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第十六部

大好きガチャ

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「ガチャとは何ですか? 」

毘沙門天が食べ終えて口を拭きながら言った。

「あのね、ボールの中にね、

おもちゃが入ってるの」

三鬼がパンを食べ終え、

身振り手振りで説明した。

「はいはい、分かったから、

口と手を拭いてください」

向井がナプキンを取り、

汚れを拭きとった。

「ほお~そんなおもちゃがあるんですか」

「昔からあるんですけど、

最近は本格的でビックリしますよ」

向井が毘沙門天の顔を見て説明した。

「ガチャ? 」

ハクも食べ終えると、

毘沙門天にナプキンで拭かれながら向井を見た。

「ハクはガチャしたことないもんね」

安達も残りのパンを口に放り込んだ。

「初ガチャだ」

牧野は笑うと、

「オヤジもやってみなよ。

何が出るかは運次第~♪ 」

と楽しそうに口ずさんだ。

「ほお~では、私の神の力で狙ってみましょう」

「それじゃズルですよ」

サランダも食べ終えた紙を片付けながら笑った。

「俺は第二陣が来る頃ですから行けませんよ」

「ええ~」

向井の言葉に、牧野が声をあげた。

「だったらトリアかフェムトンが来てよ」

「どうせお金でしょ」

トリアが言い、フェムトンと顔を見合わせた。

「俺とティン君で店番してるし、

せっかくだから岸本君達も見てきなよ。

ガチャショップって俺達の頃と違って、

凄く種類増えてるから驚くよ」

新田が言うのを聞いて、

「そういやガチャなんて、

子供の頃以来だからな。

見に行ってこよう」

岸本はサンク達の顔を見た。

「ジュース飲みたい」

ハクがドリンクを持って歩く人を見て、

指さした。

「フレッシュジュースの専門店が出店してるからね。

ハクが好きな林檎もあるわよ」

フェムトンが笑った。

食事を終えてテーブルを離れると、

向井達はジュース専門店に向かった。

「わらわはバナナ~」

「メロン~」

「僕は苺がいい」

チビ達が写真を見ながらいう。

「これ、ショートでどれくらいですか? 」

向井が聞くと、

「うちは小さいサイズでも、

量があるんですよ」

と言ってカップを見せてくれた。

ショートで通常サイズなので、

「チビ達は飲みきれないでしょうから、

大人と半分で分けてください」

と向井が言った。

「ええ~飲みかけ~」

牧野のブーブー文句を言う姿に、

「いいですよ。俺は残りで」

と向井が笑った。

「私達もそれでいいわよ」

トリアとフェムトンも仕方がないわねと、

ため息をついた。

「私はハクと半分こにしましょう」

ハクを抱っこする毘沙門天も一緒に笑うと、

「ハクは何が飲みたいですか? 」

と聞いた。

「あの黄色いの」

ハクが指さすのを見て、

「林檎じゃなくていいの? 」

トリアが聞いた。

「黄色いのがいい」

パイナップルが気になるようで、

「ではじいじと、パイナップルを半分こしましょう」

二人が笑ってる姿に、

店員がぼう~と魅入っていた。

やはり神のオーラは霊感に関係なく、

周りを包み込むようだ。

しかもハクも神に近いオーラが見られる。

二人がいる場所は特に優しい空気に包まれ、

それだけでも人は恩恵を享受している。

向井が微笑んで見ている様子を、

トリアとフェムトンもまた、

嬉しそうに眺めていた。
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