『アンダーワールド・番外編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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番外編 新たな動き

アラート騒動

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「そういえばアラートって、西はどう? 」

シェデムがサランダを見た。

「神の森が火炎のオーラで包まれたときは、

アラートが鳴りっぱなしだったのよ。

私達も大騒ぎだったんだけど、

向井さん達が来てくれて落ち着いたじゃない。

あれからは全くと言っていいほど、

アラートはなくなった。中央はどう? 」

「中央もアラートは鳴りますけど、

それでも少なくなってるかな」

向井も考え込むように話す。

「ただ、

これからは黒地の犯罪が今以上に横行するでしょうから、

アラートも鳴り響くかもしれませんけど」

「そうよね」

向井の話にトリアも頷いた。

「ねえ~まだぁ? 」

こんが座っている向井の背中に抱きついた。

「あぁ、そうですね。そろそろ行きますか」

向井はそういって立ち上がると、

トリア、シェデムと一緒にチビと手を繋ぎ部屋を出た。

一緒に玄関口まで来たサランダが、

「私も時間があったら覗きに行くから」

そういってチビ達に手を振り送り出した。


アリーナのすぐ横は黒地だ。

恐らく大臣達がやらせているのだろうが、

今日も演説を絶好調に行っている。

「何か騒いでるけど、こっちには何も聞こえないわね」

シェデムが眉間にシワを寄せた。

「ディオ君にお願いして、音声を結界に吸収させたんです」

向井がハクとクロウの手を引きながら話した。

「なんかサイレント映画みたいね」

トリアが笑った。

捨て地民もちらりと見るものの、

興味もないようでアリーナに入って行く。

建物はかなり綺麗に修復され、

冥界の努力がうかがえる。

「ここまでにするのにお金かかってるから、

これから元を取らないとね。

音楽やスポーツの興行収入を当てにしてたんだけど、

消滅する選手やスタッフが多くて、

捨て地のアリーナを使用する事務所がなくなった。

それに最近は中規模のホールが少なくなって、

捨て地では住民の数もあって、

アリーナより千人、二千人規模のホールの方が需要は高いのよ」

シェデムも言うと三鬼と手を繋ぎながら、

会場に入った。

中も広々としていて、

チビ達も観客席を見上げて驚いた表情になった。

その様子に向井達も笑う。

「アリーナがある土地はほぼ黒地だから、

ここは珍しいわよね」

シェデムがそんな話をしていると、

安達が弥生と入り口に歩いてきた。

「ほら、整理券貰っておいたから、

サイン貰いに行ってきたら? 」

弥生が向井に券を渡した。

「もう、並んでるよ」

安達も嬉しそうに言った。

「じゃあ、サインをもらいに行こうか」

シェデムがチビに声をかけ、

トリアと安達を連れてブースに向かった。

「パパも~」

こんが手を引く。

「はいはい」

向井も笑うと、弥生と一緒に歩き出した。


「あら~結構な列ね」

トリアが言うと手前で絵本を購入し、

呉葉とこんを並ばせた。

「私と弥生ちゃんで見てるから、

大丈夫よ」

トリアの言葉に、

向井達は三鬼達のお目当てのブースに向かった。

「ここも結構並んでますね」

「それだけ人気って事ね」

向井とシェデムが安達と一緒にチビ達を並ばせ、

新刊を買って持たせた。

安達がいるので向井とシェデムは、

後ろに立って見ていた。

「この作家さんは子供だけじゃなくて、

大人にも人気なのね」

恐竜王国は人気のノベル作家の作品で、

アニメ化されたことで絵本、コミックとなり、

幅広い年齢層のファンがいる。


向井は河原が、

「うまいこと考えた話よね~

ああいう題材は子供から大人まで取り込めるからさ。

次は私も狙おうかなぁ~」

と言っていたのを思い出した。
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