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番外編 北支部

西でもお泊り?

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ケーキを食べ終え、

向井は立ちあがると牧野を呼んだ。

「何~」

牧野が走ってくると、

「これから西支部に行くので準備してください」

「えっ? 今から? 」

と向井の言葉に嫌な顔をした。

「なんですか。その顔は」

「だって急務ってことは、酷ぇ毒を持った悪霊って事だろ」

面白くなさそうな牧野に、

「今日は手前だけ除去した手抜きハンターなんだから、

残りの力を西で使ってもらおうと思って」

「むぅ………」

ハクのような表情に向井はプッと吹きだすと、

「ついでにこの前食べ損ねたもつ鍋でも、

食べて帰りましょうか」

「もつ鍋! いいね~」

牧野の顔が笑顔になった。

「どこ行くの? 」

三鬼が走ってきて向井の足に抱きついた。

「お仕事です」

「えっ? またお仕事? 」

三鬼が見上げて口をすぼめた。

「どこ行くんじゃ」

呉葉とこんも走ってくると二人を見上げた。

「なるべく早く帰ってきますよ。

悪霊ハンターのマキちゃんがいますから。ねっ」

向井が牧野を見た。

「えっ? 俺? 

ん~悪霊の大きさ次第かな」

「俺達だけじゃ無理なので………」

向井は室内を見回すと、

「ティン君とオクトさんにもお願いしようかな」

とのんびりヨーグルトを飲んでいる二人を見た。

視線が合うと、向井は二人を手招きした。

「ん? 」

二人は指で自分をさすと、

立ち上がって入り口に歩いてきた。

「なんですか? 」

「西で悪霊問題があったので、

これから来てほしいそうなんです」

「あぁそういうこと」

「いいよ」

二人が頷くと、

「僕も行く」

とハクがやってきて言った。

「えっ? ハクはお留守番しててください」

「ううん。僕も行くの」

ハクの様子に、

何か感じるものがあるんだろうか。

向井が考え込んでいると、

「お泊り? 」

「こんも行きたい」

「僕も」

チビ達が騒ぎ出した。

「なに? どうしたの」

トリアとアートンがやってきた。

「これから西に行くんですけど、

チビがお泊りしたいというので、

ちょっと困ってるんです」

「そういうことか………だったら西に連絡して、

お泊りすればいいじゃん」

トリアが言った。

「また、お泊りですか? 」

冥王が寂しそうな声でぼそっと口にした。

その声に向井達が振り返った。

「みんないるんだからいいじゃない」

ケーキを食べるシェデムが馬鹿らしいと冥王を見る。

アヒル口をする姿に向井は苦笑いすると、

「とりあえず、岸本君に連絡して、

問題ないようならお泊りしましょうか」

とチビ達を見た。

安達もやってきて皆で喜ぶ様子に、

向井は部屋を出て通信室に向かった。


休憩室に戻ってくると、

既にお泊りメンバーが決まったようで、

楽しそうにしていた。

「仕事のないもので参加希望者の中から決まった」

アートンがあきれ顔で笑った。

「黒谷君の喫茶店から、

みんなお泊りしたいみたいでね。

でも、ハクは何で行きたいって言ったんだろう」

「ハクには何か見えるみたいなんですよ。

今回も赤い食べ物を当てたでしょう。

多分、俺達が話しているのを聞いて、

感じるものがあったんだと思います」

「なるほどね」

アートンとトリアは不思議そうにハクを見つめた。
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