『アンダーワールド・番外編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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番外編 騒ぐ下界

神の森の異変

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むくれる牧野に皆が和んでいると、

鳥居の先から一人の男性が歩いてきた。

美少年と見まがうほどの容姿の人物だ。

彼は階段を下りてくると、

「向井君~久しぶり~」

と言った。

向井は驚くと、

「ミデンさん? 」

とその人物の名前を言った。

「ミデンがいるという事は…結界庁が絡んでるのか? 」

サンクも驚いて口を開いた。

「誰? 」

向井とサンク、エナトが歩いて近づいていく姿に、

牧野がサランダの服の袖を引いて聞いた。

「えっ? 」

サランダは引き止められ、足を止めた。

「あっ、そうか。皆は初めてか」

サランダが牧野、坂下、佐久間を見回し言った。

「俺は時々会うけど、

それでも最近だといつだ? 随分前だよ」

岸本も驚いた顔のままミデンを見る。

「彼も死神。と言っても外回りが多いから、

冥界にいる事ないものね」

サランダが話した。

「結界庁ってさっき話していた長老の? 」

佐久間が尋ねると、

「そう。この国の結界を作り守る術師の集団。

この国にはそういう人間もいるのよ。

で、彼らは神を守るものなので、

冥界にも見張り役が必要になるので、

見て回っているの」

サランダが説明した。

「あ…ディッセさんとかアートンさんが時々いなくなるのって、

これが関係してるんですか? 」

坂下も納得した様子で頷いた。


「ミデンがここにいるってことは、

この火炎は結界庁も関係してるのか? 」

サンクが言った。

向井達は階段の途中で待つミデンに近づくと、

一緒に祠の所まで歩いて行った。

「田口は大沢以上に問題あるよね。

まぁ、この国は自己中な人間だらけだから、

それほどおかしなことではないんだけどね」

ミデンはそう言うと、八つの祠を指さした。

「この前、河伯じいさんに会って、

ここの結界の事を聞いたんだ。

向井君と結界の補強もしたって言うんで、

確かめに来たら、

昨日か……結界庁の長老が部下と一緒に、

ここに来た。

あの年でこの山に入ってくるんだから、

あれはまだ死なないね」

ミデンが笑った。

「お前は言い方がストレートすぎる」

エナトが窘めるように言った。

「別にいいじゃん。ねぇ、向井君」

ミデンが向井の肩に手を回し顔を見る。

「見た所、神の様子はこの前と同じに感じますけど、

結界が更に強化されてる? 

これは人が張った結界ですか? 」

向井が驚く表情でミデンを見た。

サンク達が一驚する。

「さすが向井君。そう、これは結界庁が張ったもの」

ミデンは向井から離れて中央に立つと、

手を広げ結界を目に見える形に術を施した。

すると河伯、向井の張った結界の上から、

形の違う結界が見えた。

「へえ~凄ぇ~」

あとから階段を上がってきた牧野が、

その結界に驚きの声をあげた。

「あっ、もしかして牧野君? 」

ミデンはにっこり笑うと顔を見た。

「そうだけど……」

そこまで言ったところでミデンはやってくると、

ギュッと抱きしめた。

「うんうん。いいね~

会うやつ皆、牧野は面白いって言うんで、

会いたかったんだよ」

牧野は突然のハグに体が固まった。

「俺さ~下界にいる時間の方が長いからさ。

冥界に戻っても、最近は冥王しかいないんだもん。

あの人暇なんだね」

ミデンは笑うと、牧野から体を放した。
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