『アンダーワールド・番外編』冥王VS人間～魑魅魍魎の戦が今始まる～

八雲翔

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番外編　龍神向井

クロウ登場

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クロウが来てから、

ちびちゃんのお守りは冥王の仕事になり、

毘沙門天や赤姫もちょくちょく遊びに来ていた。

「最近は皆さんが頑張ってくれているので、

暇なのは冥王だけなんですよ」

セイが笑いながら話した。

向井はカウンターで久しぶりの派遣仕事を終え、

書類にサインをしていた。

「人口も減ってますしね」

「このままじゃ冥界も立ち行かなくなる？　」

セイがサインを確認して向井を見た。

「冥界は消滅しませんから、

担当が別の国に変更されるだけでしょ。

ただ、

この国が残っていれば見守るだけなので、

生活には困らなくても、

欲しいものが手に入らなくなるかも？　」

「ええ～楽しみがなくなる～」

セイの不満そうな声に向井は笑った。

「魔境では怪しい動きがみられますけど、

うちの三銃士が退治に行ってるので、

これ以上悪霊は大きくはならないと思いますよ。

こんな状態でも経済は動いているので、

大丈夫です」

「ならいいけど………

今三分の二が黒地で白地が増えないからさ」

向井は心配そうなセイを見て、

「そうだ。

捨て地に新しいシュークリーム専門店が出来たので、

買ってきました。

おやつにしましょう」

「シュークリーム！？　」

嬉しそうな顔に笑うと一緒に休憩室に歩き出した。

休憩室ではテーブルに、

小さな木札が並べられており、

皆で神経衰弱をしていた。

「お帰り～」

早紀がやってくると、

向井が手にする袋に、

「ケーキ？　」

「アニマルシューのお店が出来たので、

買ってきました」

早紀に渡すとキッチンにいった。

「おお～」

セイと早紀の楽しそうな声に、

あとから入ってきた安達とフンフも飛んできた。

「あっ、可愛い～」

安達の顔が笑顔になった。

「チビ達は神経衰弱をしてるんですか？　」

向井がお茶の準備をしながら、

冥王達と真剣に遊んでいる姿を見て聞いた。

「そう。北川さんと十朱さんと妖鬼で、

木の板で作ったんだって。

パンダとかクマとか動物の絵が書いてあるから、

絵合わせね」

早紀も振り返ると言った。

「暗記力はクロウとハクが得意みたい」

「そうなんですね」

向井達が見ていると、

「ボク、いちばん！　」

ハクが嬉しそうに絵札を並べた。

今日は四天王と赤姫が来てるので、

チビ達とそれぞれペアを組んで遊んでいたようだ。

向井は珈琲を淹れてトレイに乗せると、

「皆さん、休憩にしませんか」

と声をかけた。

「君達もお手手を洗って来てください」

すると、

呉葉がクロウとハクと手を繋ぎ、

キッチンに歩いて行った。

こんと三鬼もそのあとをついて行く。

「ちゃんとおテテをあらわないと、

バイキンがからだにはいって、

おなかがイタくなるんじゃ」

呉葉はそう言ってステップ台を出すと、

ハクとクロウに手を洗わせた。

その様子を大人達が微笑んで見ている。

子供はこうやって少しずつ成長していく。

「みんな思いやりのある優しい子に育ってますね」

冥王の言葉に神様たちも優しい表情を見せた。

「たった一握りでいいんですよ。

慈愛の心があれば、

どうという事はないんです」

広目天もチビ達を見ながら話した。

「余裕がないのであろう。

だが、その余裕を作ってやるのは国の仕事だ。

私の仕事ではない」

赤姫はそういうと、向井が運んできた珈琲を飲んだ。

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