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番外編 騒ぐ下界

神の森で

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皆でのんびりおやつを食べていると、

「あっ、よかった~向井さんいた~」

エナトが慌てた様子で休憩室にやってきた。

「ちょっと問題発生した。いいかな? 」

「大丈夫ですよ。どこが問題なんですか? 」

向井とエナトが歩きながら部屋を出て行くのを見て、

牧野もブラウニーを銜えたまま、

後を追って行った。

「今度は何でしょうね」

冥王が眉間にシワを寄せた。

「さっき胡散臭い動きって言ってたでしょ。

あれ、何? 」

オクトがアートンを見た。

「あぁ、その話ね。

田口が神祠本庁と結界庁を呼び出したんだよ」

「えっ? 」

その言葉に皆の顔が驚きに変わった。



エナトと死神課に歩きながら、

向井は話を聞いていた。

「神の森が燃えてるってどういうことですか? 」

「正確には燃えているようにオーラが揺らめいてるの。

この国ってあの大災害で人が住める土地が、

全体の三分の二になったでしょ。

そのあとも地震が続いて、

神の森がある土地も周囲が歪み始めて、

神の森だけが残っている状態になってるんですよ」

「いつからですか? 」

向井の足が止まった。

「えっと……この前結界張りなおしたでしょう。

河伯じいのお陰で持ち直して、

プレートのひずみに霊玉埋めて落ち着いたところに、

今度は田口が新たに結界を張ったんです」

「はぁ~」

向井は大きくため息をついた。

「神祠を綺麗にした理由は、

新たな結界を張る為ですか……」

田口が結界を張ったのは知っていたが、

神のいない祠を建てて作っていたので、

冥界も問題視していなかった。

だが、綺麗にした祠も利用して、

自分の為の結界を作ったとなると最悪だ。

大沢より酷い。

神を信じてないだけならいいが、

欲の為に土地を破壊しているとなれば、

もうどうにもならない。

向井とエナトが立ち止まって考え込んでいると、

「何があったんだよ」

牧野が近づいてきた。

「これから西支部に向かいます」

向井が言った。

「そんなにヤバイのか? 」

牧野の顔つきが真剣になった。

「ヤバイね。下手したらこの国が潰れる」

エナトの言葉に牧野は青ざめた。


向井達が西に着くと、

先に到着していた坂下と佐久間がいた。

「急な呼び出しですいません」

向井達が通信ルームに入ると、

岸本が近づいてきた。

「今日は続けて北でも地震があって」

「弥生ちゃんと新田君、シェデムさんも出掛けて行ったんです」

坂下と佐久間も近づいてくると言った。

「悪いことは続けておきますね」

向井が苦笑いしながら話す。

「で、状況は? 」

エナトが聞くと、サランダが映像を浮かび上がらせた。

「!! 」

向井達の顔色が変わった。

「酷いでしょう」

神の森が火炎に包まれているかに見える。

「これは人間にも確認できているんでしょうか」

向井は顎に手を置き、鋭い目つきで考え込んだ。

「多分」

「捨て地でも黒地でも住民達が騒いでいたから」

サランダと岸本が言った。

「実は……」

その声に皆が振り返ると、

サンクが部屋に入ってきた。

「田口トップが長老を呼び出したらしい」

「長老……? それって何さ」

牧野が怪訝そうな顔をした。
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