『アンダーワールド・番外編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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番外編 新たな動き

捨て地の画材屋さん

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「いいの~」

こんは笑顔で向井を見た。

「何かお土産を買ってくれば大丈夫でしょう」

向井が話していると、

早紀とフェムトンが珈琲をもって歩いてきた。

「はいどうぞ」

「有難う」

早紀からマグカップを受け取ると、

新田が言った。

「俺も行こうかな」

「なんだ? 新田も欲しいものがあるのか? 」

虎獅狼もお菓子を食べながら新田を見る。

「ん~この前弥生ちゃんに、

もう一つブレスを作ってってお願いしたんだけど、

その中央に存在感あるパーツが欲しくて」

「何? 天然石ブレス? 」

セイが聞く。

「そう。緑川さんが数が中途半端だからって、

ペルー産のアマゾナイトをくれたの。

凄く綺麗な石だから弥生ちゃんに頼んだんだけど、

中央に龍とか鷹とか、そんなパーツを入れたいんだよね」

新田が珈琲を飲みながら説明した。

「だったらみんなで行ってきたら?

受け付けには私がいるから、

セイもたまには下界を見たいでしょ」

「いいの? だったら行く~」

フェムトンの言葉にセイが笑顔になった。

「じゃあ、チビが出てくる前にお出かけしちゃおう」

トリアはいたずらっ子の様に言うと、

立ち上がった。



青の捨て地の商店街に来ると、

虎獅狼とクロが楽しそうに店を眺めていた。

「この辺りもずいぶんと変わったな」

虎獅狼がそういって黒地の方角を見ると、

漆黒の空が覆っていた。

まだ午後二時だというのに、

まるで夜中のようだ。

「あんな中でよく生活できるもんだ。

人も妖怪も暗闇だけでは生きてはいけんぞ。

闇を好むものはいるがな」

クロも眉間にシワを寄せた。

二人は人間に化けているので、

高校生位に見える。

最近は牧野からコーディネートを受け、

下界に下りる時は若者ファッションになっていた。

「いつもそうしていればいいのに。

イケてるよ」

「そうか? 」

新田の言葉に虎獅狼達が笑った。

その時クロが前から歩いてくる光る男を見て、

「おっ、火光かこうではないか」

と声をかけた。

向井達もその妖怪に顔を向けると、

青い炎を纏った鷺が歩いてきた。

鷺は向井達に近づくと姿を人間に変えた。

その佇まいは五十代と思われる男性だった。

「おお~久しぶりだの~

お前ら二人が人間とつるんでいるという噂は、

ホントであったか」

火光と呼ばれた男は向井達を見ると、

そういった。

こんは初めて見る男に、向井の後ろに隠れた。

「怖がらなくても大丈夫だ。こいつは妖怪瓦版屋だ」

虎獅狼が笑いながらこんを見た。

「瓦版屋………ですか」

向井が不思議そうに言うと、

「妖怪の世界も情報は大事だからな。

人間と共存する以上社会の流れに合わせなくてはならん。

妖怪空間に住むものは別だがね」

火光は向井を見ると頭を下げた。

「こいつは火光。こっちは俺達が世話になってる、

人間と死神だ」

向井達も頭を下げる。

「妖怪どもがいい男だと騒いでおったが、

本当だな~」

向井と新田を見て火光が笑った。

この妖怪がここを歩けるという事は、

問題がないという事だろう。

向井は虎獅狼とクロが話すのをじっと聞いていた。
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