『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第十四部

可愛いエプロン

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「そうだ。新しいエプロンが出来たんだ」

黒谷がふと思い出したように言うと、

立ち上がった。

「牧野君にもお洒落なプレースマットがいいって、

言われたでしょう。

それで和明さんにエプロンと一緒に、

プレースマットも作ってもらったんだ」

そういって店舗に行くと、

箱を持って戻ってきた。

「和明さんて祐実さんの息子さん? 」

坂下が驚いて黒谷を見た。

「そう。祐実さんのとこって雑貨屋さんじゃない。

で、お店に行ったら、布ものとか和雑貨が多くて、

聞いたら和明さんが作ってて、

祐実さんはお店番するだけって言うから驚いたんだよ」

「和明さんも災害の時に会社がつぶれて、

丁度お父さんが倒れたんで、

こっちに戻ってきたんだよね。

で、自宅を改装して和雑貨のお店を開いたんだ」

坂下が説明した。

「そうなんだってね。

服飾会社で、

バッグデザイナーしてたって聞いてさ。

だからあそこにある物の殆どが、

和明さんの作品だって知って、

お願いしたの」

そういって箱からエプロンとプレースマットを出した。

「毎日使うものだから、

数年持つタイプを探してたんだよね

これならPUレザーだし、

丈夫で汚れや水にも強いし、

何よりこの色合いが喫茶店に合うだろ? 」

「そうそう。これだよ。俺が言ってた色。

あのテーブルに乗せたら絶対カッコいいよ」

牧野もやってくると手に取って言った。

「牧野君は意外と色のセンスはいいんだ」

ティンもマットを見ながら頷いた。

「意外とってなんだよ。俺のファッションセンスは、

冥界一だぞ」

「高い服だってのは知ってるけど、

そう見えないよ」

フェムトンが言った、

「冥王にワンコインの皿で十分と同じレベルよ」

「なんだと? 」

笑うトリアに牧野がムッとして睨んだ。

「センスがいいって言ったら、

ティン君の方がカッコいいよね」

早紀も笑いながら牧野を見た。

「それは見目だろ」

「ティンより劣ってるのは分かってるわけだ」

シェデムも笑った。

「みんなして俺を馬鹿にして」

「誰もバカになんてしてませんよ。

牧野君が可愛いんです」

向井が笑いながらむくれる牧野を見た。

「えっ? 俺って可愛がられてるの? 

参ったなぁ~」

赤くなって照れる牧野に、

「単純な子ね」

トリアも笑った。

「で、これがエプロン」

黒谷が袋から出した。

「うわ~素敵。和テイストが入ったカフェエプロンね」

エハが近づいてきて、エプロンを見た。

「で、こっちが玲子ばあ達が着たがってたエプロン」

「可愛い~フリルがついちゃって、

レトロカフェのエプロンか~」

トリアも手に取って広げた。

「おばあちゃんたちの憧れなんだってさ」

「あのチキンたべたい」

こんが向井の手を引っ張った。

「ごめんごめん。綺麗に食べたね」

向井はそういいながら、

箱からチキンを取り出しお皿に乗せた。
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