『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第十七部

じいじの怪我?

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「じいじ、ゆびけがしたんだって」

「いたいんだって」

「かわいそ~」

チビ達がそう言いながら向井を見た。

「チビ達にそんなこと言って」

トリアは文句を言うと、

「じいじの指は少し血が出ただけ。

大袈裟なんだから」

と冥王を睨んだ。

向井も苦笑すると、

ハクをキッズルームに寝かせに行った。

まだ紙パンツを履かせているので、

そのまま寝かせてブランケットをかけた。

「冥王はその手でおやつを食べたら、

ガーゼが汚れて却って不衛生ですよ。

血が止まってるなら、

ガーゼを取らないと蒸れて、

反対に指が腫れちゃうかもしれませんね」

向井の言葉に冥王は慌ててガーゼを外した。

大人達がププッとふき出す。

「じいじへいき? 」

チビ達が指を見るのを、

「ほら、ちょっと点になってるだけで、

血も出てないでしょ? 」

とトリアが言って手を叩いた。

「痛いです。また血が出たらどうするんですか」

冥王がむくれて手をさすった。

「はい、ココアを入れたので、

おやつにしましょう」

坂下が笑いながらやってくると、

チビ達のキッズチェアの前に置いた。

「今日はちゃんと鍋で作って、

マシュマロ乗せましたよ」

坂下が言った。

三人は嬉しそうに椅子に座ると、

クッキーとココアに夢中で、

冥王の事は忘れてしまったようだ。

「どうせ私の存在なんてココア以下ですよ」

冥王はそういうと、自分もココアを飲んだ。

「そうだ。これは冥王にお土産です」

向井はそういうとループタイを渡した。

「おっ、ワニですか。

作りも精巧でカッコいいですね~

有難う」

先程までむくれていたのに、

もうご機嫌でループタイを首に下げて喜んでいる。

「ほんと、単純」

トリアも笑うとキッチンに行った。

佐久間とティンが残りのココアをカップに注いでいると、

「はあ~疲れたの~」

虎獅狼達が首を揉みながら入ってきた。

「チビ達も戻ってきた………ん? 

おい、こやつらは寝ておるぞ」

クロが笑うと向井達を見た。

「えっ? 」

ココアを並べて戻ってきた坂下も振り返った。

源じいも笑うと、

チビ達のカップを倒さないように、

テーブルの奥に置きなおした。

向井とトリアとアートンが慌てて、

チビ達の所へやってくる。

「三鬼はあくびしながら帰ってきたので、

そろそろお昼寝かなと思ってたんですけどね」

向井は笑うと、

うつぶして寝ている三鬼を抱き上げ、

トリアとアートンもこんと呉葉を、

持ち上げた。

「虎獅狼達もココアにする? 

それともミルクティ? 」

坂下がカップを並べながら聞いた。

「ミルクティーにマシュマロがいいわ」

千乃が言うと、

虎獅狼とクロも同じがいいと言った。

「明日までに納品すると言われてな。

もう、大変だったよ」

虎獅狼がソファーに座ると、

テーブルに置かれたお土産に笑顔になった。

「面白いな~これは全部動物か? 」

お菓子を見ながら楽しそうに言う。

「動物園に行ってきたので、

お土産のお菓子がどれも動物なんです」

向井がキッズルームから戻ってきて説明した。

「楽しかった? 」

千乃がチョコレートを選びながら、

安達と牧野を見た。

「凄かったよ~鳴き声も動きも本物みたいで、

俺もビックリしちゃった」

「千乃たちも今度行こうぜ。

捨て地だから危なくないし。

目の前で動くんだよ」

安達と牧野が体を動かしながら説明する様子に、

「そりゃ行ってみたいの~」

クロも笑いながらマフィンを口に入れた。

「定期的に動物の入れ替えや、

全体的な園内の作りも変えているそうなんですよ。

今回はクジラやお猿さんはいませんでしたから、

次の時にはいるかもしれませんね」

「ほぉ~」

源じいの話に虎獅狼達も興味深げに頷いた。
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