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番外編 龍神向井

死神となった牧野?

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「牧野君の力が未知数だと冥王に言われましたが、

本当ですね。

俺が眷属の力を借りて出来ることを、

彼は自分の内に秘めた力で再現できる」

向井も驚きながら牧野の姿を見ていた。

「そうだね。ただ………

あれが持続してくれればね」

「ポンコツ返上まで、あともう少しなんだよなぁ」

エナトとティンも苦笑いで眺めた。


集団の中央に立つ牧野は、

「お前らが難癖つけてる捨て地はな。

黒地に全方位から攻撃受けてんだぞ。

多様性なのに多様性じゃない。

SNSで拡散して悪口言うなら、

本人を前に顔出しして言え!

それとお前ら」

牧野が振り返り大臣二人を指さす。

「お、お前ら………この私を? 」

倉川が怒りと恐怖に顔をゆがませる。

「俺は神の元から使わされてんだ。

お前らが殺した神の怨みを思い知るんだな。

俺ももう、

いい加減うんざりなんだよ!

胸糞悪い。

死んで俺んとこ来たら覚えてろよ。バァ~カ」

「ば、馬鹿? 」

山口も呆気にとられた様子でつぶやき、

牧野は言いたいことだけ言ってすっきりしたのか、

スッと姿を消した。

「き、消えた………」

誰もが何も言えずに立ちすくんでいた。


この画像はAIによって、

トップたちの目にも触れることとなり、

のちに混乱を極めた。



「いい、演説だったんじゃない? 」

シェデムはそういうと拍手をした。

「いいぞ~! 牧野! 」

トリアも応援の声をあげる。

その拍手が聞こえたのか、

何もない空間を記者たちが振り返る。

姿を消しているので、

向井達の姿は見えない。

向井は最後の一押しに、

己を龍の姿に変えると浮かび上がり、

ぐるりと動きながら結界を解いた。

突然現れた九頭竜に、

失神する者も現れ、

四方から悲鳴のような叫び声が響き渡った。

向井はみんなの元に来ると、

「こういう事はほどほどにしておかないと、

人間は慣れてしまいますからね」

と姿を戻した。

「俺………なんか疲れた………

そして腹減った………」

クタ~ッとしている牧野の姿に、

向井達は大笑いすると、

「そうだ。黄色の捨て地に行きましょうか。

この前牧野君が食べたがってた、

洋食屋さんがあったでしょ」

「!! 」

佐久間の提案に牧野の顔に笑顔が広がった。

「行く行く~♪ 」

牧野はそういうと嬉しそうに歩き出した。

「さっきはカッコイイと思ったんだけどね~」

「あの子はきっと、魂の消滅まで変わらないわね」

シェデムとトリアはあきれ顔で言うと、

向井達も笑いながら牧野の後をついて行った。


一方冥界では――――――――

「じいじ~マキちゃんがTVに映ってるぞ」

呉葉が休憩室に入ると、大画面を指さした。

冥王はチビ達と工房で粘土遊びをしていて、

休憩するため休憩室に戻ってきた。

田所と源じい、オクト、妖鬼達鬼が、

珈琲を飲みながらTVを見ていた。

冥王も部屋に入ってくると、

「おや、本当ですね~どういう事かな」

「ちびちゃん達もジュース飲む? 」

オクトが立ち上がると、

田所も一緒にキッチンに来た。

「冥王も珈琲飲みますか? 」

田所の声に、

「はい。お願いします」

ソファーに腰を下ろした。

「ちゃんとおてて洗ってください」

オクトが言うと、

「おトイレ行って、手を洗った~」

こんが言うのを聞いて、

「じゃあ、ジュースにしよう」

と冷蔵庫を開けた。

飲みたいものを手にテーブルに行くと、

それぞれキッズチェアーに座らせる。

ストローをさしたあと、

飲み始めるのを確認して、

オクトもソファーに戻った。

「はい。珈琲」

「有難う」

田所に渡されたカップを手に、

画面を見る。

「牧野君は確か悪霊退治に行ったはずですが」

画面の中で何やら文句を言っている姿に、

冥王も不思議そうに見ていた。

「これAIの発信なんだけど、

下界でも騒ぎになってるよ。

俺達には見えるけど、他の者には見えないから。

何も見えないのに怖がってる映像? 

これぞ本当のホラーでしょう? 」

千鬼が笑った。

「なんか、黒地の人間に文句言いたかったんじゃないの。

生き生きしてるよ」

鬼道が牧野のスピーチを楽しそうに聞いていた。

「マキちゃんも新田と一緒? 」

三鬼が大人達に聞く。

「おっ、そうだよな~こうやって見てたら、

ドラマの主人公だもんな」

妖鬼も笑った。

「これだけやっても効き目はないんだけど、

ホラーが苦手な人間には、

多少の効果は期待できるかな」

田所も笑いながらチビ達を見ると、

「マキちゃん戻ってきたら、

カッコよかったって言ってあげるといいよ。

喜ぶから」

と説明した。

「うん」

チビ達が画面を見ながら頷く姿に、

大人達が笑った。
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