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番外編 西支部

龍神の結界

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岸本達の耳に、

住民の声が流れ込んできた。

木霊の様に響き渡る声に耳を塞いだ。

「人の負は気分が悪くなる」

ヴァンが顔を顰めて、

参道から黒く覆われた中心部を眺めた。

龍は空を飛び回り山を一周すると、

向井の元へと戻ってきた。

岸本はそんな向井の姿を見つめながら、

「これでここは白地になったという事かな? 」

と聞いた。

「そうですね。西には灯が見えないので、

黒地には負が強い人が多いんだと思います。

今ここを守っている龍は金と銀。

大地と川の龍ですから、

自然ごと神を保護できています。

一度中央に戻って、

究鬼さんに相談してみます。

微かでも信念を胸に秘めている者がいるなら、

そこを重点に除去すれば、

北のように抵抗運動するものも、

現れるかもしれませんからね」

「そうだね。それにしてもティンの霊銃使いは神業だね」

サンクが驚いた様子で話した。

ティンは霊銃を二丁拳銃で扱うのが得意だ。

アクション俳優の様にカッコよく、

しかも無駄のない動きで捌いていくので、

映画を観ているようだ。

「イケメンにこんな除去をされたら、

牧野も形無しだな。拗ねるのも分かるよ」

岸本も笑った。

「今の光でここにも国が視察に来るかもね」

「視察に来ても弾かれるから入れないでしょう」

ヴァンを見てエハが顔を顰めてから笑った。

「これで後は様子を見るだけだね」

「あ~お腹空いた~」

岸本とサンクが伸びをして空を見上げると、

彼らは冥界に戻った。



休憩室に行くと、

チビ達の姿が見えない。

「あれ? どこにいったの? 」

サンクが聞くと、

「お風呂」

早紀が笑った。

「もう、夕食の準備が出来てるから、

先にビールでも飲んでる? 」

サランダがビールを持ってきて言った。

「いいね~」

ヴァンが嬉しそうに笑うと、

皆それぞれソファーに腰を下ろした。

「もつのシメはちゃんぽんだよね~」

チェントが材料を運んでくると、

テーブルに並べた。

「牧野君と安達君は、

チビちゃんが起きだしても寝てたけど、

いつもああなの? 」

サランダがビールにチーズをつまみながら聞いた。

「牧野君は毒をガードできるようにはなったんだけど、

力の抜き方がマスターできなくて、

簡単な悪霊退治でも疲れてるんだよ」

オクトが笑った。

「こればっかりは体で覚えていくしかないからな」

岸本もビールを飲むとナッツを口に放り込んだ。

「安達君は薬のせい? 」

トリアが向井を見た。

「はい。効果が高い分、

体力を消耗するそうで、

冥王とも相談して今は様子を見てるんです。

寝るのも体力は奪われますから、

睡眠の質が良ければ回復するのも早いと思うんですけど。

ぐっすり眠っていたなら大丈夫かな」

向井もビールのプルトップを開けると飲んだ。

大人達がそんな話をしてると、

チビ達が走ってきた。
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