『アンダーワールド』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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第十一部

白と黒のオセロ

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「じゃあ、目の前の悪霊だけ片付けて行けば、

いずれは綺麗になる? 」

エハがアイスクリームを食べながら聞いた。

「世の中は善人だけではないですからね。

いい人ばかりだったら、

霊電もなくなっちゃうし、困りますよ」

「アハッ そうか」

ヴァンが言い、三人は笑った。

「ただ………………」

向井も少し考え込むと、

「この負の強い地域が問題ですよね。

これが地方へ広がって、

癌細胞のように散っていくと厄介です。

倉田さん達があの中で暮らしているのも、

相当キツイと思います」

と言った。

「陽というものは、

陰に飲み込まれやすいからね。

中央の中心部は真っ黒だから、

陽の者は多分住んでないよね」

「住んでいたとしたら………もう死んでる? 」

ヴァンとエハが言った。

「中央に陽の者が少ないのも原因なんです。

陰の街なので、

ここまで黒く膨れ上がってしまうんだと思います。

こればかりはどうにもなりませんからね。

AIと人間の知恵比べの状態でしょう。

いっそのこと中央の都のど真ん中を、

悪霊のゴミ箱に出来ちゃえばいいんだろうけどね」

向井は冗談を言うように笑うと、

食べ終えたカップをゴミ箱に捨てた。

「それまではこの状態が続くという事? 」

エハが聞いた。

「どうでしょう。ただ、幽霊の数も増えてるので、

悪霊に飲み込まれないよう、

光りの渦から外れたものを保護し、

式神課に来た仕事をこなすのが、

お金にもなるしいいと思いますよ」

向井が笑った。

「西と北には悪霊の大きさによって、

俺も顔を見せるようにします。

あとは………この白く光るコミュニティーに、

悪が入り込まないように、

パトロールするのがいいかもしれませんね」

向井はじっとディスプレイを見ながら言った。

「結界も強化したほうがいいかな。

そうすればこの白く光る捨て地は守れる」

ヴァンの言葉に向井も頷いた。

「こうやって見てると陣取り合戦みたいだ」

「陣取り合戦? 」

二人が不思議そうに首を傾げた。

「大昔の戦国時代に、

武将が陣地を争う戦いがあったんです」

「ああ~牧野君が好きなゲームだ」

ヴァンが納得がいったように、拳をポンと叩いた。

「そうそう。でも上から見てると、

白と黒に分かれていてオセロにも見えますね」

「オセロなら私も知ってる。

時々やるから」

エハが笑った。

「オセロって戯曲じゃないの? 」

「その戯曲から名づけられたゲームです。

この場合は黒が悪霊、白が冥界です。

俺達は白の陣地を多くするために戦うんです」

「へえ~そう思えば、やりがいがあるな」

ヴァンも笑って向井を見た。

「特別室もなくなって気は楽になったけど、

反対に仕事が増えてるんですよね。

ああ~本当にここは気持ちがいいですね」

向井はクッションに体を深く沈ませると、

仰向けになった。

「そうでしょ」

「俺も時々ここで寝てるんだよね。

図書室はいつも満杯なんだもん」

エハとヴァンもアイスを食べ終え、

クッションに寝転がった。

そして三人はいつのまにか深い眠りの中にいた。
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