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番外編 北支部

淋しい冥王

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「いももちはお酒に合うんだけど~

ケーキもあるし、和紅茶にしようか」

早紀が食器棚からカップを取り出した。

「チビはチョコミルクにしますか」

向井はミルクパンをコンロに乗せた。

「手伝うよ~」

エハと新田もやってくると、

向井達が戻ってきたのが分かったのか、

休憩室に人が集まってきた。

「牧野とチビがいないだけで、

静かだったよ」

妖鬼が笑いながらキッチンに歩いてきた。

「冥王も寂しそうだったからね」

ソファーに座ってケーキの箱をのぞく姿に、

新田が笑いながら話した。

「安達君は調子戻ったみたいだね」

新田がキッズルームで楽しそうに、

買ってきたものを広げている姿に笑顔になった。

「おかげさまで。

皆さんにはご迷惑をおかけしました。

本人も懲りたと思いますよ」

向井がチョコミルクを作りながら笑った。

「まぁね。調子がいいと、

薬を飲まなくても大丈夫と思っちゃうんだろうね」

妖鬼も苦笑した。

「体が成長しても、

まだまだお子ちゃまってことか。

ちょっと安心した」

早紀も笑った。

「天上界にはいつ行くの? 」

エハが紅茶を注ぎながら聞いた。

「明日、連れて行きます。

俺も炎帝様から話があると言われたので、

冥王と一緒に少し留守にします」

向井はチョコミルクを、

チビのカップに注ぐと皆でテーブルに運んだ。

「ケーキ食べるんでしょ。ちゃんと椅子に座って」

トリアがチビに声をかける。

「マシュマロは? 」

「ちゃんと乗ってますよ」

こんがカップをのぞく姿に、

向井は笑って言った。

「みんながいなくて寂しかったですよ」

冥王はそういいながら、

嬉しそうにいももちを食べた。

「じいじ寂しいの? 」

三鬼が聞く。

「寂しいですよ」

「じゃあ、一緒にお泊りしようよ」

「じいじは仕事があるから、

誰かじいじの代わりに………」

そういって冥王が向井を見た。

「向井君が代理になったら行けますね」

「ダメだよ」

安達と牧野が声をあげた。

「向井がお留守番は絶対ダメ! 」

「パパ、お留守番なの? 」

「だったらダメ」

「じいじは待ってて」

「えっ? 」

悲しそうな顔をする冥王に、

皆が大笑いした。

そんな休憩室の風景に、

「やっぱこの感じだよ。

やっといつもの空気に戻った」

田所の言葉に新田も頷いた。


翌日死神課で出かける準備をしていると、

安達がやってきた。

「おっ、今日のコーディネートは、

大人カジュアルかな? 」

お気に入りのブレスとリングに、

ニットとテーパードパンツ姿だ。

「身長が伸びたから、

新田とお買い物に行って選んでもらった」

「新田君は色の感覚も素敵ですね。

とても似合ってます」

嬉しそうな安達に向井も笑顔になった。

そんな話をしていると冥王がやってきた。

後ろを見るとハクがいる。

「あれ? ハクはどうしたのかな? 」

向井が聞くと、

冥王も驚いて後ろを振り返った。

「あのね。僕は赤がいい? 」

「赤? 」

「うん。赤いのが食べたい」

「赤? さて何のことでしょう」

向井達が首を傾げていると、

「こら、ちょっと目を離したらいなくなっちゃうんだもん。

朝ごはんだよ」

フンフが慌ててやってくるとハクを抱き上げた。

「これから天上界? 」

「そうです」

「じゃあ、パパたちに行ってらっしゃいして」

フンフはそういってから、食堂に歩いて行った。
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