『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第十四部

悪霊退治に出発

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「それに比べて………」

「なんだよ。俺だって成長してるよ。

だから手伝ってやると言ってんの」

「上から目線ですね」

向井があきれ顔で牧野を見ると、

「でも、牧野君は力加減を学んでいかないと、

毒を受けっぱなしで疲れが溜まりますから、

これはいいお仕事になるかもしれませんね」

と笑った。

「これからすぐに出掛けるから、

帰るのは夜中になるけどいいかな? 」

カランの言葉に、

「大丈夫ですよ」

返事をする向井の横で、

「俺、夕飯食べ損ねたから、

何か美味しいもん食べたい」

「………遊びに行くんじゃないのに」

さすがに坂下も呆れるように牧野を見た。

「分かったよ。美味しいもん食べよう。

北と西でしか食べられないもんもあるからね」

カランが笑うと、

彼らはすぐに西へと出発した。



「出かけていきましたか」

究鬼が出発した向井達を見送っていると、

冥王がやってきた。

「ええ。彼らなら大丈夫でしょう。

諦めてしまった方が楽なことは、

生きていれば沢山あります。

でも、彼らは死んでも今を諦めずに、

なんとか模索して抗ってくれています。

冥王もいい子供達を持って幸せですね」

「下界の子供達にも、

諦めずに生きて欲しいですけどね。

私がこの国を治めているわけではありませんから」

冥王が話しているとこんが走ってきた。

「むかいは? 」

「ん? お仕事に行きました」

「もどってくる? 」

こんは冥王の手をぎゅっと握ると見上げた。

「大丈夫ですよ。ちゃんと戻ってきます。

この前だって帰ってきたでしょう? 」

冥王はそういうとこんを抱き上げた。

「むかいはどこじゃ~」

そんな話をしていると、

今度は呉葉と三鬼が走ってきた。

後ろからアートンが追いかけてくる。

「こんだけだっこずるい………」

呉葉はそこまで言って三鬼と一緒に、

冥王をじっと見つめた。

「めいおーはとしよりだから、

だっこするとあぶないぞ」

「えっ? 」

呉葉の言葉に究鬼達が驚いてチビを見た。

「めいおーはね~こしがいたいって。

マキちゃんがじいじだから、

だっこはおとされるって」

三鬼が冥王を見上げた。

「あはははは」

究鬼が笑った。

「大丈夫だよ。抱っこしても落とされないよ」

「牧野君は私を年寄り扱いですか」

冥王がむっとするのを見て、

アートンも苦笑いした。

「それは仕方がないかも。

この前も肩が凝ったって、

牧野君に揉ませてたでしょ。

そういう姿を、

チビはちゃんと見てるんですよ」

「………」

冥王は心配そうな顔のこんを見た。

「こんおりる」

「大丈夫ですよ。休憩室に戻りましょう」

「じゃあ、呉葉と三鬼は俺が抱っこしちゃおう」

「やあ~」

笑ながら休憩室にかけていくチビを、

究鬼が追いかけていった。
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