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番外編 ハイパー弥生
弥生の除去法
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黒地の中に食い込む赤の捨て地は、
元々中央の要として作られた神祠を、
赤姫が長い事守ってきた場所である。
大沢帝国が誕生後、
徐々に恐怖政治へと趣を変え、
神の祠すら邪魔な存在と破壊。
そのせいで、
昔からある結界が少しずつ壊れ、
地は割れ、盛り上がり、
悪霊が国を覆っていったのが始まりだ。
それでも最初の頃はまだ、
強行する法案に反対する者もいたが、
それも徐々に排除され、
デジタル依存者の犯罪が増加したことで、
誰も逆らわなくなった。
冥界の特別室消滅から、
国の動きが一層怪しさを増し、
この時より国の信奉者を、
デジタル国民と呼ぶようになった。
法案に反対していた議員や国民は、
そのデジタル国民からも叩かれ、
外国人労働者、移民増加で死亡者が増え、
疲れきった自国民は奥地へと移動。
今や自国民の方が仕事にあぶれ、
移民以下の生活で暮らしている。
そこから逃げ出して生き延びたのが捨て地であり、
その戦いは今も続いていた。
弥生達は赤の捨て地に来ると、
小さなビルの前に立って見上げていた。
「こんな奥地にある土地なのに、
幽霊に小さな負が渦巻いてるのね」
弥生が不思議そうに見ていた。
「ここは元、
テナントビルだったらしいの。
それをリノベーションして、
アパートメントしたんだって」
エハが五階建ての建物を見た。
「人は住んでるの? 」
見上げていた新田が振り返った。
「これから入居者を、
募集するはずだったんだけど、
幽霊が出て、うちにお祓いの依頼が来たの。
今、アートンがビルの管理者に、
話を聞きにいってるから」
そんな話をしていると、
アートンが戻ってきた。
「どうだった? 」
エハが聞く。
「ここをリノベした業者の一人が、
捨て地のスパイだったらしくて、
目の前で消滅して大騒ぎしたらしいんだよ。
それが原因で負が増えて、
幽霊と合わさって被害が大きくなったみたいだね」
「こんな静かに暮らしている場所でも、
消滅するくらいの人間が入り込むんだから、
黒地が魔王の住処でも仕方がないか」
新田も両手を腰に置いてため息をついた。
「ここ人気みたいで、
入居者も決まってたのに、
幽霊騒ぎで中に入れなくなって、
ダメになったらしいんだよね。
ワンフロアのファミリー向けアパートだから、
幽霊騒ぎがおさまれば、
入居者もまた出てくるって言ってた」
「ふぅん」
弥生がアートンの話を聞きながら、ビルを見回した。
「なに? なんかある? 」
「ん~ビルの中央にある黒い塊。
あれ除去すれば、大元は片付くんじゃない? 」
「えっ? 」
その話にアートン達が弥生が指さす方向を見上げた。
「あ~かなり大きくなってるね。
悪霊になる前に片付けないと………」
新田がそういう横から、弥生が霊銃を構え撃ち放った。
霊玉はど真ん中に命中し、
皆が驚いている間に塊は消滅。
続けてそこから散った霊をあっという間に撃ちぬき、
数秒で片づけた。
「す、凄い………」
エハがビックリした顔で弥生を見た。
「新田君、右前方。エハちゃん上段。
アートンさん左後方」
弥生の声に慌ててその方向を見ると、
塊が蠢いていた。
驚きながらも弥生の的確な指示で、
霊銃を撃ち放つと、
負は一瞬のうちに片付けられた。
「今日はいい感じ~
体も動いてるし、
感も働いてる」
弥生は笑いながら両肩を回した。
「弥生ちゃん………見た目とのギャップがあり過ぎ」
アートンも驚くと、皆で笑った。
元々中央の要として作られた神祠を、
赤姫が長い事守ってきた場所である。
大沢帝国が誕生後、
徐々に恐怖政治へと趣を変え、
神の祠すら邪魔な存在と破壊。
そのせいで、
昔からある結界が少しずつ壊れ、
地は割れ、盛り上がり、
悪霊が国を覆っていったのが始まりだ。
それでも最初の頃はまだ、
強行する法案に反対する者もいたが、
それも徐々に排除され、
デジタル依存者の犯罪が増加したことで、
誰も逆らわなくなった。
冥界の特別室消滅から、
国の動きが一層怪しさを増し、
この時より国の信奉者を、
デジタル国民と呼ぶようになった。
法案に反対していた議員や国民は、
そのデジタル国民からも叩かれ、
外国人労働者、移民増加で死亡者が増え、
疲れきった自国民は奥地へと移動。
今や自国民の方が仕事にあぶれ、
移民以下の生活で暮らしている。
そこから逃げ出して生き延びたのが捨て地であり、
その戦いは今も続いていた。
弥生達は赤の捨て地に来ると、
小さなビルの前に立って見上げていた。
「こんな奥地にある土地なのに、
幽霊に小さな負が渦巻いてるのね」
弥生が不思議そうに見ていた。
「ここは元、
テナントビルだったらしいの。
それをリノベーションして、
アパートメントしたんだって」
エハが五階建ての建物を見た。
「人は住んでるの? 」
見上げていた新田が振り返った。
「これから入居者を、
募集するはずだったんだけど、
幽霊が出て、うちにお祓いの依頼が来たの。
今、アートンがビルの管理者に、
話を聞きにいってるから」
そんな話をしていると、
アートンが戻ってきた。
「どうだった? 」
エハが聞く。
「ここをリノベした業者の一人が、
捨て地のスパイだったらしくて、
目の前で消滅して大騒ぎしたらしいんだよ。
それが原因で負が増えて、
幽霊と合わさって被害が大きくなったみたいだね」
「こんな静かに暮らしている場所でも、
消滅するくらいの人間が入り込むんだから、
黒地が魔王の住処でも仕方がないか」
新田も両手を腰に置いてため息をついた。
「ここ人気みたいで、
入居者も決まってたのに、
幽霊騒ぎで中に入れなくなって、
ダメになったらしいんだよね。
ワンフロアのファミリー向けアパートだから、
幽霊騒ぎがおさまれば、
入居者もまた出てくるって言ってた」
「ふぅん」
弥生がアートンの話を聞きながら、ビルを見回した。
「なに? なんかある? 」
「ん~ビルの中央にある黒い塊。
あれ除去すれば、大元は片付くんじゃない? 」
「えっ? 」
その話にアートン達が弥生が指さす方向を見上げた。
「あ~かなり大きくなってるね。
悪霊になる前に片付けないと………」
新田がそういう横から、弥生が霊銃を構え撃ち放った。
霊玉はど真ん中に命中し、
皆が驚いている間に塊は消滅。
続けてそこから散った霊をあっという間に撃ちぬき、
数秒で片づけた。
「す、凄い………」
エハがビックリした顔で弥生を見た。
「新田君、右前方。エハちゃん上段。
アートンさん左後方」
弥生の声に慌ててその方向を見ると、
塊が蠢いていた。
驚きながらも弥生の的確な指示で、
霊銃を撃ち放つと、
負は一瞬のうちに片付けられた。
「今日はいい感じ~
体も動いてるし、
感も働いてる」
弥生は笑いながら両肩を回した。
「弥生ちゃん………見た目とのギャップがあり過ぎ」
アートンも驚くと、皆で笑った。
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