『アンダーワールド・番外編』冥王VS人間~魑魅魍魎の戦が今始まる~

八雲翔

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番外編 北支部

つかの間の休息

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「向井君の方がストレスで倒れちゃうわよ」

横で鍋を食べていたトリアが口を開いた。

「それだけ気が小さいんですよ。

悪霊が増え続けていると、

皆にも負担がかかるでしょう。

こうやって楽しそうな風景を見てると、

安心できるんです」

「しゃけ~」

ハクが向井を見上げる姿に、

「鮭は美味しいですか? 」

と笑いかけ、

お鍋から鮭とシイタケ、ジャガイモを皿にいれた。

「ハクはシイタケも食べたね」

「おいしい~」

アートンが野菜を足しながら食べるハクを見た。

「三鬼もシイタケは好きよね。

こんと呉葉は苦手みたいだけど」

アンがチビ達のお皿に取り分けながら話す。

「わらわだっておじゃがはたべてるぞ」

「こんもたまねぎたべてる」

「甘くておいしいからね」

アートンが笑いながらビールを飲む。

「安達君もリラックスしてるみたいだし、

安心ね」

アンが微笑んだ。

「チビのイヤイヤ期が落ち着いたら、

安達君のイヤイヤ期だから、

パパは落ち着かないわね」

トリアはケラケラ笑うと食事をしながら、

向井の背中をポンと叩いた。

「イヤイヤ期? 」

カランが聞く。

「少し前まではね。

チビ達が言う事を聞かなくて凄かったのよ。

お陰で冥王が疲れきって、

向井君~って泣きついてたの」

「へえ~」

倉田が笑った。

「洋服や髪形もあれはイヤ、これはイヤ。

大したことじゃないんだけど、

ぐずると人間の子と違って力がね。

それでもパパの言う事は一応聞いてくれるから、

向井君頼みになってたの」

「向井さんは牧野使いでチビ使い? 」

トリアの話にカランが感心するようにいい、

皆がケラケラ笑った。

向井も苦笑すると鍋をつついた。

「あれ~」

「ん? 」

ハクが指さすものを見る。

「あぁ、チキンナゲットね。

ちびちゃんたちが好きだって言うから、

トットとトレンが作ったのよ。

あの二人は料理が得意だから」

フェムティが説明すると、

ナゲットを皿に取ってハクに渡した。

「こんも~」

チビ達も美味しそうに食べている。

「こんなに賑やかな食卓は久しぶりだから、

たまにはちびちゃんたちにお泊りしてもらって、

悪霊で疲れた北支部の風通しをしてもらうか」

倉田が楽しそうに部屋を見回し笑顔になった。



お泊りから戻ると、

「お帰り~」

早紀が読んでいた雑誌から顔をあげた。

休憩室には早紀と源じいとヴァンとエハがいた。

「はい、これお土産です」

向井がケーキの箱といももちの袋をテーブルに置くと、

「夕食にいかめしを買ってきました」

とキッチンに袋を持って行った。

「お泊り行くと美味しいものが食べられていいね~」

仕事を終えて田所が休憩室に入ってきた。

チビ達が胸に抱えている袋を見て、

「随分と買い物してきたんだね」

新田も部屋に入ってきて笑った。

チビと安達、牧野は袋を持ったまま、

キッズルームに向かった。

「買ったものだけじゃなくて、

キャトルさんがチビ達に塗り絵を用意してくれて、

それも持って帰ってきたので」

向井が説明してると、早紀がキッチンにやってきた。
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