『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

文字の大きさ
上 下
575 / 631
第十七部

森のお店

しおりを挟む
店内は昼を過ぎていることもあり、

客の姿も少なかった。

「いらっしゃい」

六十代と思われる女性が出てきた。

「あら、可愛らしいお客さん」

チビ達を見てにっこり笑った。

「だったら窓際の席がいいですね。

キッズチェアもありますから」

女性はそういうと席に案内してくれた。

ハクは初めてのレストランに楽しそうだ。

「パパ、ガチャ」

指をさすと見上げた。

「あったね~

じゃあ、メニューを決めたらね」

女性は笑顔でそんなハクを見ると、

「うちは昔ながらのメニュー表なんです。

ランチの他には、今日はこちらがご用意できます。

キッズメニューはパスタかピラフで、

お子様ランチになってます。

決まったらボタンを押してくださいね」

と説明して戻って行った。

「俺はランチにしようかな。

明太クリームのうどんだって」

「私はエビカツにします」

「カツも美味しそう~私もそれにしようかな」

大人達が選ぶ横でチビ達も、

真剣に写真を見ながら選んでいた。

それぞれメニューが決まったところでボタンを押し、

女性が来るのと同時に、

牧野達がチビを連れてガチャブースに歩いて行った。

「ガチャは私の趣味みたいなものなんですけど、

皆さん喜んでくれてるので、

置いてよかったと思ってるんです」

チビ達が楽しそうにガチャを選ぶ姿に、

女性が話した。

「私もこの前来た時に回して、

これをゲットして鞄に付けてるんですよ。

それで子供達も欲しいって」

と笑顔で女性を見た。

「有難うございます。

皆さんが宣伝してくれるので、

ガチャ目当てで来る方もいるんですよ。

作り甲斐があって嬉しいです」

「このお店の山猫は、

宮沢賢治から付けられたんですか? 」

向井が聞くと、

「あはは。

皆さん、そう言われるんですけど、

映画の山猫から取ったんですよ。

私の若い頃は、

毎年のように殺人ウィルスが蔓延しててね。

新しい映画もなかなか見られなかったの」

女性が笑いながら話した。

「リバイバル上映が人気の時代ですね。

私はあなたより年上ですが、

やはり、当時は映画館に通いましたよ」

源じいも懐かしむように言った。

「あの頃も今と同じにレトロブームで、

懐かしい映画が新鮮だったんです。

その時見た映画の一つが山猫で、

アラン・ドロンが素敵でね」

「ドロンはいい男でしたね」

源じいも笑った。

「それでお店を山猫にして、

私がキャラクターを書いたんです。

レストランなので、

宮沢賢治のイメージの方が強いですよね。

店内も私の趣味で、

森の中にあるような雰囲気にしてしまって。

ふふふ」

女性は楽しそうに笑うと、

注文を取って戻って行った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

少年神官系勇者―異世界から帰還する―

mono-zo
ファンタジー
幼くして異世界に消えた主人公、帰ってきたがそこは日本、家なし・金なし・免許なし・職歴なし・常識なし・そもそも未成年、無い無い尽くしでどう生きる? 別サイトにて無名から投稿開始して100日以内に100万PV達成感謝✨ この作品は「カクヨム」にも掲載しています。(先行) この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。 この作品は「ノベルアップ+」にも掲載しています。 この作品は「エブリスタ」にも掲載しています。 この作品は「pixiv」にも掲載しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

幼馴染の勇者が一般人の僕をパーティーに入れようとするんですが

空色蜻蛉
ファンタジー
羊飼いの少年リヒトは、ある事件で勇者になってしまった幼馴染みに巻き込まれ、世界を救う旅へ……ではなく世界一周観光旅行に出発する。 「君達、僕は一般人だって何度言ったら分かるんだ?!  人間外の戦闘に巻き込まないでくれ。  魔王討伐の旅じゃなくて観光旅行なら別に良いけど……え? じゃあ観光旅行で良いって本気?」 どこまでもリヒト優先の幼馴染みと共に、人助けそっちのけで愉快な珍道中が始まる。一行のマスコット家畜メリーさんは巨大化するし、リヒト自身も秘密を抱えているがそれはそれとして。 人生は楽しまないと勿体ない!! ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

おっさんの異世界建国記

なつめ猫
ファンタジー
中年冒険者エイジは、10年間異世界で暮らしていたが、仲間に裏切られ怪我をしてしまい膝の故障により、パーティを追放されてしまう。さらに冒険者ギルドから任された辺境開拓も依頼内容とは違っていたのであった。現地で、何気なく保護した獣人の美少女と幼女から頼られたエイジは、村を作り発展させていく。

処理中です...