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番外編 西支部

立ち上がる勇気

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「チビの力は偉大だね」

ティンは笑うと、

美味しそうに食べながら歩く姿を見た。

食べながら歩くのが難しいハクは向井に抱っこされ、

ニコニコ笑いながら食べている。

その姿にコロッケ屋へと人が流れて行った。

「ハクは龍神が強く出てるのね。

今回の事もあってよくわかったわ」

トリアもハクを見て微笑んだ。

「向井君が気にしてる理由も、

龍神気質は油断がならないという事ね」

向井もトリアを見て微笑んだ。


そんな彼らがアーケードを抜けると、

スピーカーマイクを持った一人の男性が、

何やら捨て地に向かって話しかけていた。

批判というより、

自分の思いと決断を語っているようで、

警官がやってきて、

連行しようとする一幕もあったらしい。

だが、昨日の防衛隊問題で政界が揉めていることもあり、

さすがにこれ以上強制的に何かを起こすことは、

マズイと感じたのか男性の話を、

大衆もメディアも映像に収めながら、

黙って見ていた。


「面白れぇ」

牧野が愉快そうに黒地の光景を見た。

ハクがむぅ~と顔を顰める様子に、

「これ以上ここにいるのは、

チビにはよくないですね」

向井が言った。

「そうね。いったん戻ったほうがいいかな」

トリアが黒地を見ると、

「あ………でも、悪霊が集まってきてるから、

牧野君の出番ね」

空を黒く覆う悪霊の動きにため息をついた。

「チビ達は私達が連れて帰るから、

除去して戻ったら? 」

早紀が言い三鬼を抱き上げた。

弥生とアンもチビ達を抱きあげると、

真紀子と安達が袋を持った。

「じゃあ、ハクは私が」

トリアがそういって手を出すと、

ハクが首を振った。

「えっ? 帰りたくないの? 

お家戻ってお昼食べようよ」

「じいじ」

ハクが向井に抱きつくと言った。

「大丈夫ですよ」

向井がハクの胸を触ると、

「今日はパパがハクのじいじを面倒見ます。

ハクが戻らないと、

お家で待ってる冥王じいじが寂しがっちゃうよ」

と顔をのぞいて笑った。

「じいじ」

「そう。じいじ。ハクが帰るのを、

まだかな~って言ってます」

ハクはむぅ~と考える顔をすると、

トリアに手を伸ばした。

「ハクには何が見えてるのか、

私には分からないけど、

向井君には分かるのね」

トリアはハクの顔を見ると、

「牧野君は札をちゃんと持ってる? 」

と聞いた。

「そんなに数はないけど、これくらいなら。

それにポプリもあるから」

そういって胸から下げる巾着を見せた。

「俺達も出かける時は霊銃装備してるから、

問題ないよ」

ティンも新田と霊銃を装着すると話した。

「じゃあ、大丈夫ね。

ハク、パパにバイバイして」

トリアはハクの顔を見ると、

安達達が待つ空間迄歩いて行った。

「さて、パッと片付けて帰ろうか」

新田は笑うと、牧野の肩を叩いた。
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