなマジックを披露し、

拍手喝采。

倉田とカランはバルンアートを見せ、

河原が出来上がったものをもらって、

はしゃいでいた。

岸本とサランダはアコーディオンを弾き、

観客のリクエストにも応え、

喜ばれていた。

牧野達のステージが終わると、

「組体操だったのね」

フェムティが拍手をしながら言った。

「安達君が運動会に参加したことがないって言ったんで、

牧野君がやらせたみたいだけど、

なんで組体操だったんだろうね」

ニットンが笑いながら近づいてきた。

「そういう事か」

「なに? 」

アートンの言葉にフェムティ達が振り向いた。

「ほら、冬の大運動会さ。

冥王は安達君の為にもやりたかったんじゃないの? 」

「あぁ~」

トリアも頷いた。

「おっ、次は女性コーラスだ」

キャトルがピアノの前に座る源じいと、

同じドレス姿の真紀子たちを見て笑顔になった。

歌が始まると、

舞台袖から赤姫、弁財天、吉祥天が出てきて、

優雅に踊り始めた。

その姿に観客もうっとりと見つめている。

「ねえ、なんで神様三人は踊りを披露してるの? 」

フェムティが不思議そうに聞く。

「実は吉祥天は歌がね………」

「下手なの? 」

トリアの話にフェムティ達が振り向いた。

「ん………上手いとは言えないわね。

本人は自信満々なんだけどさ。

どうしても周りが引きずられちゃうから、

煽てて踊りにしようってことになったのよ。

まぁ、神の舞は縁起もいいからね」

トリアは腕組して笑った。

「大トリは向井さん達? 」

フェムティが楽しそうに舞台を見る。

するとディッセとヴァンが縄を回し始めた。

「わあ~」

観客の歓声の中、向井達がダブルダッチを始めた。

「なるほど。これの練習をしてたんだ」

チビと安達、牧野は夢中になって見ている。

「はぁ~カッコいいね。

向井さんと新田君はイケメンだからね~

佐久間さんはいい人材を確保したよね。

チームにはティン君達も入ってるから、

イケメン賞も貰えそう」

坂下も近づいてくると言った。

「イケメン賞なんてないでしょ」

トリア達は笑うと拍手した。



発表会後は恒例の打ち上げがあり、

休憩室では大盛り上がりで、

みんな楽しそうに飲んで食べてと賑やかだった。

カメラを外して、

黒谷の所から帰ってくると、

先程まで騒いでいたチビも疲れたのか、

ぐっすり寝ていた。

向井とトリアはチビを部屋へと連れて行った。

「目が覚めたらお風呂入れて夕食かな」

二人が休憩室に戻ると、

「ご苦労様」

と早紀が声をかけた。

カウンターには早紀、アートン、坂下、

シェデムが酒を飲みながらつまみを食べていた。

「田所さんと弥生ちゃんは消去が増えて、

今エルフとオクトも手伝ってる。

チビ達には一応、

チキンサンドとスープを用意しておいたよ」

セーズもやってくると、冷蔵庫からビールを出した。

「サロン霊は今日も減ったので、

消去課は忙しいかもしれませんね」

向井も椅子に腰かけるとセーズを見た。

「チビ達は屋台で、

ちょこちょこつまんでたから、

お腹はいっぱいだと思うのよ」

シェデムがそういって時計を見る。

「今寝てるでしょ。

夕食の時間に起きだすと思うから、

丁度いいかな」

「大人はこのまま宴会で寝ちゃうんじゃないの」

早紀が笑って部屋を見ると、

既に安達と牧野はキッズルームで、

大の字になって寝ていた。

「大きい子供は気持ちよさそうだね」

アートンがピザを齧りながら笑った。

大人達がそんな話をしていると、

向井のリングが光った。

「ん? 悪霊かな? 」

ディスプレイを浮かび上がらせると、

「………」

トリア達も怪訝そうな表情になった。

「別に問題はなさそうに見えますけど………

人食いビルですね。

ん………少し気になるので見てきます」

向井が立ちあがると、

「じゃあ、私も一応見ておく」

とトリアもスツールから下りた。

「二人だけで平気? 俺も行こうか? 」

アートンが言うのを、

「大丈夫。僕も行きますから。

それに皆さんはお酒飲んでるでしょ」

と坂下が笑った。

「これくらいいつもの事じゃん」

早紀が笑うのを聞きながら、

向井達は部屋を出て行った。

「あれ? 向井さん達どこ行くの? 」

死神課の前でディッセが足を止めた。

「ディッセこそ、どこに行ってたの? 」

トリアが聞くと、

「喫茶店。ほら、作品完売したじゃん。

だから新たに納品にね」

「あれ、全部売れちゃったんだ」

驚く坂下にディッセが笑った。

「そうなんだよ。

神様のシャカシャカがね。

で、みんなはどこに行くの? 」

「人食いビルに行ってきます」

向井が言った。

「何か問題? だったら俺も行く」

「ディッセが来ても役に立たないじゃん」

「そんなこと言うなよ~」

トリアの言葉にディッセが不貞腐れたように笑うと、

四人は下界に下りて行った。
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