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番外編 西支部

血まみれのハク

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その場にいた山口は怒りに体を震わせると、

「あ、あの鬼はあの女、水沢がやらせゆーんだ!! 

フェイクじゃ!! 」

顔を真っ赤に怒鳴り散らした。

「なんでこがなんに。

ここは西の都やぞ。ながに山に入れん」

山口は文句を言いながら、

隊員を睨んだ。

その状況を上空からドローンが撮影していた。

「おんしら、あれを何とかせぇ!! 」

山口がドローンに向けて指をさす。

その映像もAIによって拡散されていた。

「だ、大臣。まずいです。

この動画があらゆる媒体に広がってます」

近くにいた女性秘書が慌てて止めに入る。

「馬鹿野郎が。うちを誰や思うちゅー。

こんなもん、フェイクにすりゃ、

何とでもなる。わしは何ちゃあしちょらん」

その時冥王の姿が揺らぎ、

突如血まみれのハクの姿がそこに現れた。


「きゃぁぁぁぁ~~~~~!! 」

「こ、子供…子供に銃を。何てこと」

「だ、大臣が子供ば殺したったい!! 」

「子供を殺いたがじゃ!! 」

誰が言いだしたのか、

騒然としだした。

不穏な空気に包まれる。

「わしやない!! 撃ったがはこいつらだ!! 

わしやないぞ!! 」

パニくる住民達から離れるように、

山口は後方に移動すると隊員を見た。

銃弾に倒れた数人の人間は、

呻くようにのた打ち回っている。

救急車の音がどこからともなく響いてきた。

血まみれのハクは倒れると宙に浮かびあがった。

その場面に誰もが恐怖で目が離せなかった。

ハクの体から龍が現れ、

それは人間を威嚇するように睨みつけると上昇していった。

「み、水沢がやった事や。

全て作られた映像や。

こがなんやらせに決まっちゅー

おんしらは何でわしの邪魔ばかりする。

この国を要するために動けるがは、

わしをおいて誰ちゃぁおらん。

なんで分からん。

わしがトップになったら覚悟しちょけ! 

思い通りにしちゃる。

国民おんしらに何一つ文句は言わせん! 」

大臣は捨て台詞の様に吐き捨てると、

道を開ける住民達を睨みつけ足早に去って行った。



向井の腕の中でクタ~ッとなっているハクに、

「悪趣味な演出だわ」

トリアが顔を顰めていると、

ハクがむくっと起きだし目を開けた。

「ふわぁぁぁ~」

大きなあくびをして笑うハクに、

向井達は思わず笑顔がこぼれた。

「牧野君、悪霊退治始めるよ」

ヴァンが言い、エハ、ティン、

岸本と一緒に歩き出した。

「血まみれのハクも決められていた演出? 」

黒地で起こった出来事に驚きを隠せない捨て地住人を見ながら、

サンクが口を開いた。

「まさか。いくらなんでもあの演出はあり得ませんよ。

恐らくハクの中にいる、

龍神の怒りなんだと思います」

「ハクは分かってて来るって言ったのかな」

トリアが首を傾げる。

「ん~多分、龍神の思いを感じて、

分からないなりにここに来なくてはいけないと、

そう思ったんじゃないでしょうか」

ハクにこの現状を見せるわけにはいかないので、

向井は手で目隠しをし暗示をかけた。

ハクはウトウトと寝始めた。

「それにしてもあの惨状は………

山口はどう弁明するつもりかな」

サンクは言いながら黒地を眺めていた。
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