上 下
501 / 631
第十四部

スター? 向井

しおりを挟む
「!! これは………」

「ねえ、私達も見てビックリしちゃった」

早紀が新田と顔を見合わせクフフと笑った。

「こうなったらみんながいる前で、

お披露目しちゃいましょうか」

「え~可哀想だよ~」

冥王の楽しそうな表情に、

ヴァンも否定しながら一緒に笑った。

「何やってんだ? あいつらは」

妖鬼が片隅で悪だくみでもするように、

ひそひそ話で笑う冥王達を見た。

「なんでしょうね。でも、

ロクでもないことのような気もしますね」

向井も彼らを見ながら苦笑いをすると、

「食べないんですか? 」

と声をかけた。

「食べますよ~」

冥王達は楽しそうに笑いながら戻ってきた。

「皆さん揃いましたか~」

坂下が声をかけると、

「は~い」

と席に着き手を挙げた。

「ではいただきましょうか」

向井の言葉にそれぞれがいただきますといい、

食事を始めた。

「僕、つくね食べたい」

「わらわも」

「ちょっと待ってね。もうすぐ焼けるから」

佐久間が焼き鳥を焼きながら言った。

「俺はカルビとホタテ~」

牧野が楽しそうにどんどん焼いていく。

「俺、レタスが好き~」

安達が肉をレタスで巻いて、美味しそうに食べた。

「僕はサンチュかな~」

アートンもカボチャや玉ねぎを焼きながら、

肉と一緒に巻きながら言う。

みんなでワイワイ食べ始めたところで、

冥王が向井を見ながらイヒヒと笑った。

「なんですか。さっきから」

向井が眉をひそめて冥王を見てると、

ティンが立ち上がって大画面に何やらセットを始めた。

すると………

有名な海外ブランドのCMが流れてきた。

スーツ姿の若い男性が、

拳法のようなアクションで悪漢をやっつけ、

女性を助けると抱きあげて走り去っていく。

ラストはその状態でビルを飛び越え、

車に飛び乗るがスーツは乱れることなく、

スマートな着こなしのままというCMだ。

「ええええええ~~~~!! 」

みんなの驚きの声が響き、

「これ、向井じゃん!」

牧野が振り返った。

「ほぉ~カッコいいの~

向井は芸能人だったのか? 」

虎獅狼が肉を食べながら画面を見てにんまりする。

「違いますよ。大体、

よくこんなに古いCMを見つけましたね」

向井は冥王達がこそこそしていた理由が分かり、

苦笑した。

「今日偶然ドラマを見てたら、

このCMが流れてきたから、

皆を驚かそうと思って流したの」

エハが向井をいたずらっ子のような顔で見た。

「カッコイイ………」

安達とチビ達が真剣にCMを見ている姿に、

大人達が笑った。

「向井は新田と同じでスターなのか? 」

呉葉が飛んでくると膝に座った。

「違いますよ。

これは伯父の知り合いが、

デザイナーをしているブランドで、

学生時代にお願いされて一度だけ出たんです」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

キャバ嬢とホスト

廣瀬純一
ライト文芸
キャバ嬢とホストがお互いの仕事を交換する話

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

独り日和 ―春夏秋冬―

八雲翔
ライト文芸
主人公は櫻野冬という老女。 彼を取り巻く人と犬と猫の日常を書いたストーリーです。 仕事を探す四十代女性。 子供を一人で育てている未亡人。 元ヤクザ。 冬とひょんなことでの出会いから、 繋がる物語です。 春夏秋冬。 数ヶ月の出会いが一生の家族になる。 そんな冬と彼女を取り巻く人たちを見守ってください。 *この物語はフィクションです。 実在の人物や団体、地名などとは一切関係ありません。 八雲翔

先生と僕

真白 悟
ライト文芸
 高校2年になり、少年は進路に恋に勉強に部活とおお忙し。まるで乙女のような青春を送っている。  少しだけ年上の美人な先生と、おっちょこちょいな少女、少し頭のネジがはずれた少年の四コマ漫画風ラブコメディー小説。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...