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番外編 騒ぐ下界
ジオードは誰が
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「ここは大きな問題にはなっていないわね」
トリアが周囲を見回して言った。
黒地の中にあって白地になっているので、
事実上捨て地と同じ扱いになっている。
ただ、場所が場所なので中央の黒地に位置づけられていた。
「このまま捨て地が増えて、
黒地が中央の特別区に集中してくれれば、
この国もかなり住みやすくなると思うんだけどね」
アートンがそういうと、
「黒地が小さくなっていけば、
捨て地が領土を増やせるわけでしょ。
だったら、もう安全?
だって悪人は黒地にたまるんだろ? 」
牧野が皆の顔を見た。
「そううまくいけばいいけど、
いかないからこんな状態なんだろ」
ヴァンが牧野を見て苦笑いした。
「北には今ミデンとエナト、オクトが行ってるけど、
連絡もないし、今日はこれで仕事終了かな」
アートンが青空ではないが、明るい空を見上げて言った。
「なぁ、あれはどうすんだよ?
悪霊がまた集まってきたよ」
白地の外で揉めている集団を見て、
牧野が言った。
「あれね……」
ディッセが言ったところで、
「大丈夫。私が新兵器で冥界に送ってあげる」
「えっ? 」
驚いて横を見ると弥生が突然現れ、
ライフルを構えた。
集団の頭上に蠢く悪霊に、
照準を合わせると霊玉を撃ち放った。
結界を壊すことなく、
その玉は黒地に飛び、
いつもの霊銃の倍の威力で悪霊に命中した。
皆が驚いている間に、
悪霊は消え去った。
「凄い……」
今日は安全な場所の調査なので、
久しぶりに安達も来ていた。
安達は弥生を憧れの眼差しで見つめている。
「弥生ちゃん……ゾンビ少年に出てくる、
枝垂れ藤の美女ハンターみたい。
カッコイイ……」
「そう? 」
弥生はにっこり笑うと、
ライフルを肩に乗せて安達を見た。
悪霊へ瞬時に標準を合わせられるスコープゴーグルは、
霊玉ライフルとリンクしているので、
一発で仕留められる。
かなり高性能な霊銃だ。
「ホント。モンスター? 」
牧野の言葉に弥生が頭をライフルで叩く。
「痛ぇな」
呆気に取られて見ている向井達の横で、
牧野が頭を触る。
「安達君が美女ハンターって言ったでしょ。
聞いてなかった? 」
弥生は怒るとライフルを片手で回した。
「いやぁ~本当に凄い。言葉が出ないね」
一緒に冥界から転送してきた新田もそういうと、
呆気に取られて見ていた向井達に説明した。
「室長に新しい霊銃出来たから、
試し撃ちしてきてっていわれたんだよ」
「私のスコア、断トツだからね~
究鬼さんに渡されたの」
弥生が自慢げに牧野を見た。
「このライフル扱いが難しくて、
俺や坂下さんもやってみたんだけど、
全然弥生ちゃんに勝てないの」
新田が笑った。
「という訳で助っ人に来た」
「これでますます、名誉挽回からは遠くなりましたね」
向井も苦笑いしながらむくれる牧野を見た。
黒地を見ると悪霊が消えたところで、
人の輪が少し減り始めた。
負が強い者だけが悪霊除去しても、
まだもめている。
「承認欲求という魔物は、
なくならないよね」
トリアが揉めながらもSNSにあげている姿に、
あきれ顔で笑った。
「これだけ綺麗になったから、
残りは明日でもいいか」
「だったら昼飯~
そこにネギトロ丼の店ができたから、
それ買って帰ろうぜ~」
アートンの言葉に騒ぐ牧野を見て、
「あんたは食べる事ばっかりね」
トリアが頭を叩いた。
「いいじゃん。それにその横のケーキ屋で、
タルト・タタンが売ってんの。
おやつにそれも買って~」
「タルト・タタン? 俺も食べたい~」
牧野と安達の声に、
「あんたらはチビじゃないんだから」
呆れ返るようにトリアが言った。
「でもまぁ、もうお昼だし、買って帰るか? 」
ディッセも時計を見ると、皆で歩き出した。
トリアが周囲を見回して言った。
黒地の中にあって白地になっているので、
事実上捨て地と同じ扱いになっている。
ただ、場所が場所なので中央の黒地に位置づけられていた。
「このまま捨て地が増えて、
黒地が中央の特別区に集中してくれれば、
この国もかなり住みやすくなると思うんだけどね」
アートンがそういうと、
「黒地が小さくなっていけば、
捨て地が領土を増やせるわけでしょ。
だったら、もう安全?
だって悪人は黒地にたまるんだろ? 」
牧野が皆の顔を見た。
「そううまくいけばいいけど、
いかないからこんな状態なんだろ」
ヴァンが牧野を見て苦笑いした。
「北には今ミデンとエナト、オクトが行ってるけど、
連絡もないし、今日はこれで仕事終了かな」
アートンが青空ではないが、明るい空を見上げて言った。
「なぁ、あれはどうすんだよ?
悪霊がまた集まってきたよ」
白地の外で揉めている集団を見て、
牧野が言った。
「あれね……」
ディッセが言ったところで、
「大丈夫。私が新兵器で冥界に送ってあげる」
「えっ? 」
驚いて横を見ると弥生が突然現れ、
ライフルを構えた。
集団の頭上に蠢く悪霊に、
照準を合わせると霊玉を撃ち放った。
結界を壊すことなく、
その玉は黒地に飛び、
いつもの霊銃の倍の威力で悪霊に命中した。
皆が驚いている間に、
悪霊は消え去った。
「凄い……」
今日は安全な場所の調査なので、
久しぶりに安達も来ていた。
安達は弥生を憧れの眼差しで見つめている。
「弥生ちゃん……ゾンビ少年に出てくる、
枝垂れ藤の美女ハンターみたい。
カッコイイ……」
「そう? 」
弥生はにっこり笑うと、
ライフルを肩に乗せて安達を見た。
悪霊へ瞬時に標準を合わせられるスコープゴーグルは、
霊玉ライフルとリンクしているので、
一発で仕留められる。
かなり高性能な霊銃だ。
「ホント。モンスター? 」
牧野の言葉に弥生が頭をライフルで叩く。
「痛ぇな」
呆気に取られて見ている向井達の横で、
牧野が頭を触る。
「安達君が美女ハンターって言ったでしょ。
聞いてなかった? 」
弥生は怒るとライフルを片手で回した。
「いやぁ~本当に凄い。言葉が出ないね」
一緒に冥界から転送してきた新田もそういうと、
呆気に取られて見ていた向井達に説明した。
「室長に新しい霊銃出来たから、
試し撃ちしてきてっていわれたんだよ」
「私のスコア、断トツだからね~
究鬼さんに渡されたの」
弥生が自慢げに牧野を見た。
「このライフル扱いが難しくて、
俺や坂下さんもやってみたんだけど、
全然弥生ちゃんに勝てないの」
新田が笑った。
「という訳で助っ人に来た」
「これでますます、名誉挽回からは遠くなりましたね」
向井も苦笑いしながらむくれる牧野を見た。
黒地を見ると悪霊が消えたところで、
人の輪が少し減り始めた。
負が強い者だけが悪霊除去しても、
まだもめている。
「承認欲求という魔物は、
なくならないよね」
トリアが揉めながらもSNSにあげている姿に、
あきれ顔で笑った。
「これだけ綺麗になったから、
残りは明日でもいいか」
「だったら昼飯~
そこにネギトロ丼の店ができたから、
それ買って帰ろうぜ~」
アートンの言葉に騒ぐ牧野を見て、
「あんたは食べる事ばっかりね」
トリアが頭を叩いた。
「いいじゃん。それにその横のケーキ屋で、
タルト・タタンが売ってんの。
おやつにそれも買って~」
「タルト・タタン? 俺も食べたい~」
牧野と安達の声に、
「あんたらはチビじゃないんだから」
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「でもまぁ、もうお昼だし、買って帰るか? 」
ディッセも時計を見ると、皆で歩き出した。
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