『アンダーワールド・番外編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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番外編 西支部

中央の魔境

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牧野は新たなポプリを首から下げていたが、

悪霊が吐く毒に顔をゆがめた。

「今の黒地は毒風呂に入るようなものですから、

牧野君も最初からガードを外さないようにしないと、

疲れが取れなくなりますよ」

向井は霊玉に息を吹きかけると、

牧野の体に取り込ませた。

全身が輝くとオーロラのベールが包んだ。

「わっ、楽になった」

牧野が体を振って飛び上がると笑顔になる。

アートンが苦笑した。

「それくらい自分で出来る様にならないとね。

せっかく進化して強くなっても、

ポンコツハンターの汚名返上できないよ」

「これはいつになったら正常に機能するんだろうね」

エナトも笑うとムッとする牧野の頭を叩いた。


向井達は最も毒の強い場所に来ると、

立ち止まり周辺をチェックした。

ここは政治の中枢区域。

どうしても負が集まりやすい。

「これちょっと範囲が広すぎない? 」

エハが顔を顰める。

「多分今日の事件が影響してるんだと思います」

「この中で平気で暮らせて、食事もできて、

病気にもならないって、

ある意味不死身だよな」

牧野がそういいながら皆の顔を見た。

「確かに」

坂下も頷きながら笑った。

「ここを少し離れると、

同じ魔境でも毒は薄まるからね。

この中にいられるという事は、

既に魔物かもね」

「ここの悪霊祓っても、

魔物の住処なんだから無駄じゃん。

だったらさ、

少しでも毒が薄い場所の悪霊を祓って片付けたほうが、

早い気がすんだけど」

「ん~」

牧野の意見にアートンも考え込む。

「理屈はそうなんですけど、

大きな悪に小さな悪は集まるので、

これ以上大きな悪霊になるのは困るからね。

一旦綺麗に掃除してから、

他の場所も片付けていきましょう」

「ええ~俺そんな体力ない。腹減ってるもん」

「はいはい。これ食べてエネルギー補充してください」

向井はそういってバッグから箱を取り出すと、

中身を牧野の口に放り込んだ。

「これは超~~~~~高級チョコ! 」

「そうですよ。

これ一粒でケーキ一個買えますからね。

その分の働きをしてください」

向井はそういうと、

「皆さんも一粒ずつどうぞ」

と箱を見せた。

「嬉しい~」

エハが喜び、他の者達も嬉しそうに口に入れた。

「わぁ~とろける~」

ヴァンも笑顔になる。

「久しぶりに食べた~

これ美味しいんだけど高いからな~」

坂下も懐かしそうに笑った。

向井も笑顔で一粒口に入れると、

残りの一粒を牧野に食べさせた。

「高級チョコ二個分は頑張ってください」

「こんな悪霊、ちょちょいとやっつけるぞ~

皆の者行くぞ~ついてまいれ」

「何がついてまいれだよ」

アートンが牧野の頭を叩くと笑った。
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