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番外編 冥界の副業

賑やかな商店街

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文具屋まで歩きながら、

お店を見ていると、

随分と新しい店舗が増えたのに驚いく。

空き店舗は全て埋まり、

商店街の裏通りにもお店ができ始めていた。

向井は人々が楽しそうに買い物し、

ゆっくりと歩く姿に自然と笑顔になった。

「あっ! 」

チビ達が何かを見つけ走って行く。

「走ると迷惑になるでしょ」

「転ぶよ」

トリアと黒谷が注意しながら後を追う。

「なんだろう」

安達と牧野も首を傾げると走って行った。

クロウとハクはそれぞれ向井と新田に手を引かれ、

のんびり歩いている。

「ん~」

「なんのお店かな? 」

首を傾げる二人に向井が声をかけていると、

通り過ぎる人達が笑顔になって、

ハクとクロウを見ていた。

「やっぱり、神様が入るとオーラが違うんだね」

新田も二人の姿に微笑んだ。

「パパ~魔法だよ」

こんが興奮してかけてくると言った。

「魔法? 」

新田も笑うと、こんにせかされ向井達は歩き出した。

お店は商店街の角のビルに位置していた。

看板には、

「魔法ハウスへようこそ」

と書かれている。

中に入ると何人もの子供連れがいた。

既に呉葉も三鬼も夢中になって見ていた。

安達と牧野もアクセサリーを眺めている。

「これは凄いね。魔法グッズがいっぱいだ」

向井もきらきらした目で、

店内を見ているこんに笑った。

ハクとクロウも目を見開いて、

キョロキョロしている。

向井達がトリア達の方に近づくと、

「こんな魔法ショップが出来たのね。

私も知らなかったから驚いた」

トリアが笑った。

「わらわは魔法のペンが欲しい」

「ん~」

渋い顔をするトリアに向井は笑うと、

「それで何をするんですか? 」

「絵を描くの。いいでしょう」

「見て! 光って動くんだよ」

こんと三鬼もペンを持って向井に見せた。

ハーバリウムにお花と蓄光ビーズが入っている。

「子供に持たせるのにもったいないな~」

トリアの声にむくれるチビを見て、

「あっ、でも替え芯ついてるから、

大事にするって約束すれば長く使えるよ」

新田が助け舟を出した。

「だったら一人一本ずつ選んでください」

向井が言うと、嬉しそうにお気に入りのペンを探し出した。

「ここは子供だけじゃなくて、大人にもいいよね。

俺このオルゴナイト気に入ったから、

お店に置こう」

黒谷も天然石のレジンピラミッドを手に言った。

「あら、本当に綺麗」

トリアも真剣に眺めていると、牧野と安達がやってきた。

「俺もこれ買って~」

「欲しい~」

向井が手渡されたペンダントを見る。

王冠がついたペンデュラムのオルゴナイトだ。

魔法のお店らしい。

向井は値段を見てから、そのまま二人に視線を移した。

「綺麗ですね」

「だろう? これから弥生に作ってもらう、

コードネックレスにもこれなら合うからさ~」

「俺も欲しい。いいでしょう~」

向井はそんな二人の顔に笑うと、

「いいですよ。でも、イベントでは買いませんよ」

と言った。

「ええ~」

「当然ですよ。ちゃんとお給料をもらっているでしょう」

むくれる二人に言うとハクとクロウの近くに行った。

二人が真剣に見ているノートを手に取る。

「シールがある」

「貼れる? 」

よく見るとノートは魔法の国の物語になっていて、

自分でストーリーを作って、

付属のシールを貼ったり剥がせたりできるようだ。

「二人はこれがいいの? 」

「うん」

「じゃあ、ハクとクロウはこれにしましょう」

二人が嬉しそうにそれぞれ抱えて歩く姿を、

お客も笑顔で見ていた。

二人が歩くあとには笑顔の花が咲く。

不思議な力を持った妖怪だ。

「あとは君達のペンですね。

決まりましたか? 」

向井が聞くとそれぞれが持ってきた。

「今回は黒谷君のオルゴナイトも、

俺からのプレゼントにさせてもらいます」

「えっ? いいの? 」

嬉しそうな黒谷に、

「色々お世話になってますからね」

向井は微笑むとチビ達とレジに向かった。
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