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番外編 龍神向井
地震と悪霊
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彼らの表情を見て向井が軽く笑った。
「だって、外国人の喧嘩は止められないでしょう?
見た所、黒地民の集団は抗議活動だけのようですし、
あのまま放っておいて、
地震が起きてから動いても間に合うかな? 」
「えっ? だったら尚更危険でしょ? 」
ティンが向井を見た。
「まぁ、そうなんですけどね。
でも、悪霊の動きを見てたら、
問題なさそうだから。
地震の原因の中には、
悪霊が関係してることもあるんです」
「そうなの? 」
皆の顔が驚きに変わった。
「最近、究鬼さんに言われて、
ディッセさんと一緒に悪霊調査をしてたんですよ。
西と北にも霊玉を埋めて、
地震との因果関係を探していました。
勿論、この国のプレートが原因なのは間違いないです。
ただね、そこの境界線に霊が入り込むことで、
この六十年地震が増えてるんです。
国はね。経済が落ち込むと、
人の負が蔓延するでしょう。
それをエサに悪霊も動き出すので、
こんな状態になっているんですよ。
特に魔境と化したここは、
地震発生が悪霊にとっていい餌場になっていますからね」
「むぅ………じゃあ、地震が来るまで待つの? 」
ハクのような表情で向井を見る牧野に、
皆が笑う。
「多分、俺のカンに間違いがなければ、
もうすぐ中央に地震が来ます。
人食いビルが消滅して、
あぶれた悪霊は現在魔境に集中してます。
危険なのはこの階級地区だし、
被害は自分達に戻ってくるだけでしょう」
向井が躍る悪霊を見上げたあと、
集団を取り囲むように動く塊を眺めた。
「西と北には坂下君とアートンさん、エハさんとヴァン君、
早紀ちゃんとディッセさんも分かれて行ってるんです。
地震が起きれば西と北にも移動するので、
悪霊も広範囲に広がるでしょう。
そこを一気に片付けられればと思って」
向井は笑顔でみんなを見た。
「なんか………向井が日に日に悪魔化してる気がするぞ」
牧野が引きつった顔で笑った。
「無礼ですね~」
向井がそう言ったところで大きな地震が来た。
アラームがあちこちから流れ、
今まで騒いでいた集団も恐怖からか、
蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。
周辺を見ても揺れの割に倒壊は見当たらない。
向井は付近の状態を確認しながらエナトを見た。
「悪霊以外の浮遊霊は冥界に送れますか? 」
「出来ます」
揺れる大地に踏ん張りながら言う。
「では、お願いします。
佐久間さんとシェデムさんとトリアさんには、
大きく結界を張ってもらいます」
「三重に張るという事? 」
トリアが揺れの激しさに顔を顰めながら向井を見た。
「はい、散った塊はティン君と新田君にお願いして、
俺と牧野君はこの大きな悪霊を除去します」
「はっ? えっ? これ全部? 二人で? 無理だよ」
牧野の慌てる様子に、
「牧野君は勇者でしょ。チビ達に馬鹿にされますよ」
向井は笑顔を見せると、西と北にも連絡を入れた。
ディスプレイに坂下達の映像が浮かび、
向井が何やら説明していた。
画像を切ると、
「向こうは今の所、問題はないそうです」
向井は揺れがおさまるのを待ってから、
「では、除去を開始しましょうか」
佐久間たちが結界を張るのを見つめた。
「だって、外国人の喧嘩は止められないでしょう?
見た所、黒地民の集団は抗議活動だけのようですし、
あのまま放っておいて、
地震が起きてから動いても間に合うかな? 」
「えっ? だったら尚更危険でしょ? 」
ティンが向井を見た。
「まぁ、そうなんですけどね。
でも、悪霊の動きを見てたら、
問題なさそうだから。
地震の原因の中には、
悪霊が関係してることもあるんです」
「そうなの? 」
皆の顔が驚きに変わった。
「最近、究鬼さんに言われて、
ディッセさんと一緒に悪霊調査をしてたんですよ。
西と北にも霊玉を埋めて、
地震との因果関係を探していました。
勿論、この国のプレートが原因なのは間違いないです。
ただね、そこの境界線に霊が入り込むことで、
この六十年地震が増えてるんです。
国はね。経済が落ち込むと、
人の負が蔓延するでしょう。
それをエサに悪霊も動き出すので、
こんな状態になっているんですよ。
特に魔境と化したここは、
地震発生が悪霊にとっていい餌場になっていますからね」
「むぅ………じゃあ、地震が来るまで待つの? 」
ハクのような表情で向井を見る牧野に、
皆が笑う。
「多分、俺のカンに間違いがなければ、
もうすぐ中央に地震が来ます。
人食いビルが消滅して、
あぶれた悪霊は現在魔境に集中してます。
危険なのはこの階級地区だし、
被害は自分達に戻ってくるだけでしょう」
向井が躍る悪霊を見上げたあと、
集団を取り囲むように動く塊を眺めた。
「西と北には坂下君とアートンさん、エハさんとヴァン君、
早紀ちゃんとディッセさんも分かれて行ってるんです。
地震が起きれば西と北にも移動するので、
悪霊も広範囲に広がるでしょう。
そこを一気に片付けられればと思って」
向井は笑顔でみんなを見た。
「なんか………向井が日に日に悪魔化してる気がするぞ」
牧野が引きつった顔で笑った。
「無礼ですね~」
向井がそう言ったところで大きな地震が来た。
アラームがあちこちから流れ、
今まで騒いでいた集団も恐怖からか、
蜘蛛の子を散らすように逃げて行った。
周辺を見ても揺れの割に倒壊は見当たらない。
向井は付近の状態を確認しながらエナトを見た。
「悪霊以外の浮遊霊は冥界に送れますか? 」
「出来ます」
揺れる大地に踏ん張りながら言う。
「では、お願いします。
佐久間さんとシェデムさんとトリアさんには、
大きく結界を張ってもらいます」
「三重に張るという事? 」
トリアが揺れの激しさに顔を顰めながら向井を見た。
「はい、散った塊はティン君と新田君にお願いして、
俺と牧野君はこの大きな悪霊を除去します」
「はっ? えっ? これ全部? 二人で? 無理だよ」
牧野の慌てる様子に、
「牧野君は勇者でしょ。チビ達に馬鹿にされますよ」
向井は笑顔を見せると、西と北にも連絡を入れた。
ディスプレイに坂下達の映像が浮かび、
向井が何やら説明していた。
画像を切ると、
「向こうは今の所、問題はないそうです」
向井は揺れがおさまるのを待ってから、
「では、除去を開始しましょうか」
佐久間たちが結界を張るのを見つめた。
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