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番外編 騒ぐ下界
北の神の森
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「そのあとにね。
宮部が結界を張りにきたんだよ。
そこでジオードの欠片を浄化してた。
全部冥界に送ったはずだったんだけど、
どこかで落とした……というより、
転送装置が狂ったのかもしれないな」
ミデンが顎に手を置き考え込みながら頷いた。
「ジオードを破壊して、
それを業者が処分する時、
結界庁も槇村と一緒に立ち会ってたからね」
アートンもその場にいたので、
思い出すように話した。
「究鬼から冥界で浄化させるから、
処分される前に転送してほしいって言われて、
装置を預かったんだけど、
ほら、俺こういうの扱うの苦手じゃん。
それでちょっと失敗したのかなって思うんだ」
ミデンが言いながらへへへと笑った。
「へへへじゃないよ」
アートンがため息をつくと、
「まぁ、欠片ですから問題はないでしょう。
それに浄化して持ち歩いているようですし、
結界庁の長老にとっては、
欠片があることで身を守れるかもしれませんね。
今の長老は宮部かな。
過去の結界庁の中でも、最も優れた能力者です」
冥王も苦笑しながらミデンを見た。
「結界庁ってみんな能力があるんですか? 」
向井が気になっていたことを尋ねると、
「そうですよ。この国が神に守られている理由の一つに、
神の賢者になれるものが一定数生まれるからです。
冥界ではその魂を把握しています。
その星に生まれたものは、
自然と結界庁へと導かれて行きますからね。
亡くなった後もまた、
結界庁へ導かれる魂となることが殆どです」
と冥王が説明した。
「それともう一つ」
ディッセが口を開いた。
「田口は神に固執してて、
龍を捕獲したくて仕方がないんだ。
で、バリア調査してる槇村に監視をつけてる。
槇村は大沢とつながりがあるし、
何か知ってるんじゃないかと疑ってるんだと思う」
「それは忍び事でもあるという事? 」
「ん……多分? 」
ディッセがトリアの顔を見た。
「でも、槇村は何も知らないと思うよ。
今日もバリアの事で見当はずれなことしてたし」
ミデンが笑う。
「何したの? 」
エナトが聞くと、
「だからさ、研究員が色んな機械を運んできて、
アンドロイド調査隊が出て調べてたんだよ。
それで、その中の一人が……ん? ロボットだから一体?
まぁいいや、それがねバリアに電流通して感電してた」
ミデンが腹を抱えて笑った。
「えっ? なんで感電するの? 」
トリアが不思議そうに聞いた。
「あ………」
「向井君は分かるよね」
分かったと言うように口を開けてミデンを見た。
「そう………ですよね。
まぁ、日常生活では問題ないんですけど、
無理矢理こじ開けようとすれば、
感電する可能性は高いですね」
「なに? 」
ディッセも分からずに向井を見た。
「いえ、あの結界は水神………つまり水なんですよ。
究鬼さんに言われて眷属の龍神で、
俺が四天王の張った結界の上から、
二重で水のカーテンをかけてるんです」
「あ~なるほど」
アートンも笑った。
「あそこは神の結界だから、
何かすれば皆消滅されちゃうんだよ。
今までにも山口が調査した時にも、
機械が爆発したり、
消滅したりがあったでしょう。
だから捨て地に来れる魂もあるのに、
怖くて近づけないのさ」
ミデンの話に向井も窪塚の事を思い出していた。
「そういえばさ、
今この国の運用中の衛星通信が故障して、
そこに急始型地磁気嵐が起こったんで、
黒地は大パニックさ。
捨て地は通信だけに頼ってないから、
日常生活にそこまで困ることはないみたいだけど」
「地球は二千年代に入ってからは、
電子サイバー戦でどの国も動いていますからね。
戦争は金を生むので、ほら、さっき言ってた槇村。
彼は宇宙戦争についてもメディアで熱心に語って、
不思議ちゃんと呼ばれていませんでしたか? 」
冥王が笑いながらミデンを見た。
「あったね~そんなことも」
そんな話をしていると、ノックの音がして、
シェデムが顔をのぞかせた。
「ちょっといいかな」
「何かありましたか? 」
「急務ではないんだけど、
下界にいるディオとオクト、ティンから、
一度黒地の魂を選別したほうがいいんじゃないかって、
連絡があった」
シェデムがドア口からのぞいて話した。
「ということは、
ヴィヴィの映像に効果があったということですか? 」
冥王の片眉が上がった。
宮部が結界を張りにきたんだよ。
そこでジオードの欠片を浄化してた。
全部冥界に送ったはずだったんだけど、
どこかで落とした……というより、
転送装置が狂ったのかもしれないな」
ミデンが顎に手を置き考え込みながら頷いた。
「ジオードを破壊して、
それを業者が処分する時、
結界庁も槇村と一緒に立ち会ってたからね」
アートンもその場にいたので、
思い出すように話した。
「究鬼から冥界で浄化させるから、
処分される前に転送してほしいって言われて、
装置を預かったんだけど、
ほら、俺こういうの扱うの苦手じゃん。
それでちょっと失敗したのかなって思うんだ」
ミデンが言いながらへへへと笑った。
「へへへじゃないよ」
アートンがため息をつくと、
「まぁ、欠片ですから問題はないでしょう。
それに浄化して持ち歩いているようですし、
結界庁の長老にとっては、
欠片があることで身を守れるかもしれませんね。
今の長老は宮部かな。
過去の結界庁の中でも、最も優れた能力者です」
冥王も苦笑しながらミデンを見た。
「結界庁ってみんな能力があるんですか? 」
向井が気になっていたことを尋ねると、
「そうですよ。この国が神に守られている理由の一つに、
神の賢者になれるものが一定数生まれるからです。
冥界ではその魂を把握しています。
その星に生まれたものは、
自然と結界庁へと導かれて行きますからね。
亡くなった後もまた、
結界庁へ導かれる魂となることが殆どです」
と冥王が説明した。
「それともう一つ」
ディッセが口を開いた。
「田口は神に固執してて、
龍を捕獲したくて仕方がないんだ。
で、バリア調査してる槇村に監視をつけてる。
槇村は大沢とつながりがあるし、
何か知ってるんじゃないかと疑ってるんだと思う」
「それは忍び事でもあるという事? 」
「ん……多分? 」
ディッセがトリアの顔を見た。
「でも、槇村は何も知らないと思うよ。
今日もバリアの事で見当はずれなことしてたし」
ミデンが笑う。
「何したの? 」
エナトが聞くと、
「だからさ、研究員が色んな機械を運んできて、
アンドロイド調査隊が出て調べてたんだよ。
それで、その中の一人が……ん? ロボットだから一体?
まぁいいや、それがねバリアに電流通して感電してた」
ミデンが腹を抱えて笑った。
「えっ? なんで感電するの? 」
トリアが不思議そうに聞いた。
「あ………」
「向井君は分かるよね」
分かったと言うように口を開けてミデンを見た。
「そう………ですよね。
まぁ、日常生活では問題ないんですけど、
無理矢理こじ開けようとすれば、
感電する可能性は高いですね」
「なに? 」
ディッセも分からずに向井を見た。
「いえ、あの結界は水神………つまり水なんですよ。
究鬼さんに言われて眷属の龍神で、
俺が四天王の張った結界の上から、
二重で水のカーテンをかけてるんです」
「あ~なるほど」
アートンも笑った。
「あそこは神の結界だから、
何かすれば皆消滅されちゃうんだよ。
今までにも山口が調査した時にも、
機械が爆発したり、
消滅したりがあったでしょう。
だから捨て地に来れる魂もあるのに、
怖くて近づけないのさ」
ミデンの話に向井も窪塚の事を思い出していた。
「そういえばさ、
今この国の運用中の衛星通信が故障して、
そこに急始型地磁気嵐が起こったんで、
黒地は大パニックさ。
捨て地は通信だけに頼ってないから、
日常生活にそこまで困ることはないみたいだけど」
「地球は二千年代に入ってからは、
電子サイバー戦でどの国も動いていますからね。
戦争は金を生むので、ほら、さっき言ってた槇村。
彼は宇宙戦争についてもメディアで熱心に語って、
不思議ちゃんと呼ばれていませんでしたか? 」
冥王が笑いながらミデンを見た。
「あったね~そんなことも」
そんな話をしていると、ノックの音がして、
シェデムが顔をのぞかせた。
「ちょっといいかな」
「何かありましたか? 」
「急務ではないんだけど、
下界にいるディオとオクト、ティンから、
一度黒地の魂を選別したほうがいいんじゃないかって、
連絡があった」
シェデムがドア口からのぞいて話した。
「ということは、
ヴィヴィの映像に効果があったということですか? 」
冥王の片眉が上がった。
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