『アンダーワールド・番外編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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番外編 騒ぐ下界

変わるアーケード

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「ここも少しずつ客足は戻っているんでしょうか」

向井がアーケードの店を見ながら話した。

今は捨て地に越しているが、

元は鰻屋も煎餅屋もここにはあった。

「ポップアップストアも今の所、

予約があるみたいだし、

捨て地の客もここに買い物に来てくれるから、

とりあえず潤ってはいるって」

トリアが店を一軒一軒確認しながら言った。

「捨て地がもう少し増えれば、

いいんだろうけど、

増えたら増えたでスパイは出てくるから、

今度は悪人との戦いよね」

トリアが言う横で、弥生が黒地の悪霊を、

バンバンと片付けていく。

「ねえそれって、

スナイパーライフル並みに射程距離あるよね。

重くないの? 」

ヴァンが聞いた。

「撃った反動はあるけど、

本物じゃないもん。

抑々霊銃だから重さは感じないし、

片手でも持てて私には霊銃でちまちま打つより楽かな。

このゴーグルと連携してるから、

照準も見るだけで狙えるし、

皆が使う霊銃と変わんないわよ。

これでこの辺はもう大丈夫かな」

弥生はゴーグルを頭の上に外すと、

ライフルを軽々と持って片手で動かした。

「ただ、大きさがあるから、

魔法みたいに出したり消したり出来たら便利なんだけどね。

皆が使うグローブ型はスイッチ一つで霊銃になるでしょ」

「あぁ、そうね。ここが魔法王国なら、

チビ達のステッキみたいに、

シャララ~って振って、

悪霊やっつけられるのにね」

トリアが言い、向井達は笑った。

悪霊除去の時には姿を消してるので、

ライフルも霊銃も人間に感じられることはない。

弥生が今肩にかけているライフルも、

誰にも見えていない状態だ。

「あら、悪霊やっつけてる間に、

お昼買ったのね」

弥生は牧野達が隣のケーキ屋に入って行くのを、

笑ながら見ていた。

暫く立つと、

幾つも箱を持って牧野と安達がディッセと出てきた。

「うちは人数も多いから、

飲食にお金がかかるね」

ヴァンも笑うと楽しそうな牧野達を眺めた。


冥界に戻ると、

チビ達が走ってやってきた。

「しらないひとがきてるよ~」

三鬼が一番にやってくると、

向井に抱きついた。

「知らない人? 」

「うん。すっごいキレイなんじゃ」

「ねえ~」

呉葉とこんが顔を見合わせて言う。

「まほうしょうじょにでてくるプラチナみたいなの」

こんが言い、呉葉と一緒に向井に抱きついた。

二人が好きなアニメにはプリンセスを助ける、

プラチナという美しい魔法使いがいる。

チビにとっては憧れ的存在のキャラクターだ。

「綺麗な人? うちは基本、みんな美形よ」

トリアが考え込むように首を傾げていると、

早紀がハクとクロウと一緒に歩いてきた。

「ミデンさんが来てるのよ。

私も久しぶりに会った。

配達してるから時々会うんだけど、

中央より北と西にしか顔見せないもんね」

「ミデンか。なんか進展あったのかな? 」

「じゃあ、みんな戻ってるの? 」

ディッセとアートンが聞いた。

「戻ってるよ。

向井君が戻ってきたら話があるって」

早紀はそこまで言って、皆が持っている袋に視線を向けた。

「何かお昼買ってきた? 

これからチビのお昼を、

用意してもらおうと思ってたんだけど」

「だったらネギトロ丼とタルト・タタンを買ってきたから、

皆でお昼にしましょう」

向井が言い、

牧野と安達がチビと一緒に休憩室に走って行った。
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